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ごまの「アニメ批評日記」

「七人のナナ」第12話 第16話〜第18話

第12問「真夏の集中合宿! ドキドキ恋の肝試し?」

放映日2002年3月28日

あらすじ

夏休み。ナナたちのいる特進クラスは一週間の集中合宿で、
海辺にある寺へとやってきた。神近くんとひとつ屋根の下で生活・・
と喜びつつもドキドキして集中どころではないナナ。
そこへおじいちゃんに連れられてコピーナナたちもやってきた。
すぐ近くに別荘があるというのだ。そして何故か意地悪3人組も合宿で来ている。
夜になると3人組の提案で怪談話がはじまった。
みんなが怖がっているところへ教頭と生徒指導が叱りにきた、
と思いきや教頭たちの計らい(?)で肝試しをやることに・・

レビュー

学園ものの定番ともいえる、合宿話と肝試しの回。
前半はちょっと展開の強引さが目立ちました。
お寺での合宿は定番とナナの台詞で説明していましたが、
むしろ定番は公共の研修施設だと思います。
おじいちゃんの別荘が近くにあるというのも
コピーナナたちを登場させるための意味合いが濃く強引な感じ。
夜にコピーナナたちが「軒下でもいいから神近くんとひとつ屋根の下に」 とやってくるのも変でした。

後半は納得がいく展開でしたし、面白かったです。
軒下でナナりんが泣いて、みんなが思いきり怖がるところから、
教頭らが登場して肝試しに突入。
この展開も変だと思いましたが、その後の展開で
意地悪3人組を協力者にしての最初からの企みとわかり納得
(というか用意周到すぎですね。生徒たちへの歪んだ愛というか(笑) )。
ナナと神近くんが偶然ペアになるのはお約束。
ナナを驚かそうとする3人組に気づいたコピーナナたちが、
逆に3人組を怖がらすというのはキャラが生きた展開でした。

本物の幽霊を見て気絶したナナを神近くんが背負って帰ってきて、
ナナは布団で目覚めたあとでそれを知るというオチで
きれいにまとまっていたと思います。
今回のお話は後半の肝試しの展開を軸に、
そこまでの展開を後から足していくように作り上げたのでしょう。
終わってみれば舞台はお寺でなくてはならないというのも分かりましたが、
やはり前半が練り込み不足だったように思います。
前半がより自然な展開だったなら文句なしに面白い回だったでしょう。

ラストのモノローグで、
「コピーナナたちは幽霊が運んだのだろう。写真にも神近くんは気づかなかったみたい」
とナナたちのことはバレず終いでめでたし、とありましたが、
案外神近くん、コピーナナも運んでいて、
この時点でナナたちのことはバレているという伏線なのでは?

作画の方は、水着のシーンでナナたちの肉付きがいつもよりいいのが印象に残りました。
あと、オーバーアクションなきらいもありましたが、
コミカルさが強調されて見てて面白いのでこれで良いと思います。

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第16問「恋散る文化祭! 涙も枯れる大舞台?」

放映日2002年4月25日

あらすじ

秋の文化祭がやってきた。
ナナたちがいる特進クラスは、受験優先のため不参加。
それでも2名の実行委員だけは派遣しなければならないということで、
神近と、それにつられて立候補してしまったナナがその役に。
実行委員会に行ってみると、実行委員長を務めていたのはなんと意地悪三人組。
参加しない特進クラスや「ナナの実行委員は内申点目当て」との
売り言葉に買い言葉で「特進クラスも出し物をする」と答えたナナ。
だがやはりクラスの面々は全く協力せず。
頼りの神近も、なにか別のことに「気もそぞろ」という感じで・・。

レビュー

今回はナナりんが主役。
ですが、今回は随所に強引さが目立ちました。
今後の展開にもよりますが、
ナナレンジャーということが他人にバレるというネタ自体が、まず反則技。
結果、収拾をつけるために茜を転校させるという、
まあこれしかないのでしょうが、
無理に無理を重ねるという演出になってしまっています。
コピーナナの中で、何故ナナりんが登校するのかも不明でした。

一番の見どころは、
文化祭における、ナナとこーちゃん(木枯)ら意地悪三人組のやりとり。
三人組の挑発にのせられて動くことになったナナは、
クラスのみんなや神近くんに見放されるなか、瞳と二人で一生懸命準備。
それを影から見つめる三人組のこーちゃんの姿が
伏線として数回挿入されています。
それは文化祭当日の出し物の最中、
八坂扇付属中の萱野に「受験生のくせに遊んでいる」
と非難されたナナへ、こーちゃんが助け船をだすという展開のためのものでした。
この展開としては割とオーソドックスでしたが、
伏線における、こーちゃんの意味ありげな表情がうまく出せていたのが効果的で、
ジーンと来た良いシーンだったと思います。
欲をいうと、シリーズ中からこーちゃんのそういう性格が
散りばめられていたら、説得力が増してもっと面白かったでしょうが、
さすがに欲張りすぎでしょうか。

出し物のナナレンジャーショーは、
客席から萱野をひっぱりあげるところが、
展開の必然上であると同時に着ぐるみショーっぽさが出ていたと思います。

気になるのは今後の展開。
あのいけ好かない萱野をどういうわけか好きになった神近くん。
現実としては、大いにあり得る話ではあるのですが、
物語としてもってきた以上はそれなりの仕掛けがあるのでは、と期待させます。
反面、神近くんが萱野のことをあきらめるという
単純な理由づけに使われるのでは、という不安もあり、
今後の展開を見守りたいと思います。

作画の方では、特に悪い印象はなかったですが、
冒頭の教室のナナの表情など、妙に立体的というか丁寧だったのが、
ちょっと違和感ありました。

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第17問「ナナが消える日、出てくる日?」

放映日2002年5月2日

あらすじ

中学生活の思い出となるはずだった文化祭。
そこで別の女の子に告白する神近くんに偶然出くわしたナナ。
それは同時にナナが失恋したことを意味した。
学校を3日もサボってまで家で落ち込み続けるナナとコピーナナ達。
その沈んだ気持ちに反応してかプリズムにヒビが入りはじめた。
そしてついには1個、また1個とプリズムが消えてなくなり、
コピーナナの姿も1人、また1人と消えていく。
一方、ナナの応援団となった三人組は、学校に来ないナナを心配。
内申書に響くと、ボランティア授業に出させようとするのだが・・

レビュー

意地悪三人組が準主役を張る回が、林葉、木枯と続いたので、
森沼の起用は予想されたところ。
見た目もおっとりした森沼が、
意外にもボランティア授業に積極的なところを見せるのがひとつの見せ場。
しかも誰もやりたがらなそうな地味な仕事である、トイレ掃除をナナと一緒にするなかで、
「好きだからやる」と語った自らの心境が
ナナの元気回復のきっかけとなるという演出が印象的でした。
ストーリー的にはナナを励ます「いい人」という役割だったのですが、
これまでの意地悪三人組の行動からくるイメージを大きく外すことなく、
その役割を描いていたところは見事でした。

前回も同様のことを書きましたが、
誰もが嫌がることでも自分が好きだったら、
進んでやるという性格がこれまでの本編で伏線として張られていたら
もっと作品に膨らみがでて面白かったと思います。

意地悪だった三人組がナナの応援団という「いい人」に変貌したのは、
これまで担ってきた「ナナの敵役」という役割が、
萱野に移動したという理由によるものでもあるのですが、
この作品では本質的に悪い人はいないという方針のようで、
当初からの予定だったのでしょうね。
そういう意味からも萱野の今後というのも気になるところです。

細かいことですが、
三人組にベッドから引きずり出されたナナの胸が大きかったので、
一瞬ナナぽんかと思いました。
瞳の台詞でフォローされてはいましたが、
こういう映像で理解させるところは気を使って欲しいものです。

準主役ということで、
森沼の下半身ジャージ姿の謎が解明されるかと思ったのですが、
結局ふれられず終いでした。
すごく気になります(笑)

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第18問「雪降る日? ナナとみんなのHappy X'mas 」

放映日2002年5月9日

あらすじ

クリスマスムードで盛り上がる町。
神近の失恋から立ち直ったナナは、目の前の目標である八坂扇受験に向けてがんばろうとする。
コピーナナたちは「せっかくのクリスマスだから、ナナを励まそう」と、パーティーを計画。
ナナへプレゼントするための小遣いがないことに気づき、アルバイトを考える。
丁度そこへケーキ屋のアルバイトを見つけたナナっこが帰宅するのだが、
それに気づいたナナは「校則で禁止」と反対した。
コピーナナたちは、その後、町長さんの募っていたバイトをすることに。
ナナはナナっこが持ってきたケーキ屋のバイト用の着ぐるみを返しに行くのだが・・

レビュー

脚本に今川監督自ら登板。
クリスマスということもあってか、
オールスター総出演によるお祭り的内容で面白かったです。
それぞれのクリスマスが描かれていくなかで、
コピーナナたちが申し込んだケーキ屋の店番が、
ナナ→三人組→瞳→生徒指導
と入れ替わっていくところが特に面白かったです。

なかでも瞳と生活指導の絡み。
眼鏡を外した瞳の表情が、セオリーだと凄い美人になったりするところを逆にしていたり、
直前のシーンで言っていた瞳の「男の好み」を
眼鏡がなくて前が見えないことも理由づけにして
生徒指導にクラッときてしまうところを描くのは最高でした。

そんなお祭り的内容の中にも、
ナナと神近とのやりとりが、しっかり描かれているところがまたニクイです。
事実上二人ともふられているというなかで、
神近は見知らぬ着ぐるみの人と、ナナはふられた(形の)その相手の神近と会話する
という状況をバイトの着ぐるみを使って設定していたのが見事でした
(声でばれるだろう、というツッコミはこの際なし)。

教頭や生活指導の私生活が、描かれていたのも今回のちょっとした見どころ。
生活指導のマンションの部屋や、教頭の妻と飼い犬など、
どうでもいいところで遊んでいるのが笑えます。
あと、瞳はこの後どうなっていくのでしょうか。かなり気になります(笑)

( 更新:2002年6月3日 文責:ごま )
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