ごまの「アニメ批評日記」
「七人のナナ」第4話〜第7話
第4問「誕生!受験戦隊ナナレンジャー?」
あらすじ
神近くんと同じ特進クラスに進むためのクラス替え試験がせまる。
コピーナナたちはナナに連日の徹夜勉強を課す。
しかしナナのナナたる所以かなかなかままならない。
更には夜な夜な出現する暴走族の騒音のせいで勉強に集中できない・・。
レビュー
試験の残り日数をコピーナナの人数と同じ6日に設定して、
それぞれの日にそれぞれのコピーナナと勉強するという展開が、
予定調和ではあるものの各キャラの特性を生かした見所となってます。
今回は「ナナさまが受験すれば楽勝」ということを明示した上で、
オリジナルナナが受けなければ無意味と(視聴者に)説明したのが好印象でした。
あと、今回初めて本編でコピーナナたちの呼び名が出ましたが(出てなかったんですね)、
最初は本編前のアバンタイトルやオープニングで呼び名を出しておいて
後から本編でも触れるというのは親切でもあり面白いやり方だと思いました。
絵的なところではナナレンジャーに変身(?)するとき、
ファスナーを閉めるところで全員同時にシンクロするという描写が、
作画負担軽減と演出効果を両立させた工夫でした。
あと、試験のシーンで画面が本の頁風にペロっとめくれるのは
デジタルならではであり斬新な描写だったと思います。
暴走族に立ち向かうナナっぺ(プリズムなし)が、
「今日はこのくらいで勘弁しとく」という池乃めだか(吉本興業)ばりの台詞をはくところが
個人的に大受けでした。
第5問「決定!神近君の志望校?」
あらすじ
土曜日。学校では高校進学の志望校調査が行われていた。
特進クラスでは神近くんがいち早く志望校を提出。
どこにしたのか訊ねるクラスメイトとの会話に聞き耳を立てるナナだが、
結局は分からず終い。
同じ特進クラスに進んでも進学コースが違ったら意味がないと
今さらながら気づいたナナは愕然。
そんなときナナぽんがテレビを真似てやってみた催眠術によって
「神近くんの志望校が知りたい」というナナの思いが、
街中の人々にインプットされてしまい大混乱に・・。
レビュー
催眠術で「神近くんの志望校が知りたい」と街中の人が言うところに爆笑です。
作りとしては街中の人々のカットに、それぞれのシチュエーションに合わせて
上の台詞をかぶせてあるだけなんですが、
食事の後かたづけをサボろうとしたナナぽんを伏線にもってくることで、
「七人のナナ」としてのお話に仕上がっていました。
「神近君と同じ高校に行きたい」という基本設定もそうなのですが、
今回のお話も直接本人に訊ねてしまえばそれまでであり、
まだるっこしくて下手をすると非常に嘘っぽくなってしまうところを、
ナナの性格を強調することで不自然にならないように進行させているのは見事です。
今回は、先に外出したナナぽんを追うために、
ナナがナナレンジャーの姿に変身するという展開にすることで、
「人目につくところでナナたちが同時に存在できるために変身する」
というナナレンジャーという設定の必然性が強調されていたのも良かったです。
オチは最初から大体バレバレという感じでしたが、
合格祈願の神社にぶら下げた絵馬によって志望校が分かるという形で、
京都風という舞台設定を使ってまとめていたのは感心しました。
ナナが第3希望まで同じ志望校にするのはちょっとやりすぎかな、という気がします。
第6問「受験番号623!深夜ラジオで大騒動?」
あらすじ
特進クラスにも関わらず抜き打ちテストで32点をとったナナは、
担当教諭である教頭にみんなの前でしぼられ落ち込む。
そこでナナさまは気分転換にとラジオを持ち出すのだが、
ラジオ番組「受験番号623」で自分を励ますようなお便りが紹介され、
しかもペンネームが神近優一と同じY・K。
気分転換のはずが、Y・Kの正体が気になって勉強が手につかない・・
レビュー
みんなが共通して聴いているラジオ番組への投稿という形で、
ナナや神近くんをはじめ意地悪3人組や教頭・生徒指導など全員が
登場できる舞台設定を用意したのが工夫。
絵的に寂しくなる、本来ひとりでやる勉強のシーンに広がりをもたせています。
作画面ではおじいちゃんの発明という設定を利用したラジオによって、
スタジオとナナたちを画面に一体化させていたのが良かったです。
ただ、演出的にやりすぎで現実さに欠けるきらいがあったり、
先の展開が読めすぎるのとスピード感のなさなどで、
これまでと比べると今ひとつの出来という感もあります。
理性派のナナさまとナナのやりとりは、
「受験生の悩み」がよく表現されていました。
ただ他の5人のコピーナナは勉強というベクトルでは全員ナナさまと逆の方向をむきそうで、
今後の話次第で今回の話が生きるのか、或いは浮いてしまうのか
評価が分かれると思います。
その意味でも今後に注目です。
エンドロールのDJ623役の声優は「???」の表示。
某国民的アニメのタマみたいですが、こちらはバレバレですね(笑)
第7問「夜食モグモグ! 料理勝負は受験のために?」
あらすじ
ナナがおたふく風邪でダウンしてしまった。
ジャンケンによってナナの代わりに登校したのはナナっち。
その日は家庭科の授業で調理実習。
実はナナっちは七人の中で唯一料理が下手だった。
そこへ意地悪3人組がちょっかいを出して、
後日料理勝負をする羽目になってしまった。
ナナっちは「もちろん自分が」と張り切るのだが・・。
レビュー
ナナをおたふく風邪によってダウンさせることによって
コピーナナたちが代わりに一週間登校し、その時に事件を起こすところや、
一週間のそれぞれの日に誰が登校するかということを決める方法を
「3人組との料理勝負」という事件からコピーナナ同士が料理で対決するというところなど、
ストーリーを進めるための設定が巧みだったと思います。
意地悪3人組とのいざこざで「3人組との料理勝負」という展開は
やや強引ではありましたが、
ナナっちの性格が前向きゆえそれほど気にはなりませんでした。
今回はナナっちが主役ということで、
苦手な料理(本人はその自覚がないようですが)を前にしながらも、
前向きな性格でひとつひとつ乗り越えていく様が描かれており、
その際、他のコピーナナとの毎日一対一の夜食勝負で
それぞれのコピーナナの性格もキッチリ描写されていて楽しむことができました。
最後には、夜食勝負の試食につきあわされたオリジナルナナが
病気太りしてしまうというオチもついて話がきれいにまとまっていました。
「623の一言」はなくてもいいかな、とは思いましたが。
ナナっちが転ぶところで、瞳が思わず「ナナっち!」と叫んだ直後
神近くんが「え?」と振り返るのはひょっとしたら何かの伏線かもしれません。
家庭科教師役が横尾まりだったのは、
「ミスター味っ子」を意識した今川監督のサービスでしょうか。