アニメコラム「超GALS! 寿蘭」4

アニメコラム集「超GALS!寿蘭」4

各話

第31話 ウェルカム ウキウキ→開店!パームツリー
第32話 蘭ぴょん イライラ→新たなライバル?!
第33話 カスミ ムカムカ→リベンジ大作戦!
第34話 綾っぺ ウルウル→乙幡病
第35話 恋愛予報 モヤモヤ→乙幡 のち片瀬?!
第36話 温泉 ビバビバ→北の湯けむりギャル事件
第37話 秘密 バレバレ→マミリンの危機
第38話 ココロ ジンジン→乙幡の言葉
第39話 聖夜 リンリン→恋の非常ベル
第40話 蘭ぴょん クラクラ→沙夜になる?!
第41話 渋谷戦士 ナゾナゾ→マルキュームーン
第42話 泰三 ノリノリ→警官養成プロジェクト
第43話 純情 モジモジ→理恵の恋バナ
第44話 殉職 シクシク→お台場シャーク最後の日!
第45話 恋模様 イロイロ→バレンタインデー
第47話 カスミ ポカポカ→憧れのコート
第48話 ギャルバトル ガンガン→マミリン破局!?
第49話 傷心 ヒリヒリ→美由の帰る場所
第50話 恋の疑惑 ザワザワ→冷たい春風

第43話「純情 モジモジ→理恵の恋バナ」

放映日2002年1月27日

蘭の幼なじみ理恵はバイトをはじめた弁当屋で
転校して離ればなれになっていた小学校時代の初恋の人・太田順一に再会した。
小学校時代、いじめっ子から守ってくれたことで理恵は順一のことを想っていた。
まだ消えぬその想いを理恵は告白しようとするが、順一の態度はなんだかぎこちない。
そればかりかバイト中に蘭が訪れて以来、順一はしきりに蘭のことを気にする。
それでも野球の名門校への転校でまた離ればなれになると知った理恵は
かつて果たせなかった約束の「映画館でのデート」をとりつけるが、
デート中でも蘭のことを口にする順一に理恵は一人映画館を飛び出してしまう・・。

順一がしきりに蘭のことを気にするのは蘭のことが好きだからと理恵に思わせておいて、
それが実は誤解で二人はめでたく結ばれる・・という大筋は予想できたのですが、
小学校時代、いじめっ子をやっつけたが順一ではなく蘭であって、
順一はそれを知られるのが恐れていた、
という誤解の真相までは予想できず見事にしてやられたという感じです。
ただそれをひた隠しにする順一の行動に不自然で(展開的に)強引なところがあったり、
「俺と蘭のことを疑ってる?」という台詞が変だったりしたので、
そこが改善されていればもっと良くなっていたと思います。

前回の「厚底デカ」や前々回の「マルキュウムーン」が伏線になっていたのも 楽しませてくれました。
「厚底デカ(小学校時代の蘭)」の話を前回においてすぐ思い出せるように、
「マルキュウムーン」を前々回においてちょっと忘れた頃に、
という話の順番の置き方が絶妙でした。

絵的には小学校時代のセピア色っぽい薄目の着色の作画が
美しくてかつかわいらしさが出せていたのが良かったです。
反面、現代の教室のシーンの作画が粗かったのと、
理恵が映画館を飛び出して路地裏を走るシーンの動きが変だったのが気になりました。
シーンによって全く違うスタッフが分担していたのでしょうか。

クライマックスで順一が真実を告白し、理恵と順一がめでたく結ばれ、
理恵がうつむいたところでタイミング良く噴水が飛び出すのは、
噴水が理恵の涙を暗喩している小技を効かせた演出ではありましたが、
トレンディドラマっぽい演出で、却っておかしくて笑ってしまいました。

第44話「殉職 シクシク→お台場シャーク最後の日!」

放映日2002年2月3日

「走れ!お台場COP」の主役・工藤刑事(松田U作)が突如殉職しシリーズを降板。
工藤刑事を実在の人物と信じて疑わない沙夜は号泣。
織田裕二朗を主役とした時期シリーズの発表が行われた。
実は監督と衝突しての降板だった松田は仕事もなくなり落ち込む。
あてもなく渋谷をうろついていた松田はかつての仲間である、
喫茶店「パームツリー」の店長・姫島永久(ひめじまとわ・トワリン)と再会する。
喫茶店に同席していた蘭は、
工藤刑事として沙夜と一日を共に過ごすことを松田に命じる。

工藤刑事こと松田が現実世界でお手柄をあげて番組に復帰する
というオチは最初から読めたのですが、
いつもなら冒頭にもってくる「ひったくり」の伏線を
トワリンとの再会のシーンに重ねたことによってカムフラージュしたのが工夫でした。
また「体操のお兄さん」はギャグ演出のようでありながら、
松田の落胆ぶりを間接的に表現する手段であったところもポイントです。

パームツリーを出た松田が街で沙夜と出会い(過去の話では既に何度か会っている)、
一日を過ごし言葉を交わすのは、
先の喫茶店のシーンで回想されていた「子供に夢を与えるアクションスターになる」という松田の夢が、
クライマックスで「一番大事な夢は既にかなっていた」と締めくくられる要素となってます。
沙夜が中学生ゆえ、どうしても沙夜の言動を呆れながら見てしまうので、
間抜けな印象を拭い切れませんが「良いお話」だったと思います。
沙夜がもし小学生という設定だったなら感動の度合いもアップしていたはずですが、
この辺はご愛敬というところでしょうか。
クライマックスでの先の台詞のところでは沙夜との今日一日のカットを
フラッシュバックで挿入して台詞を強調してみてもよかったと思います。

その他特筆すべき点としては、
松田の性格を情熱的でありながら大人しめで優しい性格に設定することで
役者との差異が強調されていたこと、
またその時の声優の演技の違い(特に若かりし頃の演じ分けは見事)、
横顔で目が見えるように描いたこと、
などがありました。

パームツリー以降の蘭たちの瞳の大きさが異常に大きかったのがマイナス点でしたが、
ギャグとシリアスのバランスもよく、
全体的にはシリーズ中五指に入る出来だったと思います。

今回は「厚底ブーメラン」は展開上出さず終い。
脚をくじくからという形でフォローされてましたが、
個人的には「これじゃ厚底ブーメランが撃てない」と台詞を入れて欲しかったです(笑)
ところで渋谷あたりで駐車禁止にならずにかつ他の車も停めてないようなスペースって
あるんでしょうか。

第45話「恋模様 イロイロ→バレンタインデー」

放映日2002年2月10日

年に一度のバレンタインデーが到来。
しかし普段のデートでも手すら握らせてもらえないタツキチは蘭にチョコをもらえるか不安。
不安が募るうちにドンドンと深みにはまっていくタツキチ。
一方、乙幡が蘭のことを好きだということを薄々感づいていた綾は、
チョコを受け取ってもらえるも「本当は蘭のことが・・」と問いつめる。
その他、幸せいっぱいの美由、状況に流されることに困惑する裕也と、
それぞれのバレンタインデーが展開する・・

チョコがもらえるかどうか不安でたまらないタツキチの描写が、
馬鹿馬鹿しい話もここまでくればOKという感じで面白いです。
最初の花びらや階段の数というありがちなところからはじまり次第にエスカレート、
電車の扉のところは「誰もいないんだろう」と予想させておいて、
タツキチの両隣の扉に客が殺到するというのが一枚上をいく描写で笑えました。

一番印象的だったのは、マミリンが裕也にチョコを渡すシーン。
過剰なエフェクトを使うでもなく、
台詞と瞳の動きだけで切なげな雰囲気を醸し出していたのが見事でした。

全体的にはメインのキャラが総出演して、それぞれの恋模様が描かれるという展開でしたが、
蘭の邪魔をするために現れたカスミをもっと上手く使って、
それぞれの恋模様に一本筋を通すことができればもっと面白かったと思います。

作画では特に不満はありませんでした。

第47話「カスミ ポカポカ→憧れのコート」

放映日2002年2月24日

冬物バーゲンセールでカスミが欲しいコートを手にすると、逆の方から別の手が。
その手の主は蘭。蘭もまた同じコートに目をつけていたのだ。
いがみあう二人だが、ふと我にかえると所持金が全くないことに気づく。
そこで近々行われるフリーマーケットでお金を稼いで
このコートを手に入れようと、二人は出店を計画する。
カスミがどうしても手に入れたいのは、
それがかつて憧れた渋谷のカリスマGALのコートにそっくりだから。
そのためには手段は選ばないというカスミは
蘭の弱点を探るため喫茶店パームツリーで働くことに・・。

これまで蘭の引き立て役として憎まれ役を演じなければならない
(当然といえば当然ですが)カスミでしたが、
今回は彼女がほぼ主役ということで足かせがなかった分、
カスミのコートを手に入れるための奮闘ぶり(悪の部分も含めて)
を楽しむことができました。

喫茶パームツリーの制服に着替えると、
ルックスも可愛くなるところも心憎い演出でした。
憧れのカリスマGAL本人のトワリンがカスミにコートを譲ってくれる
という展開は、カスミの回想シーンから読めましたが、
回想シーンをなるべく後ろにもってくることで
最初から展開を読めないようには工夫されてましたし、
ラジコンの返金で見せ場もつくってのあの展開は
話としてきれいにまとまっていたと思います。

たこ焼き屋で道草食ってるカスミに電話をよこしてくる
トワリンという描写を入れることで、
カスミの行動や考えをお見通しであるということの説明になり、
後々のトワリンの(蘭の弱点を隠す)言動も全てワザとだと
何もせずに思わせるのが細かい演出だったと思います。

最後でカスミが蘭にコートを自慢するシーンは、
オチを強調するために等身まで下がっていたのがやりすぎで
わざとらしさが出てしまいましたし、
このようなオチにすること自体、
最後の最後で蘭が主役ということにこだわり過ぎたかな、と思いました。
蘭が歯ぎしりするくらいで良かったのでは。

作画面では顔の形まで変形させたデフォルメが多かったのは気になりましたが、
カスミがかわいく描けてたのでよしとしましょう。

ところで蘭の弱点は一体何だったのでしょうね。

( 更新:2002年3月1日 文責:ごま )