アニメコラム「FF:U」4

アニメコラム集「FF:U」4

各話

第5話 シド
第6話 氣現術
第7話 地下鉄
第8話 ソイル
第9話 オスカー
第10話 屋敷
第11話 シエル
第12話 フングス
第13話 メテオ
第14話 オメガ
第15話 ジェーン
第16話 気現獣
第17話 カエル ちっちゃなだいぼうけん
第18話 魔道士 きりとくものたいけつ
第19話 アイ クリアとのであい
第20話 ユウ ガウディウムのひみつ
第21話 サボテン さまよえるうみ
第22話 モーグリ なつかしいおもいで
第23話 テロス とびみずをめざして

第17話「カエル ちっちゃなだいぼうけん」

放映日2002年1月29日

前回のゲームをクリアした潜水艇ジェーンは次のキューブ(エリア)へ。
そこでは「キューブ・トードへようこそ」の声と共に現れた老カエルにより、
シドがカエルの姿に変えられてしまう。
老カエルは「人間の姿に戻れたらゲーム・クリア」だという。
シドはアイ・ユウ・リサをはじめ、乗組員たちに助けを求めるが誰も気づいてくれない。
そうこうしているうちに操縦者を失ったジェーンは沈降をはじめる・・。

正に「FF」ならではというストーリー。
ゲーム版の設定をアニメの枠組の中で見事に昇華させた絶妙のストーリーでした。
ひねた言い方をすると、
カエルがメインだったゆえ作画の負担が少なくすんだというメリットがあったのですが、
「リサに邪な気を感じられた」「アイにトイレに捨てられた」などなど、
演出上のアイデアが実に素晴らしかったのでよしとすべきでしょう。

ゲームを知っている人には「トードの魔法」「乙女のキッス(元の姿に戻す呪文)」
の登場でニヤリとさせられます。
「乙女のキッス」にシドが気づくところは少し強引でしたが、
それ以上に出来が良かったので文句ナシです。

風の出番が最近ないですねぇ・・。
でも今回はピストルを向けるという行動や、
元に戻ったシドに「カエル」とつぶやく(もっと早く気づけよ)という、
ちょっとしたところでポイントを稼いでくれました(笑)

第18話「魔道士 きりとくものたいけつ」

放映日2002年2月5日

「カエル」をクリアした潜航艇は一面に広がる雲の上で停止。
一時の休息をとるアイ・ユウ・リサたち一行のもとへ、
今回の「ゲームのお題」としてオスカーが差し向けたのは蘇った魔剣士「赤い霧」。
「風」が召喚獣を撃つも迎撃され、「霧」が放つ赤い霧に一同は身動きできない。
そこへ魔剣士「白き雲」が現れると、「霧」は戦いを挑む。
実は二人は兄弟だった・・。

刺客として放たれた「霧」と「雲」が戦うという展開に違和感を感じます。
戦いのエネルギーが「混沌」を生みだし伯爵が喜ぶということが一応作中で説明されるのですが、
そもそも「混沌」の概念自体がきちんと説明されていないので違和感につながるのだと思います。
多少くどくても「混沌」の概念を説明するシーンを作っていたなら、
印象も変わっていたでしょう。

霧と雲の戦いでシルエットを使っていたのは、作画の負担を節約しつつ見せる工夫。
どうせなら決着がつく瞬間も「折れた剣の破片と音」ではなく、
シルエットで見せた方がより良かったのではないでしょうか。

「風」がAパートで魔銃を放つのは、必殺技が破られるという典型的なパターンで、
気分が盛り上がりませんでしたが、
最後に一太刀を浴びせていたことが明らかにされたという演出で挽回したと思います。
魔銃を撃つカットが微妙にリニューアルされていたのも好印象でした。

第19話「アイ クリアとのであい」

放映日2002年2月12日

ユウとつまらない姉弟喧嘩をしていたアイは、
潜航艇の窓に怪しく写る自分の姿を発見する。
変な顔に変化するその「姿」に怒っているうちに
うっかり窓を開くスイッチを押してしまい、
潜航艇から放り出されてしまう。
アイが落っこちていったそこは海と空が反転した世界だった。
そこでアイはクリアという少年と出会う。
少しずつうちとけていくアイだが、少年は自分のことを「オメガの一部」だという・・

これまではただ怒っていたり、ツッコミを入れるだけのキャラだったアイが、
ユウとのケンカの最中に放り出されたという状況の中で、
クリアとうちとけていく描写が見所。
クリアに見せる態度が、普段は気丈にふるっていて見えにくい内に秘めたやさしさを表現していました。

欲を言えば、クリアの境遇に自分たち姉弟をオーバーラップさせる台詞のところは
回想シーンを入れて、アイの境遇を強調した方がより心情が伝わったでしょう。

作画では、クリアとのやりとりのときのアイの表情など、
力の入った細かい書き込みに唸らされました。
ただ、ポシェポケとかけあいをするところのデフォルメした表情などもそうですが、
今回の作画はこれまでのそれとは統一感に欠ける感じがあり、
ここをどう見るかで評価は分かれると思います。

第20話「ユウ ガウディウムのひみつ」

放映日2002年2月19日

海パズルを移動した潜航艇ジェーンはまたしても空の中に出現。
潜航艇ゆえに航行不能に陥る。
眼前には不気味な巨大建造物とそれを取り巻く防御システムが現れた。
そのときレッドペッパーの匂いを嗅ぎつけたチョコボがシエルチョコボとなって
ジェーンから飛び出していく。
チョコボにつかまったユウがたどり着いた先は巨大建造物、
タイラント伯爵たちがいるガウディムだった・・。

結論から言ってしまうと期待はずれでした。
サブタイトルが前回の「アイ」と続きであり、前回の内容から考えると、
てっきり前回のアイがそうであったように
今回はユウのキャラクターの内面を掘り下げる話だとばかり思っていたのですが、
結局ユウはストーリーを先に進めるための駒に過ぎませんでした。

ユウがガウディウムに行くというそのストーリー展開も
そのきっかけがレッドペッパーを取りに行くチョコボというのはいかにも強引で、
おざなりな印象だけが残りました。

防御システムとの攻防は次回まわしにして、
タイラント伯爵とのやりとりに時間を割くとかはできなかったのでしょうか。
そうすればユウの内面も掘り下げることはできたと思うのですが。

このように納得のいかない回でしたが、
4クールの予定だった本作が2クールで打ち切りとも噂されており、
残念ながらこのような展開も致し方ないのかもしれません。

( 更新:2002年3月1日 文責:ごま )