『ふぉうちゅんドッグす』第8〜13話のごまの「アニメ批評日記」-アニメ討論室

ごまの「アニメ批評日記」

『ふぉうちゅんドッグす』 >> 作品データ

更新:2002-10-01

09.30 第13話「俺はロックじゃない!」

負傷したドッチがお爺さんに拾われ、家で看病が続くうち飼い犬になりかける、という話。
ドッチの主役話。温かい看病を受けるなか、お爺さんに情が移っていくドッチの様子が描かれるのですが、
一度自らによる逃亡に失敗したときの、それでも優しいお爺さんの対応ぶりや、
フレディー、マックス、コッコが逃亡の手助けに来たときは、怪我の演技で逃げ切れずにいる様子など、
ドッチが情にほだされていく過程が丁寧でリアリティがあり、楽しむことができました。
ドッチが怪我の演技を翌日にフレディーの「治ってたんだ」と言わせるのは、
子供向けの念の入った状況説明でもありましたが、
同時にフレディーがドッチの状況を納得する過程でもあるので、しつこさはなかったです。
ラストはドッチの気持ちを察したお爺さんがつながれたロープを外してドッチを促すという展開。
余計な台詞を省いて映像によってドッチと別れるお爺さんの寂しさも描写したいいシーンでした。
敢えて難をあげると、サブタイトルでしょうか。
てっきりお爺さんのかつての飼い犬の身代わりを否定するサブタイトル通りの台詞を吐くドッチ、
という展開かと思いましたが違いました。そういう要素はありましたが。
このタイトルを残すとすれば「!」ではなくて「・・」の方が良かったと思います。

09.23 第12話「コッコの選んだ道」

一身に愛情を注がれていたコッコの環境が、飼い主夫婦の出産で変わっていく、という話。
それまで子供がいなかった夫婦による目一杯の犬への愛情が、
実の子供への愛情に変わることで減っていき、ついには邪魔者扱い、
と重くもあり、リアリティあるこのテーマをどう描いていくのか注目だったのですが、
本編の展開には正直いって期待はずれでした。
つながれている首輪をはずされたコッコがあっさり家を出ていくというタイトル通りの展開には、
コッコが何をどう考えて結論を出したのかという描写が一切ありませんでしたし、
一方の飼い主夫婦の方もコッコの住処を移しているという結果によって行動が示されただけで、
こちらもその際の心の動きが描かれてませんでした。
コッコの首輪を外すフレディーの姿が何かの暗示しているように描かれるも、
その行動の意味を自分自身で理解してないフレディーの様子が全てで、
このシーン自体の意味が伝わってきませんでした。
またこの時のコッコの様子も強がってるのか茫然としてるのかよく分かりません。
今回、全体的にフレディーの存在感がなかったように思います。
今回のような描き方をするなら、マックスと共に別行動させずに終始ドッチと一緒にした方が良かったのでは。

09.16 第11話「走れ!フレディー!」

ボビーとキンタの絆を取り戻すためにフレディーが奔走する、という話。
ボビーの親父が街から犬を排除しようとまでする過剰な反応に、
母の死と絡めて何かドラマをもってくるのかと思いきや、単なる犬嫌いと判明。
しかもキンタの母でもあるかつての飼い犬ジャズを追い出したことで、
母が病気になって死んでしまったという救いようのない真実。
「絆」をテーマにした話ということでの期待が完全に外れてしまいました。
映像的にも、これまでは犬同士の時には擬人化にデフォルメして言葉も人間語、
人間と相対するときはリアルな犬の姿と言葉は無く吠えるだけ、
と完璧な使い分けができていて本作の見どころとなっていたのに、
今回この使い分けが曖昧になってきています。
クライマックスシーンでは、ボビーを引っ張ろうとして脱げたスリッパと共に転がったフレディーを見て、
心配のあまり思わず立ち上がったことが歩くきっかけとなるという演出は良かったです。

09.09 第10話「心の絆」

犬嫌いのターナーが牛耳る町にフレディー一行がやってきた、という話。
フレディーらがやってきた時、ちょうどターナー邸の納屋が火事になり
息子のボビーが足に怪我を負っていた直後だったのですが、
「ターナーの犬嫌い」「ボビーの母に飼われていたらしいジャズ」など、
「犬と人間の絆」に関わる今回の本筋は、次回に持ち越しということでそちらに期待。
今回面白かったのは、女の子探しで別行動をとったドッチが、
「野犬捕獲」を命じられたターナーの部下(?)によって本筋の舞台に合流し、
ターナー邸内を走り回って騒ぎをより悪化させてしまうところ。
逆にいえばターナー邸に走りこんでこさせるための別行動だったわけですが、
展開にわざとらしさがなく上手いキャラの動かし方だったと思います。
その他には、土管にはまったときのドッチや、毎回空腹を主張するマックスなど、
本筋以外のところで見どころを随所に盛り込んでいたのが良かったです。
土管のところでは、一旦その前を通り過ぎてから土管に入っていくというコンテも秀逸。
マックスの間抜けぶりは、方やこれまでの経験で成長した同じ子犬のフレディーの引き立て役となってます。

08.31 第9話「頑張れ!ムック!」

フレディーたち一行が牧羊犬ムック(オールド・イングリッシュ・シープドッグ?)がいる牧場を訪れる、という話。
羊たちに馬鹿にされている牧羊犬の跡取りムックが、
コヨーテの来襲をきっかけに牧羊犬として一回り成長するというサブストーリーがひとつの見どころ。
これを通じて「人間と犬の絆」の一端をフレディーがかいま見る、という本筋を楽しませつつ見せるという形に仕上がっています。
自身はまだそれを認識していない、フレディーの見た「絆」というものが、
おそらく今後のストーリーへのターニングポイントになるのでしょう。
「単なる人間に仕えているだけ」というドッチによる指摘に、
ムックの祖父であるフェザーが、「絆」に関しての言及をしなかったのは少し物足りなさがありました。
映像面では牛にミルクを飲ませてもらうシーン、ドッチがマックスの分を横取りしている描写なのが面白かったです。

08.26 第8話「マックスと再会」

ハッピーケンネルにいたボクサー犬マックスと再会する、という話。
再会・泥棒・泥棒捕獲の場面展開で、間を埋める描写に乏しかったため間延びした印象。
マックスの登場も唐突過ぎた感がありました。
せっかくなら、マックスによるハッピーケンネルにいた頃の回想を入れれば
必然的にテンポもよくなったのではないでしょうか(回想は使い回しできますし)。
2度目の泥棒にステーキで釣られるシーンは、先の展開がミエミエなのですが、
大量のよだれ描写とドッチをはじめとする犬たちの演技で、
あの長い時間を面白さを維持して引っ張ったのは流石だと思いました。
あと、ドッチが泥棒捕獲に際して「飼い犬には家を守る義務がある」と、
飼い犬の経験という過去をさりげなくだしていたところも好印象
(結果はあまり伴ってなかったのもドッチらしくて良い)。

作成:2002-09-17 文責:ごま
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