『東京ミュウミュウ』第18話〜第26話 ごまの「アニメ批評日記」fromアニメ討論室

ごまの「アニメ批評日記」

『東京ミュウミュウ』 作品データ

更新:2002-10-10

10.03 第26話「時よ止まれ!胸にあふれる愛しい気持ち」

蛾のキメラアニマの羽化で訪れた人類の危機、という話。
東京タワーの頂上にあった繭の羽化したキメラアニマがまき散らす毒鱗粉による東京の危機、
強大な力をもつミュウアクアを東京の地中でパイとタルトが発見しつつあるという危機的状況、
ミュウアクア捜索で時間がとれない青山君とのデートの一刻と近づく待ち合わせ時刻、
という3つの軸で展開される中身の濃い内容。
その割には前回同様、雑然としていて盛り上がり感が今ひとつでした。
本編は3つの軸をそれぞれバラバラにして、無作為にくっつけたような印象で、
蛾のキメラアニマはともかく、ミュウアクア発見に至る段階や待ってる青山くんの変化する心境など、
それぞれの軸の状態の推移の度合いがつかみ辛かったのが盛り上がりを欠く要因かと思われます。
極端にいえば青山くん絡みの話は今回あまり必要なかったような気もします。
作画面では、作画監督が第10話と同じ人で、今回も影やハイライトなど細かい描き込みが強烈に印象的でした。
ただ、その分、ワンカットにおける表情の変化には乏しく、
描き込みの細かさが表情(感情)に寄与してるかという点には疑問を感じます。
アクションそのものの動きは良かったと思います。

09.25 第25話「恋のハードル、いちごの恋は障害だらけ」

東京の地下の地層にその存在を特定したミュウアクアを捜索する、という話。
いきなりうがった見方ですが、2クールでも終われる話として今回の話は存在したのでしょう
(同時間帯の他の2作にもそういう雰囲気が見え隠れしています)。
そのせいか、コメディ・シリアスのバランスの取り方に著しくちぐはぐな印象を受けます。
具体的には、ミュウアクア争奪の攻防や蛾のキメラアニマの描写。
片や人類全体、片や東京という違いはあるも、共に存在する危機感のあおり方が全然不足していました。
その一方で、ミュウアクア捜索に忙殺されるいちごと青山との恋模様は、
ベタベタに甘ったるい描写を含みつつも上手く描けていたと思います。
映像面ではSD的なキャラによるコメディ演出が鼻についたのが減点材料。
映像そのものは良かったのですが、しつこすぎてテンポが悪かったです。
「どうせ暇なんだろう?」という白金の台詞にいちごが爆発して野生化するところは、
最初はいつもの姿でまくし立てさせてからの方が面白かったと思います。
あと、赤坂がケーキやムースでミュウアクアの存在を説明するところは面白かったです。
ムースは透けて見えないのではないかと心の中でツッコミを入れてましたが。

09.18 第24話「不思議な宝石、輝きはあなたの中に」

藤原ざくろがジュエリー発表会のモデルの仕事に行く、という話。
主催する会社のダメ社員山田月子による、レインボーストーン出展の上司への度重なる交渉が、
「宝石の価値は値段ではなくて、女の子を輝かせること」という台詞と共に、
彼女のひたむきな姿として描かれているのですが、
高価な宝石を出展するのが企業の発表会として当然、という誰もが認める常識に挑むその姿は、
さながら「新興宗教」「マルチ商法」の勧誘のような怪しさ爆発で見ていて引いてしまいます。
手の込んだギャグと考えれば笑えないこともないのが救いでしょうか。
ラストも結った髪をほどいて眼鏡を外した月子がウェディングドレスを身にまとう、
という「野暮ったく見えて実は美人」の典型的展開で新鮮味に欠ける本編でしたが、
「私って何やってもダメね」という月子の台詞に、
「そんなことはありません」という街頭TV映像のざくろの台詞をかぶせたり、
モンスターは亀だから起きあがれない(映像では分かりにくい)、
予告編の「壊れたレコード」などなど、色々工夫の跡が見られたところは良かったです。

09.10 第23話「恋は突然! 乙女のハートをうけとめて」

いちごの級友もえとみわが白金と赤坂に恋をした、という話。
みわによる赤坂のお礼を兼ねたアプローチの品が「自作のポエム」という時点で大爆笑モノです。
「ポエマー」に失礼でネタとしては反則気味なのですが、アイデア先行なので許せます。
恋人になってしまうのは展開上おかしいし、さりとてストレートにふられるのは重い。
ということで、恋からファンに自ら引いていくというオチは予想通りなのですが、
みわと赤坂のポエムの内容を照らし合わせて、歴然としたレベルの差をつけるなどすれば、
反則気味な意味合いもなくなるし、大人と子供の差を自覚して自ら引いていくことに説得力もつき、
コメディとしても面白い、と一石三鳥ではないかと思いました。

08.31 第22話「夏よさらば、いちごの一番長い日」

夏休み最終日。宿題が手つかずで焦りまくるいちごのところに、タルトが嫌がらせ的に来襲する、という話。
片づかない宿題に右往左往しつつも青山とのデートには応じる。
いつもよりも時間をかけた日常描写に、敵の来襲も今ひとつ身が入っていない、
という、よりコミカル度をアップさせる内容の番外編っぽさは悪くないのですが、
宿題→デート→カフェの掃除、という展開のそれぞれに見るべきものがありませんでした。
一番の元凶は敵側がコミカル過ぎたことでしょうか。「じゃんけん」だけに留めておくべきでは。
あと今回キャラクターの目が大きすぎて変でした。

08.27 第21話「心の火花、いちごとみんとのすれ違い」

録画失敗・・。

08.23 第20話「母の記憶、お姉ちゃんは大変なのだ」

風邪で倒れたいつもは元気なぷりんは、家では弟たちの面倒を見ていて大変だった、という話。
普段は見られないぷりんの家庭の実状を描写しての感動話でしたが、
ともすれば安っぽくなりがちなこの手の話を、過剰な演出に上手くブレーキをかけていたのが功を奏しました。
最初は「悩みの打ち明けの促し」、続いては「妹の送り迎えの持ちかけ」など、
分をわきまえた保母さんの言動が良かったです。
映像面でも家庭の事情による苦悩より、風邪で苦しむぷりんの描写に枚数を割いたのが好印象。
家事手伝いにおけるいちご達の迷走ぶりがなかったのは残念ではありましたが。
あと欲を言えば、家事を手伝おうとしたいちごたちの行動が
本編を見る限り「(演出上)今回限りのやり逃げ」となってしまったのが残念。
友情を強調するなら、改めて家事手伝いの支援を提案するといった心遣いをラストシーンに入れても良かったですし、
それに対するぷりんの返答として、或いは心遣いを省略して、
家事一切をまかなうぷりんの年齢を大きく上回るスキルをもっと強く印象づけるべきだったと思います。
例えば家事手伝いのお礼にぷりんがいちごたちに料理を披露して実力を見せつけるとか。

08.15 第19話「優しさの力、海の深くに願いよ届け」

海に遊びに来た一行。一人泳げないれたすが、現地のある泳げない女の子に、共に覚えようと持ちかける、という話。
作品の本筋としては、れたすのミュウパワーの更なる覚醒を描くという目的だったのですが、
海の生き物スナメリの能力を強調するため、れたすが元々泳げないことにして、
そこから泳ぎをマスターするための努力を描いているところがベタな展開ながら楽しめます。
直接れたすに泳ぎの訓練を課すのではなく、現地の女の子に教えようとする姿勢を見せることで、
れたすのやさしさや思いやりも演出できてますし、引っ込み思案のれたすが泳ぎにチャレンジしようとすることの説得力にもなってました。
映像面では、作画クオリティが悪くなく、さりとて第17話のような突出したものでもなく、
というところが却っていい感じに仕上がっている印象でした。
海辺に到着したところでの、かなり長めの「パン」はデジタル化以降は見られない作画手法で、却って新鮮。
夕食のところでCGと組み合わせた回転する「パン」も映像的に面白かったです。

08.07 第18話「真夏の恋!いちごのハートはゆらゆら」

危機を脱出したいちご達。だが「蒼の騎士と同一人物?」と白金を過剰に気にして青山とのデートも上の空、という話。
導入が前回の使い回しだったこともあってか、蒼の騎士とキッシュの戦闘が結構動きが多くて楽しめました。
キッシュは意味不明にクルクル回ってたりもしましたし(彼の動揺を表しているのか? なんて)。
敵との戦闘を前半で切り上げて、後半をいちごの心の描写に費やすというのは、この手の作品にしては思い切った構成で、
「蒼の騎士の正体」という謎を絡めて、いちごをめぐり青山に対する恋のライバルに急浮上する白金の存在の描写。
それによって心が大きく左右にゆれるいちごの胸の内というのが非常に良く描けていたと思います。
最終的に突き詰めれば青山だということが予想できるにしても、
他の作品では「当て馬」とバッサリ切り捨てられるほどの安直なキャラに白金がなっていないところが、
本作における作り手の上手さだと思います。
戦闘が終わった後のシーンで、「蒼の騎士の正体が白金では」とぷりんが推理するところの絵の動き。
そのチープな動きが、ぷりんによる少し抜けた推理とマッチしていて面白かったです。
白金に対する、ぷりんの追究の手は甘くアッサリあきらめてしまいますが、
そこに追究をゆるめない存在として、ざくろの意味ありげな表情がワンカット。
何かの伏線なのだとは思いましたが次回以降に続くのでは、このカットの存在が忘れ去られそうな気も。

更新:上記参照 作成:2002-08-08 文責:ごま
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