前半は、父が呼んだ本「人生論」の教訓を母が曲解していく、という話。
てっきり父が死ぬと誤解する一家のドタバタかと思いきや、
母までもが影響を受ける方に話が転換するところは良かったのですが、
その後の母の描写にルーチンギャグ以上の面白さが無かったのが残念。
真面目に語ったり心底あきれ返ったり、と表題通りの父の描写・演技は堪能できました。
後半は、ユズヒコの友人藤野がまだ見ぬみかんに過剰な憧れを抱く、という話。
話を聞いたみかんがまんざらでもない反応を見せるところや、
洗面台で悦にいるところをコッソリのぞくユズヒコの図は面白いです。
これまで描かれた性格とも合致しています。
ただし、鼻くそをほじる姉という実態を示すために、
ユズヒコの会話の前にわざとらしく該当シーンをもってきているのは興ざめ。
どうやってもご都合主義な点は否めない以上、むしろ会話の後にもってきた方が良かったと思います。
1時間のスペシャル版ということですが、
ただ4本並べただけでスペシャルというワクワクが感じられないのがなんとも。
強いていえば過去話の1本目、旅行の2本目がそれなんでしょうが。
作画・映像でハッキリこれと分かるくらい頑張って欲しかったのが正直な感想。
1本目は、小さい頃のユズの性格、という話。
タイトルとは裏腹に真っ直ぐで我慢してしまうユズの描写が中心。
みかんと母のやりとりに「学習する」あたりで現在の片鱗を見せているところや、
オモチャ欲しさに何度も何度も振り返るところが面白いです。
2本目は、母が友人と一緒に旅行に行く、という話。
旅館の夕食のフルコースの量にあえぐところは、
母の性格というより旅館側の「異常性」が原因。面白さとしてピントがずれているのでは。
母が色々余計なものを準備するところは「あるある」と思わせるネタで面白かったです。
3本目は、舌をかんだ母が大騒ぎする、という話。
進行にヒネリがなく、なんの変哲もない日常という印象。
「家庭の医学」の前後でもう少し一家での盛り上げが欲しかったです。
4本目は、みかんの所属する「テディベア研究会」に新入部員がくる、という話。
実際に新入部員が現れてからは、特にコレというネタのない普通の展開でした。
4人で理想の新入部員を想像するところが面白かったです。
前半は、お小遣いアップのために一日一回母の手伝いをすることになったみかん、という話。
ほうれん草の茹で、押入からの衣装だし、洗濯物たたみと続くネタは面白いのですが、
作り手の意図が今ひとつハッキリしないのが気になります。
作品の通例からしておそらく「小遣いのために、母の理不尽な要求に苦しむみかん」という意図なのでしょうが、
ほうれん草のところはみかんの方が分が悪く「理不尽さ」が伝わってきません。
洗濯物たたみのところも「自分の分だけ」で退散してしまうところが画竜点睛を欠くという感じ。
痒いお尻をかかせる、というオチも冗長な映像で面白くならなかったです。
衣装だしのところの所々力んでるみかんの動きなど、映像はまあまあ面白かったです。
後半は、病気の看病で親にちやほやされることにみかんが憧れる、という話。
37度2分という軽めの発熱という事実を知ったときの後ろめたさや、
「うどんにナルト」「手作りプリン」等まさしく「余所は余所、ウチはウチ」的贅沢な要求をするみかんの描写で、
こちらは意図した構図がハッキリしていました。
おでこで熱を計る母の行為をユズヒコが嫌がるというオチは、映像的にも面白かったです。
あと、お粥が出来たときに箸と茶碗を持って現れる父、という小ネタがいい味つけになってます。
前半は、父と母が区民農園を借りて家庭菜園に挑む、という話。
話を聞いている水島と富山の想像という「理想」から、
実際は四苦八苦で、父は飽きっぽくて当てにならない「現実」というパターンを繰り返すのですが、
その転換シーンとなる天使を飛ばせる描写がやや間延びしている上、ネタ的にも面白くないです。
飽きっぽい父の姿や演技が抜群だったので、まあまあ楽しめました。「素材そのまま」という小ネタも。
個人的には「パンツ吊り下げ」の所は映像で盛り上げて欲しかったですが。
後半は、母によるレッテルでみかんが苦悩する、という話。
母のレッテル(ダウンベスト→救命胴衣)をみかんが想像するときのテンポの取り方が良かったです。
ただし「母の呪縛は恐ろしい」とみかんがしつこく繰り返すのは説明的すぎて興ざめ。
落ち込むみかんを後目に去っていく母のスキップも絵的に今ひとつ。
来客の山田さんを「さつま揚げ」と評した母が、
彼の忘れ物を届けたに会社の受付まで来たところで名前の方を思い出せなくなる展開は面白かったです。
あと、父役と山田さん役の声優は共に九州出身だそうで、九州弁に嘘っぽさを感じさせなかったのが印象的。
最後のおまけ(地蔵改札)はハッキリ言ってすごくつまらなかったです。幼児向け番組ですか、これは?
前半は、ブレーカーが落ちないよう誰が電気を使うかでもめる、という話。
こういう話をするときは何が正しい知識かを、みかんのナレーションぽい台詞でもいいし、
字幕スーパーでもいいから、何らかの形で示さないと受け手が意識の置き場所に困ってしまいます。
今回の場合も、「母VSみかん・ユズヒコ」という構図を正しい知識から客観的に考えると、
食事時にワット数の高い電気製品を使っているみかん(や同調するユズヒコ)の方が全面的に悪いのであり、
「なら自分で食事を作れば」という母に対して「またそんな事を言う・・」と呆れ顔のユズヒコ、
という作り手の意図した笑いの構図を受け入れることができません。
更には「ユズヒコのCDラジカセはヘッドホンを使っていれば大した電力でない」、
「電流の総和が契約電流を上回れば、やはりブレーカーが落ちるので、
母が行った部屋別に電気製品を使うという対策もほとんど無意味」
といった作り手自身が電気の知識に乏しいようなところが見え隠れしています。
他にも、ガスコンロで湯を沸かせば電気ポットで電力を食うこともないとか、
換気扇や扇風機は電力を食わない、洗濯機は止められるなどなど、
ツッコミどころは満載なのにそれが行われてないのは大いに疑問でした。
後半は、勉強しにみかんの家にやってきた友達に母の奇行を見られる、という話。
母の俊敏な動きが「奇行」というより意図したオーバーアクションというあざとい演出に見えました。
そして、それをみかんが「謎」といって解説するのも余計な台詞でした。
母の動きはむしろ緩慢に見せた方が面白かったように思いますし、
みかんは無言で解説を省き、動きだけで「奇行」であると受け手に見せるべきでした。
ローラーが天井に張り付くというオチは面白かったです。
前半は、歩き方を気にする母が「歩き方教室」にいく、という話。
喫茶店の窓ガラスに映る自分の姿を見ながら歩き方を色々試すシーン。
映っていたのは日光の当たり具合だったため、中の客は「不審な人物」と驚くのが面白いです。
「教室」で半ば勝手に振る舞うのはパターン化してきた感じ。
本を頭にのせる時の、母のリフティングもどきはもう少し演出を利かせて欲しかったです。
後半は、ベランダに置いたざくろの鉢植えになってる実が消えていく、という話。
徹夜で見張りをする母の姿にみかんとユズヒコが顔を出すところからオチにかけての、
「しんみり」から「ほのぼの」というムード演出はあざとすぎてつまらないです。
カラスよけのためにユズヒコのCDを勝手に使っているのが判明するところは面白かったです。
CDの裏面から表面へとひっくり返してようやく気づくという「タメ」が良かった。
今回、どちらの話も全体的にはネタを漫然と消化しているだけで、
上記以外には特筆すべき点がありませんでした。
前半は、週刊誌に載ってた教育法を母が付け焼き刃で実践する、という話。
ほめるのに慣れてない母が、本来全く別のことであるほめるのと叱るを混同してしまうのがいかにもで面白いです。
以降、言葉上は皮肉でしかなのですが、描写と演技でほめてるように見せているのが上手い。
後半は、自分より裕福な友達の家にみかんがお邪魔する、という話。
ちょこまかと動く、みかんの羨望ぶりが面白いです。ただし「目のうるうる」はちょっとやりすぎ。
トイレのスリッパを間違えて履いてきたところに気づくところは止め絵のカット割もタイミングよく決まっていましたが、
その後のシーンが長すぎて間延びしてしまってました。
前半は、母とみかんがアクアビクス(水中で行うエアロビクス)に挑戦、という話。
ダイエット効果に惹かれて挑戦するも、動きの激しさに最後はダウンする展開でしたが、
アクアビクスの動きを枚数使ってきっちり描き込まれていて、動きが楽しめました。
早口を披露する水島さん(愛河里花子)の演技もいいアクセントになってます。
後半は、料理を思い立ったみかんが母の台所の様に驚く、という話。
ぎゅうぎゅう詰めの野菜室、雑然とした台所の引き出しなど、
母ならずとも身に覚えありそうな家庭が多いと思われ、
笑うより先にギクッとしてしまいそうなのがなんとも・・。
こちらもみかんが料理する際の動きがよく描き込まれてました。