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ごまの「アニメ批評日記」

『満月をさがして』第34〜40話

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更新:2003-05-27

2003.05.20 第52話「満月をさがして」

迫る寿命、タクトの記憶、めろこの処遇など、様々な不安を抱えて迎えたフルムーンのコンサート、という話。
「タクト」と叫んで声をとりもどす満月というラストシーンが最初にあって、
そこまで整合性をもたせてたどり着かせたという作りでした。
満月に多大な影響を与えた一人(二人)でもある両親の描写がなかったり、
満月に影響を与えられたおばあちゃんの描写が淡泊だったりと、
そこかしこに穴は見受けられるものの、
全員ハッピーエンドというご都合主義的展開にそれなりの工夫を凝らしてあって、
陳腐さを気づきにくくさせた、なかなか良い締めくくりだったと思います。
欲をいうと「英知くんの死の受け入れ」という描写がきっちりなされていたら更に良かったです。
本編は、出来ない英知の死の受け入れ→目的を失って歌えない→新たな目的をもって歌えるようになる、
というものでしたが、「英知くんの死の受け入れ」ができていたら、
英知からタクトへの恋という満月の心境の変化のリアリティがもたせられたのではないでしょうか。

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2003.03.12 第46話「新月の夜に」

全てを思い出したタクトが、ルートLのヴォーカルだったその過去を満月に語る、という話。
タクトが語る過去、「生きたかった」という心からの言葉に、生きる力を取り戻す満月。
その歌がタクトを幽霊化から救い、お祖母ちゃんは初めて聴くその歌声に偏見を洗い流される…
展開としては凄く良くできていたと思います。
でも、やはり細部の詰めの甘さが露呈していて純粋に感動するにはほど遠い出来でした。
お祖母ちゃんを放置して語るタクトたち、何故か巡回する若王子、説得力のないタクトへの奇蹟など、
展開を構成するそれぞれの要素がリアリティに欠けています。

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03.05 第45話「いずみの誘惑」

いずみが現時点でその魂を捕獲しようと、抜け殻状態の満月を死に誘う、という話。
平行して描かれる、生前の記憶によって苦悩するタクトが、
それを振り切って満月の窮地を救うというのはミエミエのパターン展開でしたが、
挿入されるめろこの回想や、満月を制止するお祖母ちゃんの行動など、
それぞれのキャラクターの心の動きが伝わる作りになっていたと思います。
満月と入れ替わりにお祖母ちゃんが転落するところは不自然で、
タクトが過去の自分のことを台詞でいうところが説明的だったところは少々気になりました。

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02.26 第44話「共鳴する心」

魂の抜け殻のようになってしまった満月の前に、フルムーン休養に疑問を抱いた円が現れる、という話。
満月への思いとちらつく生前の記憶に苦しむタクト、任務優先とタクトへの思いに葛藤するめろこ、
フルムーンに健全なライバル心をもつ円、若王子を拒絶するも自分で調べた満月の最良の治療先が若王子だと分かる祖母。
これまでの設定・伏線が存分に生かされた形で、これらのキャラクターが抜け殻の満月をとりまく…
と話の形としてはすごく良くできていたと思います。
しかし残念ながら、それ以上のものを感じることができませんでした。
第41話前半部のような生々しさが伝わってくるような作りだったら最高だったのに、と思います。
あと、ラストの方でいずみに籠絡されるに至るめろこの思考回路は強引でした。

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02.12 第43話「もう二度と歌わない・・・」

アメリカから帰国する一行。英知の死に満月が抜け殻のようになってしまう、という話。
必然的に声がでなくなるという手術を拒否する満月、というシーンが今回一番の山場。
のはずなのですが、そのシーンの描写では、
「歌わない」と言って抜け殻状態になってる満月の最後に残された自我
という演出意図が分かりにくかったのは残念でした。
病院を転々とする祖母、そして最後にいきついたのは若王子先生という展開は陳腐。
満月救出に関わってきそうな円、明かされつつあるタクトの正体、
いずみ&ジョナサンによる「命を狩って保管」という提案など、
今後の展開を楽しみにさせる要素がいくつか提示されていたところは良かったと思います。

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01.28 第42話「エターナル スノー」

英知が養子として引き取られた家にたどり着いた満月が、英知の死を知る、という話。
ショックを受けた満月が自暴自棄な行動を見せるという展開は、
今まで何度もあり行動の一貫性という意味ではリアルなのかもしれませんが、
タクトや若王子たちなど、まわりの人間の歯止めがあった上でというものでなければ
ご都合主義にしか感じられず、興ざめしてしまいます。
前半、英知の家に歩き続ける満月とそれを何とか阻止しようとするタクトとのやりとりは、
「英知くんのことになると、いつも変になる」という満月の台詞にもあったとおり、
これまでに積み上げてきた満月とタクトの間における描写が生きた形でもあり、
葛藤するタクトの心の描写も丁寧に描かれていて、
その場に居合わせているかのような生々しさが伝わってくる良い演出でした。

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01.15 第41話「英知くんのいる街へ」

英知が住んでいるはずの街にやってくるも、案内役の人が見つからず途方に暮れる、という話。
前回のラストにあったタクトの告白に対する「私だって好きだよ・・友達だもん」という満月の返事は、
天然ボケかと思わせておいて、後からドキドキするという描写によって潜在意識を表現するという上手い演出でした。
タクトの感情移入させて間をとっていたのが効果的でした。
本編は案内役すら見つからない事態に満月がショックで倒れる、というベタな展開でしたが、
タクトに想いを寄せるめろこの姿を合間に入れていたのが工夫でした。
時にシリアス、時にコミカルにと「百面相」させることで、本編の臭さを上手く緩和していました。

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作成:2003-02-08 文責:ごま(goma)