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ごまの「アニメ批評日記」

『満月をさがして』第34〜40話

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更新:2003-01-20

01.15 第41話「英知くんのいる街へ」

英知が住んでいるはずの街にやってくるも、案内役の人が見つからず途方に暮れる、という話。
前回のラストにあったタクトの告白に対する「私だって好きだよ・・友達だもん」という満月の返事は、
天然ボケかと思わせておいて、後からドキドキするという描写によって潜在意識を表現するという上手い演出でした。
タクトの感情移入させて間をとっていたのが効果的でした。
本編は案内役すら見つからない事態に満月がショックで倒れる、というベタな展開でしたが、
タクトに想いを寄せるめろこの姿を合間に入れていたのが工夫でした。
時にシリアス、時にコミカルにと「百面相」させることで、本編の臭さを上手く緩和していました。

01.08 第40話「盗まれたペンダント」

バスの乗り継ぎ地の渓谷地で窃盗団に遭遇し、満月がペンダントを盗まれる、という話。
冒頭の元気のない様子からネックレス探索に満月と行きだす辺りで、ラストシーンの告白が予測できます。
渓谷での一夜には、恋愛感情を下敷きにしたタクトの葛藤やタクトと満月の会話によって盛り上がりを感じさせていて、
今回に限っていえば筋の通った展開ではあるのですが、タクトの恋愛感情の自覚という前回も含めて駆け足過ぎる印象。
「ひょっとして打ち切り?」とすら思えてしまうほどです。
タクトが谷底に飛び降りた時、「能力」を知っているはずの満月がとりみだすところは、ともすれば嘘臭くなってしまうところなのですが、
タクトの異変に気づく満月の姿と、それに言及する会話によって満月のタクトに対する意識を大きくしていく本編によって、
それを感じにくくさせていたのは良かったと思います。

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01.04 第39話「太平洋を越えて」

喉の治療や英知くん探索を兼ねて、新人賞の副賞の行き先であるアメリカにやってきた、という話。
随所に英知くんとの思い出を回想シーンとして描きながら進行し、最後「英知くんが好きだって気がついた」という所まで行きつくという本編でしたが、
それぞれの回想シーンの長さやテンポの取り方が絶妙で、話の流れを止めることなく見せていたのは良かったと思います。
今回、満月と英知の過去とタクトの独り言に重要なシーンがありましたが、これらの演出には引っかかりを感じました。
まず満月と英知の過去では、英知に告白された満月が恥ずかしさのあまり、その後会話を交わすことなく別れの時を迎えたということが明らかになりましたが、
好きだという気持ちをこれまで散々描いておきながら「恥ずかしくて話せない」行動をとるのは変である上に、
この年頃の女の子の行動としてはリアリティを欠いているような気がします。
本当は好きだったのに告白されたあと話せなかったということを、「人見知りする性格ゆえ」というのが作り手の理由づけのようですが、
むしろ人見知りする性格なら、仲の良かった英知との結びつきは尚更強くなる、というのが自然な行動だと思います。
タクトの独り言は満月への想いを明確にする描写で、そのことはこれまで何度も伏線として描かれてはいましたが、
タクトが満月への想いを自覚するシーンがなかったため、話が一足飛びになってしまっています。

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12.27 第38話「おばあちゃんの過去」

新人賞の優勝商品であるアメリカ行きに、満月の新たな治療法の為という追い風が吹くものの強硬に反対する祖母、という話。
以前は嘘をついてお泊まりしたから今回はきちんと祖母を説得したいという満月や、
「分からないものには命を託せない」と強硬に反対する祖母など、
リアリティのある人間描写によって展開されるアメリカ行きの交渉シーンには迫力がありました。
そこから話をどうもっていくかに注目でしたが、満月が祖母に「大嫌い」と言って飛び出して以降は正直期待はずれでした。
まず「大嫌い」という台詞自体が満月の性格からして説得力に乏しい描写で、
祖母に娘(満月の母)の姿をシンクロさせるためのわざとらしい演出というのがあからさまです。
そして肝心の祖母の過去の描写は、ここまで散々意味ありげにあおっていた歌への反対理由が、
単なる個人的事情による好き嫌いというだったという事にしかなってませんでした。
ああいう過去であったにしても、もっと祖母に感情移入できるほど時間をかけて丁寧に描くべきだったと思います。

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12.19 第37話「満月からの贈り物」

大重のマンションで満月のクラスメートたちを集めたクリスマスパーティが開かれる、という話。
番外編的な展開のなかで、めろこのクリスマスプレゼントによる告白で満月・タクト・めろこの微妙な関係をさりげなく描く一方、
久美の恋の行方、大重と若王子の恋の伏線を進行させたり、と盛りだくさんな内容で楽しめました。
クリスマスということで円も歌手として復帰、演歌歌手の昆巻まで登場、と全体的にいい雰囲気でした。

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12.10 第36話「運命の新人賞」

音楽祭にノミネートされたフルムーンが、当日いずみによる偽メールで空港に呼び出される、という話。
真実を知るも、舞い上がっていたことに気づいた満月が自分を取り戻し吹っ切れる、という結末でしたが、
悲しい真実と嘘の喜びのどちらを選ぶかで葛藤するタクトと、偽メールに翻弄され続ける満月とを平行して描き、
空港という舞台で2つのストーリーがつながるという構成が見事。
空港から音楽祭に戻る満月の描写には、改めて前に向かっていこうとする意志がよく表れていました。
ひとつ気になったのはめろこの扱い方。
今回はタクトを説得する役まわりだったのですが、前回の行動との統一性がなかったのが残念。
最初から「全体を見渡しつつ心配する」というスタンスを描いていればもう一つ盛り上がれたと思います。

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12.06 第35話「英知くんからのメール!?」

英知くんからメールが届いたことで病状が好転する満月、当惑するタクト&めろこ、という話。
自分の死期をより具体的なものとして感じた満月の恐怖感がよく出ていました。
前回の真田さん(ブランコおじさん)の話の直後にもってくるところが効果的になっています。
メールの内容の具体的さ、控え室の扉の前で話を聞いてしまうという意味ありげな描写から、
「犯人」はてっきり大重さんかと思ったのですが、本編の展開ではいずみだったようです。
いずみがどうして満月の細かい事情を知っているのか、という疑問は感じますが、
メールという一要素によって、満月の喜び、タクト&めろこの当惑、タクト&めろこといずみの確執
等を同時に描いているのは上手いと思いました。
前半、めろこが怒ってタクトの前から離れていくシーンは、
離れていく時の描写から何か深い考えがあっての行動に見えて、その後の展開を期待したのですが、
蓋を開ければ、めろこを一人にしていずみとのやりとりを描くため、
即ち単なるめろこの嫉妬心に過ぎなかったというわけで、少しガッカリしました。

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12.02 第34話「ブランコのおじさん」

満月と同じく、死神に死期を宣告され寿命残りわずかとなった男と出会う、という話。
満月がたどりつつある運命の間接的描写、というある意味残酷な展開でありながらも、
おじさんと打ち解ける満月、タクト&めろこを人間的(?)に評価するおじさん、
などの要素によって「力強く生きよう」という部分が強調されたいい話だったと思います。
おじさんの歩んだ人生、寿命を満月に分けるという申し出など、
おじさん絡みの描写は陳腐なものが多かったですが、さほどそれを感じさせないのは演技の妙でしょうか。
「満月が死神の姿を見えている・見えていない」のネタは、
タクト&めろこといずみのやりとりの前にそれと分かる描写が欲しかったところです。
ちょっと前の話のネタなので正直忘れていました。

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作成:2002-12-03 文責:ごま(goma)
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