『満月をさがして』第27〜33話ごまの「アニメ批評日記」fromアニメ討論室
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ごまの「アニメ批評日記」

『満月をさがして』

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更新:2002-11-24

11.21 第33話「忍びよる病魔」

修学旅行直前に病状が悪化した満月が、若王子にそれを隠してしまったため一大事に、という話。 フルムーンの新曲感謝パーティは、
元バンドの若王子、元アイドルの大重が、フルムーンのバックバンドと「スタジオでセッション」と盛り上がり、
病状悪化の満月と連絡をとれなくするための伏線だったのですが、
「楽しそうな若王子達に迷惑をかけたくない」と、
病状を隠した満月の思いに、修学旅行に行きたいが為の利己心だけでなく思いやりという行動原理を盛り込んだのが上手かったです。
別の先生による手術の進言をハッキリ断ることができない満月の描写は、
若王子がいないことの不安による緊迫感を表すとともに、ラストへの伏線。
これによって「命を預けるかくらいは自分に選ばせて」という台詞がズシリと重みを感じさせる印象的なシーンとなりました。
非常勤になった事実、不在で連絡がとれない若王子に憤懣をあらわにする祖母の姿も生々しさがよく出ていました。
保護者の態度としては当然至極で普通なのですが、これも今回の場面設定がそれをより効果的にしていました。
満月の命を最優先する祖母、声だけは奪われたくない満月、死神としての立場のタクト&めろこ、
等々、それぞれの思惑が入り乱れつつ「命」のやりとりが描かれたいいお話でした。
欲を言えば修学旅行のフォローがなかったのが心残りでした。
結局は修学旅行も今回の重い場面設定のための一要素に過ぎなかったわけですが、
「行けなくなってしまった」で何のフォローもないのでは、演出上のあざとさが露出してしまったように思えます。

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11.14 第32話「素顔の円」

ラーメン屋のレポーターの仕事から逃げ出した円と満月がバッタリ出会う、という話。
歌手としてやる気を無くしていた円が復活にむけて立ち上がるまでを描いた話だったのですが、
フルムーンではない満月と円とのやりとりの場を上手く(少し無理矢理っぽくもありましたが)設定することで、
強がってみたり未練があったり、という円の素顔の姿が、映像上演出上ではよく描けていたと思います。
しかし、それを演じる肝心の声優の演技の方が大いに疑問で、せっかくのいい話が魅力半減していました。

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11.08 第31話「学園祭の秋なんです」

ライブの仕事で行った学園祭で、イベントの優勝商品に無理矢理されてしまう、という話。
フルムーンのボディガード役として、これまで見せなかった人間実体化の姿を見せたタクトが、
そのまま満月と学園祭デートに流されたあと、フルムーンの唇を守るためにイベントに乱入という展開。
まんざらではなさそうに始まった学園祭デートから、プラネタリウムで思い出を聞かされ「俺は英知のかわりじゃない」
とタクトが不機嫌になるところまでは、作品の流れに沿った(作品としての)いい雰囲気だったのですが、
終わってみれば、学園祭イベントに乱入する羽目にさせるための強引な話の作りでしかありませんでした。
めろこがコンテストに出場するのも二人っきりにするための作り手の方便だったわけですが、
これを冒頭にもってきた分、全体が馬鹿馬鹿しく始まって馬鹿馬鹿しくまとまった形になり、力を抜いて楽しめた話ではありました。
それにしても、イベントの「ラブラブアタック」は20年も前の関西ローカル番組のパロディだったような・・

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11.01 第30話「英知くんを知る人」

養護学校時代の恩師で現アメリカ在住の和美先生が満月に会いに来た、という話。
満月の和美先生に対する、同じくアメリカにいるらしい英知への言づての内容というのが話のテーマ。
直接的な言づてではなく、「歌で自分の存在を伝えたい」という当初からの考えを重視させるために、
和美先生も英知の居場所を知らないとしたのが話の組立における工夫で、
直接的な言づてをしなかったことへの不自然さが多少は緩和されていたと思います。
とはいえ、やはり直接的に伝えたいというのが人情というもので、
「普通に『会いたい』という言づてで会えるものなら既に会えているはず」とか
「夢に向かって努力していることのアピールによって会ってもらえる」という部分をもっと強調した方が良かったと思います。
そういう意味で、ただむくれてるだけのタクトという描写は、
「満月への感情」という含みがあるというものの、説明不足な感がありました。

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10.25 第29話「新たな死神、いずみ&ジョナサン」

めろこ&タクトが任務を真っ当に遂行しているか見極めるための死神がやってきた、という話。
少女漫画には恋のライバルがつきものですが、満月は英知一直線で微妙な存在のタクトも動かしにくい、
ということでめろこの方に三角関係を作ろう、という意図でしょうか。
円絡みの話も一段落したのでタイミングとしては悪くないと思います。
それにしても神術を施してることがバレたら大変、などという設定はすっかり忘れてました。
せっかくの良い機会なので第1話の回想シーンを入れてみてもよかったのでは。
さて本編は、嘘はバレバレと見ているいずみと同じ視点での、めろこ達の奮闘ぶりが笑えました。
なかでも死神が見えないフリをする満月と、それをあっさり見破るいずみとのやりとりが面白いです。

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10.19 第28話「満月って恋の達人?」

満月が、友人の久美から恋の相談をもちかけられる、という話。
フルムーン、満月、友人たちの構図の取り方が工夫されていて楽しめました。
設定のおさらいになりますが、フルムーンは満月の肉体だけが成長した姿であり精神はそのまま。
精神における外見と中身のギャップに成長姿のフルムーンが苦しむというネタは、
「スタジオぴえろ」の魔女っ子シリーズにありそうですが、
今回は「中身は子供」というフルムーンの内面を満月に喝破(本人だから当然)させ、
それがやぶ蛇となって満月本人が恋の達人扱いに苦しむという展開が面白いです。
実は恋の達人などではない、という真相は時間軸的には冒頭のシーンで明らかにされていて、
上の空で聞いていた久美がそれに気づかなかったというオチも良かったです。
捻った面白さであると同時に、満月の思いやりが表されていたと思います。

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10.09 第27話「絶対に負けない」

フルムーン対円の競作、同日レコーディングの当日まで、という話。
今回は円にスポットを当ててストーリーが展開。
高須プロデューサーを奪ってしてやったり、
と思っていたら満月側のプロデューサーが元ルートLのメンバーと知って芽生える不安。
「このままじゃ負ける」と、いつもの謀略に出てみたものの、
それが原因で自分自身の集中力を欠いてしまう。
と、正面から倒す意気込みとの矛盾に自滅していく過程が上手く描かれていました。
よくよく考えると、実在のアーティストの曲を使う以上、作中での競作というのは成立しにくく、
レコーディング直前に円が自滅するというシナリオしかありえないのですが、
自滅の過程が丁寧に描かれていた分、それを感じにくくできたと思います。
ただ、円がスキャンダルをねつ造するところや、レコーディングまで本当に1回も歌わせないところなど、
リアリティに欠けるところで興ざめしてしまうのが、本作によく見られる減点材料。

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作成:2002-10-20 文責:ごま
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