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ごまの「アニメ批評日記」

『カスミン』第2期

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更新:2003-06-09

2003.05.29 第26話「カスミ、さよならする」

全話の評価★★★★★

霧彦がヘナモンの世界に帰る日が迫るある日、楓とユリにヘナモンの秘密がばれる、という話。

見どころは、秘密がばれた仙左衛門たちを楓とゆりが人間界に引き止めるところと、
カスミが霧彦とお別れするところ。
どちらも「ヘナモンと人間の共存」という作品の中のテーマを生かしつつ、
受け手の心を和ませるいい雰囲気を作り上げていました。

楓とゆりのシーンでは、秘密を知って錯乱し仙左衛門に敵対ともいえる態度との対比によって、
ヘナモンと共存する道への発見、そこから見せた人間的やさしさが表現できていたと思います。
自己防衛を図る楓とゆりの台詞に対する仙左衛門の「争いは無意味だ」という台詞が、
楓の態度が変わるきっかけとして上手いと思いました。

ただ、錯乱→仙左衛門に敵対のところは、受け手にとって彼女たちこそが悪者なので、
その台詞があった楓に対して、ゆりの方の心の解決が見られなかったのは非常に残念でした。
例えばエピローグで、ヘナモンを暴こうとするシカオに対してゆりがとぼけてみせるシーン
などがあっても良かったかと思います。

霧彦との別れのシーンでは、
嫌が応もなく流されていく現実のなかで精一杯心を通わせようとする
子供らしい別れの姿をリアルに描写できていました。

見どころのシーンは楽しめましたが、全体的にはまとまりが今ひとつ。
楓とゆりが秘密を知ってしまうところに至る展開が工夫に乏しくご都合主義な印象大。
偶然の積み重ねでそこに至ったという演出くらいはして欲しいです。
あと、楓たちと霧彦の描写を同一話で行う必然性もなかったように思います。

脚本:吉田玲子 絵コンテ・演出:志村錠児 作画監督:長岡みどり

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2003.05.22 第25話「カスミ、ヘナモンになる」

カスミが土鍋のヘナモンに変化してしまい元の姿に戻れなくなる、という話。

元の姿に戻れなくて困ったカスミの様子を終始描いていて面白かったです。
土鍋のヘナモンということで、自分の身体で料理をさせられる羽目にもっていくのですが、
霧彦との関係を邪推された際の興奮を鍋の沸騰具合で表したり、
まくしたてるところを鍋がコトコト揺れる様子で表したりと、
土鍋の身体という状況設定での練りこまれた演出が話を大いに盛り上げていました。

声が同じだと自分の正体に気づいてもらえない事に説得力がなくなるので、
土鍋のカスミン役に「天才バカボン」のバカボン役でおなじみのベテラン山本圭子を起用。
本来の役の市橋かおりのモノローグを併用して困っているカスミの様子を表現するのですが、
さすがベテランということで、その辺りの演技は言うことありませんでした。

霧彦が「鍋」を連呼するところも、
次の展開を期待させていて、ちょっとした見どころとなっていました。

あと、水炊きのシーンでは、ワンカットにおける全体の構図に対して土鍋カスミンの向きが細かく変化させることで、
それぞれのカットにおけるカスミンの心境を間接的に表現しているのが上手いと思いました。

そして一番の見どころは土鍋がテーブルから落ちて割れ、カスミが元の姿に戻ったところ。
元の姿に戻っているのに割れた土鍋のつもりで錯乱しているカスミの様子は演出的にも面白いですし、
映像的にも枚数を使ってコミカルに表現できていました。

全体的にはすごく楽しめた話でしたが、細かいところで気になった点がいくつか。
まず前半、土鍋カスミンの正体を龍ちゃんやポトポットら霞家のヘナモン達に気づいてもらえないシーン。
あらいさんが診断姿になったところまで全然気づかない状況に変化がないのは、
間延びしている上に、あらいさんのキャラクターの設定に反しているように感じました。
「なんだか変だけど、まあいいか」くらいの変化はつけても良かったと思います。

土鍋カスミンとハニワ夫人とのやりとりのところでは、
土鍋カスミンの正体に気づいたと見せかけて、実は適当に話を合わせていただけだったというオチという演出意図でしたが、
むしろ受け手には気づいていない事が丸分かりだけど会話のつじつまはあっている、
という風に演出する方法はどうだったでしょうか。

あと、土鍋カスミンと霧彦のキスシーン。
おでこにキスするというのはいかにもNHKという感じでしたが、
どうせなら、「やっぱり唇じゃないと駄目なのかな?」というやりとりに、
龍ちゃんが飛び込んできて偶然口でキス→それでも戻らなくてカスミ、キレる
という展開から本編にもっていけば龍ちゃんのキャラも生かせた上に、
カスミがキレることにより説得力が増したのではないかと思いました。

脚本:池田眞美子 絵コンテ・演出:小原正和 作画監督:赤尾良太郎

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2003.05.16 第24話「ドグウちゃん、お姫さまになる」

霞家にやってきた龍王の使者によって認められたドグウちゃんが王子のお妃候補に決まり、お妃修行で騒動になる、という話。
正にシンデレラとなったのがわがままなドグウちゃんということで、終始翻弄されるという霞家という図でしたが、
とりたててどうということもない騒動の様子と、もとより話自体が使い古されたネタだったことで退屈な一話でした。
事の真相は、使者が二世代前の龍王に使えていて龍ちゃんとは無関係だったというもので、
「パターンとしては何かの間違いなのだろう」という予想は抱くものの、
最後になって唐突に真相がきたという印象が強く、あっけにとられてしまいました。
どうやら、龍王の使者が現れるときの仙左衛門の「前に来たのはいつだったか」と、
龍ちゃんに反応しない使者という構図が伏線のつもりのようなのですが、
「さり気ない伏線」というより「何もしていない」と言える、件のシーンの演出では理解させるのに無理がありました。
受け手はヘナモンに対して「長く生きる」と認識しているのですから、
二世代前ということを伏線として認識させるには、もう少し明確なものでなければならなかったはずです。
いっそ受け手にはネタばらしをしてしまって、登場人物たちとの認識のズレを楽しませる演出の方が良かったのではないでしょうか。
ドグウちゃんと龍ちゃんの組み合わせは新鮮で面白かったです。

脚本:笠原邦暁 絵コンテ:佐々木和宏 演出:西村博昭 作画監督:海老原雅夫

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2003.05.10 第23話「霞家、われる」

桜女の下に届いた大量の桜づくしの食品に興味津々のカスミと仙左衛門が対立する、という話。
レギュラーのヘナモンを含む霞家一同に睨まれ対立するカスミという構造が新鮮。
仙左衛門の横暴ぶりから次第にカスミに寝返っていくという展開のなかで、
それぞれのキャラクターの性格を上手く使って面白い話に仕上げていました。
特に桜女に対立を煽る蘭子の使い方が良かったです。
ベテラン声優による仙左衛門とマスターの絡みもちょっとした見どころ。
今回、特にカスミの顔のカットがコロコロと表情豊かに変わるところが良い味つけになっていて、
終始笑いっ放しの一話になりました。

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2003.05.01 第22話「モモゾウ、さまよう」

子供達の遊び相手にされなくなった木馬型遊具のヘナモン、モモゾウが霞家にやってくる、という話。
ストーリーとしては、和文タイプライターのヘナモンの回でも見られた、
不要になった存在、忘れ去られた存在にスポットを当てるという本作のパターンと言える話。
映像的、演出的にオーソドックスな作りで特筆すべき点はありませんでしたが、
モモゾウがヘナモン保育園に落ち着くところまでを気軽に楽しめるように見せていました。
今回はなんといっても、なぜか名古屋弁を話すモモゾウ役の島田敏の演技に尽きると思います。
三枚目のキャラクター演技は氏の十八番ですが、再現度の高い名古屋弁がそれを更に引き立てていました。
前半は今ひとつこなれてなくて、後半にいくにしたがって舌が滑らかになっていくのはご愛敬といったところでしょうか。

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更新:上記参照 作成:2003-05-02 文責:ごま(goma)
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