10月5日(土)からMBS、TBS他で夕方6時より放送、10月12日(土)からCBCにて夕方5時より放送のテレビアニメです。
更新:2003-01-20
クルーゼのモノローグにより戦争の経緯を説明しつつ進行する総集編。
これまではっきりしなかった戦争の経緯を明らかにするという、
総集編ながら意味のある主眼を置いていたので退屈しませんでした。
主義主張では初代ガンダムと同様、敵側に正義があるらしいと分からせるだけで十分なのですが、
全て説明で終始するのではなく、断片的なシーンのつなぎ合わせで理解させる演出も好印象。
地球に降下するアークエンジェルに襲いかかるザフト軍と、それを阻止する第八艦隊の攻防、という話。
初代ガンダムの「大気圏突入(第5話)」にあたる話でしょうか。
アークエンジェル及びガンダムの情報をアラスカ基地に送って量産体制を整える、
という行動理由がきちんと提示されているところは好印象。
しかし、ここに至って戦闘のアンバランスなところがかなり鼻についてきました。
登場するモビルスーツがガンダムのみで、ザフト軍の4機が地球軍を蹂躙するばかりというのは、あまりにもアンバランスです。
特に今回は、重力圏の境界、一個艦隊との対決という過酷な状況にも関わらずモビルスーツが一機すら撃破されないのはご都合主義過ぎます。
本編でホフマン大佐に言わせたように「それほどガンダムの力が驚異」であるとの演出という意味は分かるのですが。
敢えて乱暴な言い方をすれば、今回イザークは戦死するべきでした。最もいい死に場所だったはずです(演出的に)。
戦闘不能にとどめるアスラン、離脱するその艦を撃沈するクルーゼという対比は良かったと思います。
艦隊に合流して一息ついてアークエンジェル。そこでキラ達学生の面々が艦を降りるかどうか、という話。
学生達の中で唯一何の貢献もなかったフレイが私怨にかられて真っ先に軍に志願する、
というのがサブタイトルの意味だったのですが、選択というほどのものでもなく分かってみると拍子抜けしました。
展開そのものは悪くないだけに、サブタイトルには気を配りたいところです。
除隊許可証という仕掛けが登場するところはなかなか面白かったです。
ただ登場した時点で読めてしまう、軍に残る意志を示すため許可証を破り捨てる陳腐な演出は回避して欲しかったと思います。
キラの処遇を巡るところでは、ラミアス−ナタルの見解の相違が閣下−ホフマン大佐にそのままシフトしていることにより、
今後もラミアスとナタルの確執めいたものが描かれることを期待させます。
閣下はおそらく大局を見据えることのできる将校として描かれているのでしょうが、
声優の演技に統一性に欠けるきらいがあり、そのキャラクターが掴みにくくなっていたように思います。
第八艦隊の合流直前の十分という間隙をついて、クルーゼとアスラン不在のザフト軍がアークエンジェルに襲いかかる、という話。
冒頭の「軍事裁判」は、軍規を遵守するバジルール、アスランの味方をしてやりたいフラガ、民間人徴用に悩むマリュー、
という三者の構図を上手く描いていたと思います。
軍規を熟知するバジルールと、「そんなの知らね〜よ」というフラガの対比が特にいい味を出しています。
鑑と分離された上、敵MSにブリッジにとりつかれるという危機的状況のなか、
キラの能力(ニュータイプ?)の一端を早くも垣間見せました。この先の展開にどう生かしていくのか楽しみです。
フレイは相変わらずわざとらしい言動で、作り手の意のままにいじられてるという印象。
ひょっとして「ガンダム」得意の寝返りへの伏線でしょうか。
ラクスを人質にとっていることに耐えられなくなったヤマトが、独断でラクスをザフトに返しに行く、という話。
ラクスを返すヤマトとアスランのやりとりの裏で、戦闘準備をするフラガとクルーゼという描写で、
民間人ゆえの状況把握の甘さ、というヤマトの性格や心理がよく表現されていたと思います。
「ヤマトがアスランの元友人」という話を立ち聞きしたバスカークが、仲間に情報をリークして不信をあおるシーンは、
第8話にバスカークの行動原理としての伏線が張られており、作りの丁寧さを感じさせます。
フレイは相変わらず汚れ役をばく進中。
本当は「嫌な奴」と受け手が思わなければならないのですが、可哀相にしか見えません。
ここまでくると作り手に工夫がなさ過ぎ、という感じがします。
アークエンジェルを保護するための先遣隊と合流するもザフトの強襲を受ける、という話。
地球軍とザフト軍双方によるお互いへの憎しみを強調するのが今回の目的でしょうか。
今回もフレイが演出的に活躍。先遣隊に同行した父の乗る鑑を撃沈させることでフレイの憎しみを煽っています。
前回の話にあった本隊に乗員リストを送ったことや、先遣隊に同行した父の性格を説明することで、
フレイが父の死を目の当たりにするシーンが無理なく描かれていたと思います。
ただ今までの話でもそうでしたが、演出に使うためのキャラというフレイの位置づけが露骨すぎて鼻につきました。
マリューとナタルの確執っぽい要素が膨らみだしたのは、今後の楽しみのひとつです。
あと、ひとつ気になったのはフレイ父の配役。クルーゼ役の関俊彦丸分かりで、それによって「この人すぐ死ぬだろう」と思ってしまいました。
アークエンジェルによって救出されたラクス・クラインを巡って、という話。
キラ、ラクス、フレイの3人のキャラクターのやりとりによって、
地球軍とザフト、ナチュラルとコーディネーターの構図を感覚的に上手く印象づけできていたと思います。
特にフレイはナチュラル(地球)側の「本音」を示すキャラクターとしての作りが絶妙でした。扱いが可哀相な気もしますが。
コーディネーターへの反感・差別という点では後のシーンのサイの「それ(ラクスの歌声)もやっぱ遺伝子いじって・・」
という台詞も罪のない何気ない台詞でありながら反感・差別感情が表れてしまったという上手い演出です。
あと、本隊からの通信を拾ったシーン。クルーが声を上げながら集まってくるという描写は喜びがよく表されています。