アニメ批評『ゲットバッカーズ−奪還屋−』第37話・第39話・第40話
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ごまの「アニメ批評日記」

『ゲットバッカーズ−奪還屋−』

第1話 〜 第8話第9話 〜 第14話第37話・第39話・第40話

*2003.09.29 第37話「夏実がんばる!」

蛮&銀次の不在中にやってきた依頼を引受けた夏実が笑師の協力を得て解決に向かう、という話。(→公式のあらすじ

ボケ役の夏実とツッコミ役の笑師の組み合わせを生かしたコメディ展開で面白かったです。
映像では、夏実がエプロンを脱ぐところや夏実&笑師がコスプレチェンジするところ等、 ワイプを多用した映像演出が印象的。
話をテンポよく進ませる効果がでていましたし、
水着ギャル(死語)が蛮&銀次の前を横切るカットでは、少ない枚数なのに動きが表現されていて上手いと思いました。

一方、階段で窃盗団に迫られる夏実のズームアップでは、
最近あまりお目にかかれない昔ながらの手の込んだアナログチックな表現が楽しめます。
夏実による蛮のコスプレに説明的なツッコミを入れなかったり、ラストで蛮が煙草をふかすところなど、
絶妙な間の取り方でユーモアを表現しているところは本作の作り手ならではのセンス。

ワイプ:画面を片隅から斜めや上下左右にふきとるように消し、同時に次の画面を現してゆく画面転換方法。 (大辞林より)

脚本:根元歳三 絵コンテ:斉藤哲人 演出:即座誠 作画監督:井上哲

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*2003.10.01 第39話「銀次入院?病院だヨ!全員集合!」

ビルから転落し入院中の銀次の病室に、仲間やライバルたちが見舞いに訪れる、という話。(→公式のあらすじ

これといった捻りのない全編コテコテのギャグ話で、映像的にもチープさが見られましたが、
シリーズを見続けていた人へのサービスという感のある「お遊び」要素を満喫することができました。
シリーズ中において、それぞれのキャラクターを立たせていたことと、世界観をきっちり確立していたことが今回の話を成立させる要因といえます。
キャラクターが入れ替わり立ち替わりで登場して笑いのネタを披露しますが、
どれも元の性格との違和感を感じさせることなく10人全てのキャラを使い切ったことは、
最近他の作品で散見される「作り手の都合によって性格を変えられてしまうキャラ」
という状況を鑑みると、むしろ特筆すべき点と言えるかもしれません。
映像的なチープさは多数のキャラクターをきっちり描き込んだ故ということで良しとしたいです
(ちなみに第37話では敵キャラを確信犯的にチープに描いています)。

印象的なシーンとして挙げられるのは、
まず蛮VS士度の得意技対決の一幕。
士度は「百獣擬態」のうち通常使わない動物をもってくることで、
蛮への「邪眼返し」は受け手に考える暇を与えず押し切ることで、
シリアスな本編に影響しないように作ってあったのが上手い演出。

銀次と卑弥呼を冷やかすへヴンと夏実のやりとりも、
二人の性格を表現した上で馬鹿馬鹿しく見せていて面白いです。

サブタイトルから最後に赤屍蔵人が最後に登場すると、およその見当を受け手に与えておいて、
メスを使って剥いたウサギさん林檎のネタで、その期待と予想を上回っていたのも良かったです。

脚本:根元歳三 絵コンテ:松下ユキヒロ 演出:平向智子 作画監督:森本浩文

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01.14 第11話「潜入、無限城・IL奪還作戦」

ILと呼ばれるものを奪還する依頼を受けて蛮&銀次を含め、総勢6人で無限城に入っていく、という話。
今回は無限城に入ってすぐのところまでの進行でしたが、
「昨日の敵は今日の友」という展開を描きつつも、不協和音なところも演出していて面白かったです。
依頼主のテストのところでは、それぞれが能力を存分に発揮することでの爽快感もでていました。
仲介屋が何者かに拉致されるシーンは、今後本編に絡んでくるのでしょうが
身の安全が心配だから途中で帰したのに襲われてしまうのは、いかにもご都合主義な感。
ならばもっと安全なところで帰せばよかったのに、と思ってしまいます。

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*2003.10.07 第40話「逆襲の猿!」

マドカの別荘に招待された蛮と銀次が、その道中、以前散々な目にあわされた猿一味に再び襲われる、という話。(→公式のあらすじ

第26話「湯けむり温泉奪還紀行!?」の続編的エピソードで、話自体は単純なお笑い話。
しかし露天風呂で夏実に裸を見られて萎縮する蛮達の間抜けな後ろ姿や、
士度がマドカ特製弁当を口にしたときの「さよ〜なら〜(花畑で手を振るマドカ)」のカットなど、
笑いのセンスを利かせた演出・作画が絶妙。すごく楽しめる一本でした。

なんといっても強奪した夏実特製の弁当をお上品に食する猿の映像が最高。
尺が短いのが勿体ないと感じる程でした(あと2〜3秒引っ張っても良かったと思います)。
蛮達がマドカ製の弁当について遠回しに士度に忠告するところや、マドカの料理下手を間接的に指した「味見しねえクチだな」など、
台詞のセンスが良かったのも面白くしている要因でした。
以上とても面白かったので、弁当を解説する夏実の長台詞が棒読み口調なのはご愛敬ということにしましょう。

脚本:こじままさお 絵コンテ:小島正士 演出:吉田俊司 作画監督:森下昇悟

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更新:2003-10-10 作成:2003-10-10 文責:ごま(goma)
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