桂子との「女の子対決」を見据えて、恵と源造が料理対決をする、という話。
料理対決といいつつ、恵の料理下手や恵団の変態ぶりを笑う回となっていましたが、
そうすることで「料理=女性」という差別的ともとれる要素が薄まり、恵の個人的なスキルの描写という範囲で納まっていたと思います。
ただ、源造がフォローに失敗するという展開のためとはいえ、適当に焼いた目玉焼きとしっかり作った卵焼きをはじめ、
同じ材料による明らかに作りの違うそれぞれの料理の味に代わり映えがない、というのは流石に嘘っぽいです。
せっかく料理上手なところを見せた源造に対し、あまりに救いようのない展開には同情してしまいますが、
桂子が登場するラストシーンで、恵の方にもガッカリさせるオチがついているのでバランスはとれていたと思います。
源造の部屋の魔本から小悪魔が現れたと聞いた安田が、その魔法の解明に挑む、という話。
恵がかけられた魔法の真相らしきものが、安田の推理から明らかにされる訳ですが、
今まで思いもよらなかったその真相の種明かしにまず驚きです。言われてみれば「なるほど」なんですが。
安っぽい推理モノのような、台詞をダラダラ垂れ流して「説明」するのではなく、
起こった事実の積み重ねによって受け手の頭の中で理解させるという構成が上手いです。
特筆なのは冒頭、源造が貨物トラックに引きずられる際に恵と出会うというシーン。
中盤以降に見えてくる「真相」の伏線となっているのですが、
そのシーン自体を手の込んだコメディ描写にすることで伏線とは分かりにくくなっています。
本編は安田が自らの記憶を操作される事を先読みしてメモしたにも関わらず、
そのメモの意味が分からない、というコメディ演出でうやむやにしておしまい。これも面白いです。
結局のところ、今回の「真相」は本当の真相なのかは分からずじまいでしたが、
どちらにせよ非常に楽しめる話ではありました。
トラブルに巻き込まれた桂子が恵との出会いを回想する、という話。
どこまでも恵が嫌いな根拠を探そうとしたり、
根拠がなければ恵にお礼を言わなければいけないと礼儀正しく考えるところなど、
桂子のキャラクターが十二分にかつ面白く描けていました。
ケンカシーンを正攻法で見せているところにも感心します(えげつないですけど)。
それにしても毎回毎回悪人が出てくる世界ですね。
恵が中年サラリーマン二人組と共にエレベータ内に閉じこめられる、という話。
よくよく、本作に出てくる「その他の人」は悪人ばかり也、というツッコミはさておいて、
一緒に閉じこめられたサラリーマンにセクハラ発言を断続的に言わせつつ、
「ひょっとして襲ってくるかも」と不安をあおっていたのは上手い演出だったと思います。
事件が解決したあと、恵が源造に安心を感じていると錯覚し、
「そんな状況に知人が現れれば誰でも安心」から「でもエレベータを上ってくるのは源造くらい」
と美木に言わせるのは読めるオチではありますが、
成長の止まった恵の錯乱ぶりを好演できていたことによって、分かっていても面白く仕上がったと思います。
放送を見逃してしまいました・・・。
電車の車内で遭遇したチカンを恵がやっつける、という話。
誤解という形でその場が納まったチカン野郎を追跡していき、
源造、藤木、安田を使って恵流のチカン退治をするというのが見どころで、
か弱い女の子演技をする恵、単純で馬鹿な源造、オタッキーな安田という点での面白さは出せてました。
ただ、チカン野郎が一人になった恵を見て強姦野郎に変貌するのはリアリティとしてどうかというのが気になりました。
というか本作は根っからの悪人が多すぎです。
「何もしなくてもそのうち男に戻る」と聞いた恵の態度が変、という話。
「男だろうと女だろうと自分であることに変わりない。ありのままの自分でいよう」
と悟った恵の達観ぶりを受け手に見せる一方で、
まだそれに気づかない美木やめぐ団のうろたえぶりを楽しませているのが上手いです。
特に恵の達観ぶりを表した声優の演技が絶妙でした。
個々のシーンでは、捻りがなかった源造の修行シーンは面白くなかったです。
恵が「キスしていい」と藤木をうろたえさせた後、「順番じゃねぇ」と安田をうっちゃるのは良かったです。
小悪魔が遂に再登場し、恵の魔法が解けるかどうか、という話。
ようやく登場したかと思えば「あと2・3年で元に戻る」とあっけない台詞を吐く小悪魔。
戻れると聞いて逆に「これまでに染みついてしまった女の生活」からの脱却に躊躇してしまう、
恵の心理状態を上手く演出していました。
小悪魔登場直前の「女の人生は恵自身が選べる選択肢」というめぐ団の真面目な台詞も効果的。
そこから、逃げ去る恵・追うめぐ団という図でクライマックスまで、というのは引っ張りすぎ。
恵と源造によるクライマックスが先にあり、そこまで引っ張ったということなのでしょうが。
クライマックスでキスをもちかけた直後「王様のキスで元通り」という童話の例えで、
「男に戻っても気にしない」という源造の嘘を見抜く恵の描写は、
半ばヤケで女性になろうとしている、と本編の源造同様、受け手も騙す上手い演出でした。