『天使な小生意気』第9,11話〜第17話アニメ批評日記-アニメ討論室

ごまの「アニメ批評日記」

「天使な小生意気」

第9,11話 〜 第17話 : 第18話 〜 第26話第27話 〜 第34話

08.21 第18話「男の対決!武士と普通?! 」

桂子の一件以来、周囲から変態扱いされている藤木が、自分らしさを貫く源造たちをうらやましがる、という話。
眼鏡を取れば美少年であるにも関わらず、変態行為のために今の姿を敢えて選ぶ安田にはじまり、
思惑通りにいかないばかりか美木にあっさり作戦を見破られる源造の稚拙な行動。
そして実は実家で狂気の沙汰ともいえる特訓を受けている小林、と藤木が各キャラを渡り歩く展開。
それぞれが大爆笑ネタで、藤木のリアクションと合わせて楽しめました。
欲を言えば、それぞれのキャラのシーンに一本の話としての筋が通ってなかったこと。
モノローグをもっと多用して「藤木の一人称」を強調すれば良かったのではないかと思います。
本作は声優陣が中堅どころからベテランで揃えているので演技面は安心して見ていられるのですが、
今回は「安田会議」における各キャラを上田祐司が演じ分けているところが面白かったです。

08.11 第17話「最悪の奴が来た!桂子様登場!!」

恵を過剰にライバル視する中学時代の同級生桂子が、恵を追って転校してきた、という話。
恵が桂子にいじめられていた事をひた隠しにしてたため美木も知らなかった、
ということにして自然な形で説明を入れていくのはちょっとした「見せる」工夫。
藤木・源造・小林の順に倒されていきますが、桂子の思惑通りの手順とは全く違う展開にしたのが面白いです。
作画面では、倒された源造たちに亡霊のような自分の姿を後ろに重ねるという描写が良かったです。
恵が苦手にしている人物の登場というのも今までなかった展開で、
それによって女の子らしくふるまう恵を必然的に引き出しているのも上手い作り方だと思います。

08.06 第16話「オレの弱点を突くな!巨大ザリガニ釣り」

電話で誘って恵とのデートに向かう源造が、不良達にからまれる藤木を発見して、という話。
毎度のように藤木が不良たちに都合良く(?)絡まれるのは出来過ぎなんですが、
それを不問にしていい程に今回も面白い話でした。
前半が、藤木の危機、そこへ遅刻を賭して救出にくる源造、待たされる恵。
後半が、遅刻に怒るも理由を察してデートに応じる恵と源造の「ザリガニ釣り」、
恩を感じて「今日だけは」と源造のサポートに回ろうとする藤木、
というそれぞれの構図にネタが満載で楽しめました。
今回は特に表情の描写が細かく、微妙な点に至るまで心の変化を作画によって表せていました。
恵の仕草や立ち居振る舞いに女の子らしさが出ていたのも印象的。
恵についた嘘の収拾をめぐって源造の自問自答という心の中の映像表現も秀逸。
天使と悪魔、一対一というのがよく見る図ですが、
「理性クン1人、野生クン3人、大き目のヤンキークン1人」としたことで、
源造の理性の度合いや、今回正義を説く理性クンの趨勢の変化が分かりやすかったです。
絆創膏を差し出す恵にジーンときた源造に、台詞によるタイトルとFinの文字をかぶせるのは、
「あわや最終回」と思わせるギャグ演出だったのですが分かりにくかったのが残念。 Finの筆記体の崩し具合を少なくするとか、
「そして二人は・・」「Forever」等のスーパーを入れるかすれば良かったのでは。

07.28 第15話「魔法使いのジジーに会えるぜ!!」

恵に魔本をくれた「魔法使い」の居場所が分かり、会いに行く、という話。
紆余曲折を経て、やっと会えた「魔法使い」の正体は、
本編の方は、恵と同じく魔本の中の小悪魔に魔法をかけられた普通の人間、というオチ。
これまでの話からして、小悪魔に魔法をかけられた人間が恵の他いてもおかしいことはなく、
むしろこのオチは予想できた展開なので、つまらなくはないが別段驚きもしなかったです。
いつ終わるか分からない漫画と違って放映回数がはっきりしている
TVアニメという媒体による影響もあるのだと思います。
それよりは冒頭の父の方が笑えました。
「やましいことはしていない」といいつつ娘の寝姿を写真に収めようとしたり、
それを「何か違うことに使うのよ」と、美木に指摘されてあせる。
また、上機嫌といって源造に渡したのは「高嶺の花」と書いた紙切れ一枚、
と親父の変人ぶりが炸裂してました。

07.21 第14話「白い太モモにはさまれて死にて〜!!」

恵のピンチに源造と藤木がかけつけたが、簡単には脱出できず、という話。
今回も漫画的デフォルメ多用。
ネタそのものはそれぞれ非常に面白かったのですが、
どうしても安っぽく見えてしまうのが難点。
あと、いかにも何かありそうな予感をさせた女が、
チンケな泥棒だったという真相も何か一工夫欲しかったです。
とはいえ、笑いを随所に織りまぜながら緊迫感を維持していて楽しめました。
「ここで待ってたらデート」と言われた源造の妄想シーンは、
乙女チック爆発で、林原めぐみの演技力ならではと思いました。

07.14 第13話「なぜか大阪!?夢見る少女は大ドロボー!?」

源造との仲を疑う父によって、恵が留守番ではなく仕事先の大阪までつきあわされる、という話。
たこ焼き屋で出会った女が、ホテルの他人の部屋に侵入しようとしているのを発見。
なりゆきで恵が泥棒の片棒をかつがされそうになる危機的状況や、
その部屋の男から犯罪の匂いを嗅ぎ取り首を突っ込んでいくという、
恵が巻き込まれる「事件」という展開が面白いです。
元々、父に大阪まで連れて行かれる理由もそうですが、
一連の自分の行動に、普段自分が否定している「少女(女)的」を指摘され、
葛藤し続ける姿を描くことで作品のテーマをキッチリ盛り込んでいました。
2つの危機的状況における恵の「焦りと落ち着き」の対比も良かったです。
ストーリーそのものは良かったのですが、
アニメーション部分の方がその面白さに追いついてない感じです。
冒頭の源造はまだしも、本編中にあまりに多用しすぎた漫画的デフォルメが
却って悪印象を与える要因となっていました。
新幹線の車内で目をひくつかせる父など、面白い描写もいくつかあったのですが。

07.06 第12話「ヤッパ!俺は呪われてるんだ〜!! 」

恵に降りかかる呪いの数々を事前に察知して助けようと源造たちが奮闘する、という話。
今回、作画が荒れ気味だったように思います。
元々アニメーションとしての動きには乏しいのだから一枚一枚の完成度には気を配って欲しいです。
今回の見所は、恵の身体能力の高さに驚きつつも、
どうにかして恵への災難を自分たちの手で振り払おうとする源造たち一同の描写。
そんなに話が膨らみそうにないと思いきや、
いつもながらの足の引っ張り合いを絡ませて上手く話を作っていました。
特に今回は安田の行動が秀逸。
神社からご神体を失敬したり、股間にボールを受けたりと使えないぶりを発揮したかと思いきや、
これも同様かと思われた「衣擦れで、視界に入ってない男か女かを判断する能力」が
最後にしっかり役に立っていたところに感心させられました。
あと、細かいところでは昨日のデートのことで恵に話しかける源造の描写。
1源造「デート楽しかったね」→2源造「反応を予想して妄想」→3恵「別に」→4源造「コケッ」
と普通なるところの2と3を入れ替えていたのが良いアイデアだと思いました。

06.30 第11話「デェトだメグ、見せてやるぜすごい男を!」

「天使な小生意気」第11話「デェトだメグ、見せてやるぜすごい男を!」
源造が恵を誘った海釣りのなかで起こる小悪魔の呪い(?)という話。
前半は作画も演出も今ひとつで、間延びしてる感もありましたが、
釣りに出かけて以降は、恵を守ろうとするも恵の対処能力によって一人間抜けを演じる源造や、
一文字登場後の二人の醜い争いなど、楽しめるコメディになってました。
PHSで恵たちの居場所が分かると同時に、一文字登場の説明にもなっていて奇麗にまとまってました。
細かいことを言うと、PHSは原作ままなんでしょうけど、今どきならGPSにした方が良かったかも。

06.19 第9話「魔本だ!! めぐが男になるなんてヤダー!!」

めぐみを女にした魔本(魔法使いが潜んでいる本)が遂に発見という話。 ターニングポイントにさしかかった話で、緊迫感をあおってジリジリ引っ張るかと思いきや、
ネタてんこ盛りのハイテンポな展開が面白く、今のところシリーズ屈指の出来です。
前半の見所は、めぐみが魔本探しを源造・藤木らに頼む交渉における、
「見つけてしまえばこっちのもの・・(めぐみ)」「渡すとは言ってない(源造)」
と、互いにしたたかさを見せる交渉シーン。
後半の見所は、魔本発見となる源造の家に訪れて家捜しシーン。
魔本をめぐみが持ち出そうとするも、「それ、源造くんのものじゃないのかな?」
と、未来が土壇場で裏切るところが最高でした(本作は未来の台詞がどれも秀逸)。
「ちかん注意」の伏線の貼り方や、源造の拾い癖、忘れ癖がきちっと説明されてるあたり、
随所への気配りを感じます。

( 文責:ごま )
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