アニメコラム「わがままフェアリー ミルモでポン!」

アニメコラム集「わがままフェアリー ミルモでポン!」

第10話 : 第14話〜 第16話 : 第17話 〜 第19話第23話 〜

第16話「楓、ミルモの里へ・・」

放映日2002年7月20日

あらすじ

ワルモ団の黒魔法による洗脳が止まらない。
松竹くんや、頼りにしていた結木くんまで。
今の魔法の力では結晶を破れないと悟ったミルモは、
楓とともに魔法の力を強化するアイテムを探しに妖精の里へ行くことに・・。

レビュー

好調を続けてきた「ミルモ」に訪れた変調でしょうか。
どうでもいいいくつかのシーンが時間を潰しつつ、
ダラダラとお話が進んでいった挙げ句、またまた「引き」となりました。
ミルモの同級生と歓談するところは、
「図書館に先を急ごうとするミルモの態度を全面に出すも、
引き止められて先に進めないという演出にすれば良かったのでは」
と言ってみても焼け石に水程度の改善にすぎません。

そもそも、「王様(父)なら簡単に倒せる」という仮定を提示して、
自分のプライドのためだけに自力にかけるミルモに、
「24時間以内に帰らなければ」という楓へのハードルを設けるのは
筋立てのバランスが悪すぎます。
最後の方にあったワルモ団の「悪行」は間抜けで楽しめたのですが
、 こちらも展開のシリアスさと比べるとアンバランスです。

ファンシーショップ店長が楓の素質を見抜くところは、
ちょっとした見どころにはなってました。
あとファンシーショップ店長の真の姿も。

第15話「わるいぞ!ワルモ団」

放映日2002年7月13日

あらすじ

楓の部屋でヒーローアニメを見て盛り上がるミルモ。
一方「今日はお休み」といいつつ川で釣り糸をたれるヤシチ。
そこへマグカップの宅配便が。5つの黒いマグカップから現れたのは、
ヤシチが幹部見習いとして所属していたワルモ団だった。
極悪の限りをつくすかと思われたワルモ団の悪事。その実際は・・。

レビュー

今回のみどころは、何といってもゲストキャラのワルモ団。
その行動は先刻承知のミルモや、はじめて目にする楓があきれる下らない悪事の数々。
学校では、「久々登場」と楽屋オチ的に語る先生の出席簿を接着剤で閉じるところから、
トイレットペーパー強奪(松竹)、しおりの大量挿入(結木)、靴が両方右足(悦美)
とレギュラーキャラを総ざらえしつつの、下らなネタのオンパレードが笑えます。
ミルモとの直接対決に登場した「ひやかされてイヤーン恥ずかしいの術」
「餃子食べたら歯を磨けよーの術」などは、別の曜日で放送中のどこかの作品を彷彿とさせます。
なかでも特筆すべきは最初の「ラジコンカーで轢かれる」ネタ。
何をするか分からない状態でのこのネタでグッと視聴者を引きつけたと思います。
ただ2番目の「落っことした盆栽で服が汚れる」ネタはコンテによる失敗。
一瞬「上から落ちてきた」と思わせるのは良いアイデアでしたが、あれでは分かりにくいです。

後半では、それまでの下らなネタとはうって変わり
「黒魔法の結晶」で人や妖精を意のままにあやつるという
手強い相手にワルモ団が変貌しますが、
そのつなぎがミルモの「ときどきやっかいな魔法を使う」
という台詞だけでは整合性に欠けました。
例えば、「黒魔法の結晶」は成功率が低い魔法なのだけれど、
前半の下らなネタの効果がないので、ワルモ団が意を決して挑戦した・・
という風に演出すればつながりも上手くいって話がまとまったと思います。

今回、作画の方は今ひとつでした。
パンの多用がまず気になりましたし、
「トイレの松竹」「黒魔術にかかるリルム」「楓が安純に呼ばれたときの結木」など、
描いてしかるべき描写が、省略されたり止め絵のままだったりしてました。
これにワルモ団の魔法という演出上必要なバンクによって、
輪をかけて作画における動きのなさが強調されていたように思います。
ワルモ団の魔法そのものはテンポもよく、しっかり描かれていたのですが。

第14話「ミルモ落第!? 」

放映日2002年7月6日

あらすじ

風邪を引いて寝込んでしまった楓。
直前のテストの結果も悪く、お小遣いも減らされ、気分は滅入る一方。
それでもミルモは「全部自分が原因だから仕方がない」と、いたってドライ。
そんなとき妖精界から担任のエンマ先生がやってきた。
人間界にいる妖精たちの試験をするというのだ。
合格するためには、人間界にいる妖精の本来の目的である「同居する人間をしあわせにする」
ための行動を示し、しあわせ度を一定以上クリアしなければならない・・。

レビュー

心温まるいいお話でした。 まずゲストキャラのエンマ先生による「試験」により、
ムルモやヤシチの狡猾な行動を絡めることとあわせて、
パートナーを幸せにするのは自分の成績の為というエゴであることを
強調するような状況設定・展開が描かれます。
そうしておいて、ミルモが結果的に試験に合格するクライマックスでは、
ミルモが「妖精の能力」ではなく、自分の力だけで楓の看病を続けるという行動に、
試験のことも忘れ、楓を心から思いやるミルモの気持ちが良く表されていたと思います。
ハートウォーミングとはかくあらん、といった感じです。

このクライマックスにおける細かい配慮にも注目。
このシーンではうなされる楓とベッド脇の水が入った洗面器との間を、
ミルモが額にのせる濡れタオルをもって何度も往復しますが、
この時、「しあわせメーター」が洗面器の隣に表を反対向きにして置かれています。
つまり看病をしているミルモにはメーターのゲージは見えません。
こうすることで、ミルモが私利私欲を捨てて行動していることが、
さりげなく強調されているのです。

ただ、この「しあわせメーター」、
その場における瞬間的な妖精の行動がパートナーに及ぼした効果で
数値が大きく左右されることが強調され過ぎました。
ムルモが楓の偽造ブロマイドを松竹くんにわたすところでは、
そのことが笑いの効果を引き立たせてましたが、
試験としては重大な欠陥という印象も与えてしまったのは少し残念でした。
「一日のしあわせ数値のノルマを抜き打ちで試験する」という形なら、
そういった悪い印象はもたれなかったとは思いますが、
きっとこれは「よりシンプルに。より分かりやすく」という作り手の配慮だったのでしょう。

細かい描写で良かったのは、
まず結木くんを探すミルモが、結木は旅行に行っていることを思い出すシーン。
チョコを食べることに熱中しているミルモを描くことで、
リルムの話をロクに聞いていないという理由づけとなり、
結木が旅行に行ってることを忘れてた理由づけともなっています。
あと、楓が鼻をかんだ瞬間、想像の絵がグニャグニャになって消えるところ。
母に怒られてるときの楓の手の形などが面白かったです。

それから今回はミルモの「いつ言った? 何時何分何曜日? 地球は何回まわった?」の台詞、
ヤシチの「思案するときの一休さんみたいな動き」、
「その一歩は小さな一歩だが我々にとっては偉大な一歩なのだ」の台詞など、
年代の古いネタがいくつかありました。
子供と一緒に見るパパママ向けでしょうか。

第10話 : 第14話〜 第16話 : 第17話 〜 第19話第23話 〜
( 更新:2002年6月18日 文責:ごま )