アニメコラム「わがままフェアリー ミルモでポン!」

アニメコラム集「わがままフェアリー ミルモでポン!」

第10話「恋の四角バトル」

放映日2002年6月8日

あらすじ

嫌いなトマトジュースを「マグカップ」に注ぎ、
めでたく松竹と同居することになったムルモ。
話を聞いた松竹くんは、その報告にかこつけて楓に声をかける。
そして速攻で楓に告白するが、速攻でふられる。
その様子を見ていた安純は、松竹に共同戦線を持ちかける。
そんななかミルモとリルムのはからいで初デートとなった楓と結木。
ヤシチの「イライラ血管シール」や松竹のグループの力などを駆使して
デートをぶち壊しにかかるのだが・・

レビュー

絵的な見所はこれといってなかったのですが、
内容盛りだくさんで、かつ期待をいい意味で裏切るストーリーで面白かったです。
てっきりこの4人の構図における定番といえる4人入り乱れてのドタバタで、
デートが上手くいかないという展開を予想したのですが、
蓋を開ければ、安純と松竹の邪魔が全て不発に終わり、
楓が結木とのちょっと変な初デートを満喫するという展開。
バーガーショップで結木に自分のハンバーガーを食べさせるところは
楓してやったり、というかいつの間にそこまで進展したの?
とツッコミを入れつつ楽しめました。

シリーズ序盤でここまでいい雰囲気に進展させて大丈夫?
といらぬ心配をしてしまいますが、
ストーリーはもちろん、楓が大ピンチになる話を第6話にもってくるなど、
先の読めない展開で構成にも工夫が感じられ、見ていてワクワクします。
この流れを考えればきっと良いものを作ってくれるでしょう。

今回一番笑ったのは、冒頭のムルモの一瞬の早変わり。
松竹も想像以上にしたたかなキャラでいいコンビになりそうです。

松竹がトマトジュースを飲もうとするシーンは
前回からの続きのシーンで、
時間的にはもう少し引っ張るという手もありそうでしたが、
テンポを優先した本編のやり方で正解だったと思います。

ファースト・インプレッション

放映日2002年4月27日まで

あらすじ

主人公・南楓(みなみかえで)は中学二年生の女の子。性格は明るくて元気。
だが恋愛には消極的で、想いを寄せるクラスメイトの結木摂(ゆうきせつ)のことを
影から見守るだけの学校生活が1年も続いていた。
そんなあるとき、楓は奇妙なファンシーショップを見つける。
そこで何故か目にとまり買って帰ったマグカップには何やらおまじないの文字が。
「ココアを注いで願いを念じる」というそれを実行した楓の前に、
ちっちゃくてかわいらしく、ちょっとへそ曲がりな妖精ミルモが現れた。
協力をしぶるミルモにどうにか住み着いてもらえることになった楓だが、
結木や、恋のライバル・日高安純の家にも妖精が現れて・・

レビュー

原作はちゃお連載中の漫画。
女の子を主人公にした恋愛ストーリーに、魔法や不思議もののテイストを加えた、
アニメとしては割とありがちなタイプの作品。
しかしテレビアニメの現状に目をやると
それこそが女の子の恋愛の形と勘違いしてるのでは、
と思えるほどの至れり尽くせりな奉仕を押し売りしたり、
或いは極度に純真無垢なお人形さんのような女の子が
掃いて捨てるほど出てきているこの現状。
そんな中にあって、
押し売りではない、相手の心情もちゃんと思いやり、つき合いのバランスをとりつつ、
好きな男の子に積極的にアタックするという
女の子の恋愛ストーリーというのは新鮮に感じます。

演出の方では、
なによりテンポの良さを一押しとして挙げたいです。
といってもアップテンポでどんどん進行していく、というのではなく、
絶妙なカットの切り替えのタイミングや、
個々のシーンにおける見どころをキッチリ描写していることなどで、
他作品と比べて、格段に枚数を使っているようでもないながらも、
ほとんどストレスを感じさせず楽しみながらストーリーを追っていける形に
仕上がっているのが実に素晴らしいと思います。
魔法のバンクはそのテンポを妨げてしまうきらいが少なくないですが、
ここはまあご愛敬ということで。

作画の方では、
特に奇はてらわず、構図やキャラの動かし方に工夫がなされた上で、
個々のシーンをキッチリ仕上げてきているという感じです。
目立ちすぎずも、必要十分以上の仕事といったところでしょうか。
今のところ大崩れするような箇所もなく好印象です。

本編では主要3人のキャラそれぞれに妖精がついて、
ドタバタ恋愛コメディの度合いがいっそう強くなりました。
今後の展開の成否を決める鍵となるのは妖精ヤシチではないでしょうか。
3人それぞれに妖精をつけることにより、
ネタは作りやすくなるというメリットはあるでしょうが、
ドタバタの形が硬直化してしまう心配もあります。
楓と摂の恋愛成就という本筋を外さないように展開していければ、と思います。

あと個人的には、
ミルモ役に小桜エツ子が起用されているのがうれしいです。
NHKの海外ドラマの吹き替えをするなど、
子役の演技には折り紙つきなだけに妖精役をどうこなすか期待してます。

( 更新:2002年6月18日 文責:ごま )