アニメコラム「激闘!クラッシュギアT」2
前のページ次のページ |

アニメコラム集「激闘!クラッシュギアT」

各話

ギアファイトは意外と面白い!
第5話 トビタクラブの危機
第7話 兄からの贈り物
第8話 タコ焼きバトルロイヤル
第9話 ジロウの古傷
第10話 天才は天才を呼ぶ!
第11話 勝利にかける執念
第16話 それぞれの闘い!
第17話 恐怖のイリュージョンマッチ!

第10話「天才は天才を呼ぶ!」

放映日2001年12月9日

エキジビジョンマッチ第2戦。トビタクラブからはキョウスケ。
対戦相手は抽選のはずだったが、万願寺のマイティギアズ側は、
大河キシンがキョウスケの対戦相手として名のりをあげた。
大河キシンは将棋の大河流の継承者というギアファイター。
将棋の駒をあしらったギア「ヒショウカク」がキョウスケを苦しめる・・

ハッキリ言ってシリーズ屈指の駄作となるでしょう。
将棋関連のディテールがあまりにもいい加減過ぎます。
将棋棋士のギアファイターということで、
随所に将棋関連の用語などが台詞やギアの動きの説明として散りばめられてますが、
将棋の現実に即していません。
特に「歩詰めが屈辱の負け方」などは縁台将棋レベルの会話のみの俗語であって、
競技レベルとしては絶対あり得ない話です。
その他、実力制の現代にあって世襲制(大昔はそうでした)を描いていたり、
キシンの指す時の指の形、多面指しのやり方などもう無茶苦茶。
おそらくスタッフは将棋界を全く知らないか、 入門書をかじった程度の知識(筋違い角がでてくるあたり、いかにもそんな感じ)
でこの回を作ったのでしょう。

仮にそうであったとしても、
将棋棋士のギアファイターとそのギアという表現に何らかのリアリティがあれば、
それらはある種のパロディとして楽しむことはできたでしょう。
しかし、そういうリアリティもありませんでした。
将棋棋士のギアだから駒の形をしているというだけでは、全く説得力がないです。
真横に動いたから飛車の動きというなら、
横に動くギアはみんなそれということになります。

ようするにこの回は、
将棋棋士のファイターというキャラ設定のアイデアが最初にあって、
それに肉付けさせるために駒型のギアを考えたということなのでしょう。
それならば誰が見ても納得いくような形にもっていくべきだし、
そうでなければ将棋部分のディテールに凝るべきだったでしょう。
どちらにもリアリティに欠けていてはただのやっつけ仕事です。

第11話「勝利にかける執念」

放映日2001年12月16日

エキジビジョンマッチ第3戦。トビタクラブからはクロウド。
対戦相手はエディ小林。ビリヤードの世界チャンピオン。
それゆえにギアは始めたばかりだと、
トビタクラブの控え室までやってきて自称するのだが。
そして対戦。エディのギアは最も異色ともいえる球状のギアだった・・

ここ3回の異色キャラによるギアファイトの中では一番の出来でしょう。
ハスラーというキャラ設定は置いておくとして、
球状のギア、その能力というアイデアが良かったです。
絵的にも球状のギアが転がるさまが気持ちいいですね。
ただ、本編にもレギュレーション違反ギリギリとあったように、
作品の根幹を揺るがしかねない設定ゆえ、 今後のお話で納得のいく形で収拾をつける必要があり、
そこが上手くできるかどうかで評価は変わるでしょう。

クロウドは負けると思いの外もろいキャラというのが明らかになりました。
これに関しては完全冷徹なように見えてそうでないという感じが
前々からちらほら見え隠れしていたのでまあ納得。
クロウドの成長という話の膨らませようもでてきて期待できます。

クロウドの抗議に対する競技委員の「ルールの網の目をくぐる・・云々」という説明は、
競技委員の言葉としてどうかと思うのですが(笑)

第16話「それぞれの闘い!」

放映日2002年1月20日

クラッシュギアの大会に出して、やる気を取り戻させようとするカオルの計略で
カオルと一緒に北海道までやってきたコウヤとクロウドは、
そこで万願寺チームの一員となっているキョウスケを発見。
キョウスケは万願寺のラボを利用して強いギアを作ろうともくろんでいたが、
逆にそれはコウヤのもつガルダイーグルのデータを盗もうとする万願寺の罠だった。
やがてキョウスケもそれに気づくが時既に遅く、万願寺のラボを追い出されてしまう。
結局キョウスケはコウヤたちと合流。
コウヤ・キョウスケ・カオルの三人でラボに潜入しデータの消去を試みる。
だがそのためにはシミュレータでデータとして保存されている
ガルダイーグルを倒さなければならない・・。

今回は見応えがありました。
盗まれたガルダイーグルのデータを消したい。
そのためにラボに潜入しシミュレータで対戦する際、
キョウスケがシミュレータのオペレーションをしなければならないので、
コウヤが戦わなければならないというところのキャラクターの配置が絶妙でした。
実力の劣るコウヤが戦うという矛盾を見事に解決しています。
勝った方のコウヤのガルダイーグルのデータは元々どうするつもりだったのか
(本編ではコンピュータエラーを起こさせて全データが消去されたことにしている)
とか細かい点でいくつかツッコミがありますが、
今回の話の出来に比べれば目をつぶれる程度だと思います。

あとシミュレータによるバトル映像も見所でした。
シミュレータという設定により、
マシンのグラフィックがフレームのみだったり、
その視点がマシンからの低いものであったりと、
いつもと違う楽しみ方をさせてくれました。
というよりむしろいつもより映像も見やすかったです。
これはちょっと皮肉的ではありますが。

一つだけ難をあげると、
これまでもそうだったのですがカオルのキャラが立ち過ぎているというところでしょうか。
それ自体は別に構わないのですが、
本来コウヤであるべきはずの無茶な言動(ボケ)まで成り代わってやっている感じで、
必然的にツッコミに回らされるコウヤのキャラがしぼんでいるように思います。
今回においても「万願寺のラボに潜入しデータを消去する」という提案をカオルがしていますが、
コウヤにこの提案をさせて(コンピュータに詳しいという設定でもある)
カオルにツッコミを入れさせる方がスッキリしたのではないでしょうか。
そもそも他のメンバーはツッコミ役に適してないので、
カオルがボケに回ると「女の癖に・・」という毎回ワンパターンなツッコミ
でしかなくなるので面白くないです。

第17話「恐怖のイリュージョンマッチ!」

放映日2002年1月27日

万願寺のマイティギアズへのリベンジに燃えるコウヤたち。
その絶好の場である「武闘館カップ」の申し込みをリリカが済ませてきた。
しかし、万願寺自身はその先の「アジアカップ」への出場を決めていた。
万願寺に挑戦するためには他の大会に出場してポイントを貯めなければならないが、
コウヤたちは出遅れていて出られる大会が限られてしまう。
そこでカオルが探し出してきたのは、
「クラッシュギア協会」でも問題視されていた異色の大会だった・・。

「問題視されている大会」としてバトルフィールドに
飛び出すトゲや回転ノコギリなどを設置したのが今回の工夫。
今回は一回戦で、コウヤたちは楽勝ムードだったので、
それらの仕掛けによる緊張感はなかったですが、
敵のマシンがまっぷたつになるところでその面白さ(恐ろしさ?)を見せてくれました。

相手チームの「クラブ四六四九(ヨロシク)」は風貌からして暴走族さながら(でも小学生?)。
マシンもそれ風のデコレーションだったりクラクションだったりと面白かったです。
クラクションでエネルギーを使って早々にバッテリー切れになるところは妙にリアリティがあり、
典型的なやられキャラになっていて可笑しかったです。

北海道で成長したクロウドが、師範との稽古で「突き」を打つシーンは、
半ば反則である「突き」(小学生では禁じ手)を打つことで、
捨て身の攻撃、即ちこれまではなかった勝利への執念をクロウドが見せた、
という描写なんでしょうが、
「突き」が禁じ手だと知らない人にはその意味が分からないし、
知っていてもそれの説明が上手くいってなかったと思います。

( 更新:2002年1月31日 文責:ごま )
前のページ次のページ |