アニメコラム「激闘!クラッシュギアT」

アニメコラム集「激闘!クラッシュギアT」

各話

ギアファイトは意外と面白い!
第5話 トビタクラブの危機
第7話 兄からの贈り物
第8話 タコ焼きバトルロイヤル
第9話 ジロウの古傷
第10話 天才は天才を呼ぶ!
第11話 勝利にかける執念
第16話 それぞれの闘い!
第17話 恐怖のイリュージョンマッチ!

第5話「トビタクラブの危機」

会員数激減で経営が苦しそうなのを見てとったコウヤたちは、
会員を増やすための算段を相談する。
その結果「メンバーの実力を直にみせる機会を設ければ会員も増える」ということで トビタクラブ主催のクラッシュギア大会開催を決めた。
だが、商品をリリカに依頼する役のコウヤとチラシを作る役のジロウによって
大会は思わぬ方向に・・。

「クラブの経営難」という場面設定は、つくりとして割とありきたりな感もありましたが、
展開はよく練られており、全体的にうまくまとまっていたと思います。
今回も、メインのCGギアファイトだけでなく、
それをとりまくキャラ・ストーリーを描くことにもきちんと力が込められていた、と感じました。
特にコウヤのわがまま&おまぬけぶりは今回も健在・・
というよりこれまで以上に描き込まれており、
仲間や相手とのやりとりなどおおいに楽しませてくれました。
その他、今回、印象に残ったのは
「コウヤたちとエバタが出会ったとき、近寄りたくないので両者に距離をおいていること。
またそれによりコウヤの怒りの表現が引き立っている」
「ジロウがコウヤの勧誘の仕方を皮肉の意味でとりあげた話の最中、
コウヤが勘違いし、表情がパァッと明るくなったところ」
「帰ることをカオルに阻止されたキョウスケが椅子に座るときの動き」
「キョウスケがクラブに少しずつなじんでいく描写。
それに対するクロウドの表情の微妙な変化」
などなど。
芸の細かい描写が演出として効果を発揮すると、
面白味がグーンと増すということが分かる例だと思います。

あと、どうでもいいことですが、喫茶店にて、
他のみんなはケーキなのに、ジロウに出されたお菓子だけがあんぱんだったのも
クスッっとさせる粋な演出だと思いました。
そしてそのことを誰も突っ込まない(そういう描写をしない)というところがまたイカシます。

第7話「兄からの贈り物」

クラッシュギアの腕が上達しないコウヤは落ち込み練習もさぼっていた。
そんなとき同級生・凪鳥フウコに偶然出会ったことがきっかけで、
なんと動物園のチンパンジーと対戦するはめに。
結果はコウヤの負け・・。
ショックのあまりクラッシュギアをやめようとさえ思ったコウヤの前に
ユウヤ(コウヤの兄)の過去を知っているという、
フウコの兄・凪鳥シンゴが現れる・・。

今回はコウヤの破天荒な言動からくる面白さはなりをひそめました。
展開から予め予想しえたことなので、
どういう風に演出するのかな、と不安半分だったのですが、
今回も見事に魅せてくれました。

なんといってもチンパンジーと対戦する。
この馬鹿馬鹿しくも前代未聞なアイデアで、
既に一本も二本も取られたという感じです。
そのシーンにおいても、
チンパンジーのアクションがコウヤそっくりだったり、
その台詞が手書き文字にしてあったり。
また敗れ去ったコウヤの脳裏によぎるメンバーの姿は、
キョウスケが猿のポーズ、クロウドが猿回しの格好、
そしてジロウが馬鹿にしながら手渡す本のタイトルが
「サルでもわかるクラッシュギアファイト」だったりと、
芸の細かさで笑わせてくれました。

また凪鳥シンゴについても
語り口が「それは5年前の蒸し暑い夜・・」
「今日は君のハートと勝負したんだ」だったのをはじめ、
クラッシュギアのモーション、
モーションのバックが星だったりと、
キザ野郎爆発で面白かったです。

このようにある種お遊び的な要素を散りばめつつも、
全体としてはコウヤの成長の第一歩という
真面目な話にきっちり納まっていて良かったと思います。

また今回の勝負の決着も
シンゴが自ら負けを認めて終わるというところが、
コウヤはまだ下手なので普通に勝たせるわけにはいかない、
というハードルをクリアする説得力がきちんともたせてありましたし、
ギアファイトのモーションで靴入りの袋を投げるという
演出も面白かったです。

他にも
電話のシーンでのスクロールの仕方や、
何故かキョウスケのルーペをのぞき込むコウヤ、
コウヤの母親のおおざっぱな性格(コウヤ似?)、
コウヤがずっこけたときの絆創膏という古典的な描写、
クロウドの「またどっかで道草」
という何気ない台詞によるコウヤの性格の描写、
などなど細かい工夫が随所に見られた回だと思います。

第8話「タコ焼きバトルロイヤル」

万願寺クラブの設立記念として「マンガンジ・カップ」が開催される。
非公式戦ながらギア界注目の大会となる模様。
しかしメンバー4人だけの「トビタクラブ」にその招待状は来なかった。
大会に参加するため、
他チームの招待状を強奪するのだが・・。

今回は特別ルール(?)による2対2の対戦が見所だったです。
普段は見られないチームのマシンによる連携があったりして、
バトルに新鮮さがありました。
最後の必殺技オンパレードも盛り上がりました。

細かいところでは
2対2の対戦で、コウヤの相棒は誰?
というシーンでジロウとクロウドが後込み(下手なコウヤと組むから)
する描写がクスッとさせられました。

しかし、今回はバトル以外の演出が大いに疑問でした。
何といってもチーム「バーニングオクトパス」の描写。
他にこれといったところがないので、
おそらくこのチームの描写がこれまでのような
「面白おかしく」させる演出のつもりなのでしょうが、
「関西人&関西弁がでてくればそれだけで面白い」という
東京の人間らしい(上の「関西」の部分は他の地方を当てはめても同じ事が言える)
既成の偏ったイメージで笑わせようという発想自体が既に駄目です。

そこから上乗せされる何らかの面白さがあればまだいいのですが、
そのような特筆すべき点は見いだせませんでした。
たとえばバトルの最中得意げになる多古山兄弟を
大きなタコにデフォルメさせてみるとかさせるとか。
それに関西弁の再現性も悪く、
最低限クリアすべき点もなされていないという感じ、
というかそれがまた更に「スタッフの安易な発想」
という印象を強くさせる要因となっています。

あと、「招待状強奪作戦」をカオルに発案させ、
コウヤに突っ込ませるのも演出的に疑問です。
何故コウヤにやらせないのでしょう・・。
コウヤが発想、カオルが同調。であきれるクロウド達・・でいいのでは?

バトル重視になるとコウヤの魅力(?)がスポイルされるのは
ある程度予想はしていますが、
こんな形で面白くなくなるのは正直いって残念です。

第9話「ジロウの古傷」

チームオクトパスの招待状強奪に成功したコウヤ達。
マンガンジカップの会場入りは果たすものの、
チーム紹介の時点であえなくつまみ出される羽目に。
万願寺はエキジビジョンマッチを提案。
それはマンガンジクラブ新チームのお披露目の為の当て馬としてだった。
第一戦の出陣はジロウ。その相手は・・

バトルそのもののCGは今まで通りのよい出来でした。

今回は、元リトルリーグの投手だったジロウの過去が明らかになる回だったのですが、
その過去の事実や描写がありきたりというか安直過ぎで、
ほのかな期待を裏切られた感じです。
バトル中の二人のやりとりも今までのような工夫が見られません。

コウヤの反応も、いきなり物わかり良すぎるという感で、
今までのお話はなんだったのだろうという気がします。
ひょっとしたら前々回の対チンパンジーで成長済みということなのかもしれませんが、
だとしたら唐突に成長しすぎですね。

ギアファイトメインになったら「お笑い」がなりをひそめるのは
ある程度覚悟してましたが、
それに変わる工夫に乏しすぎたとに思います。
マンガンジクラブチームの「異色メンバー」(これが今までの笑いを踏襲したつもり?) も外しまくりといった感で、
アイデア不足のように思いました。それとも枯渇でしょうか。

ファイト中のギアのモーター音を聞き分ける程のクロウドが
ジロウの異変に気づかなかったのはどういうことでしょう。
1)ギアには詳しいが身体のことには詳しくないので音を聞き分けられない
2)ギアファイトに集中していてジロウのことまで気がまわらない
3)ジロウに無関心

次回以降コラム休むかもです・・

( 更新:2001年12月4日 文責:ごま )