アニメコラム「フルーツバスケット」2 ナビゲーション部分を読み飛ばす

アニメコラム集「フルーツバスケット」2

各話

第十七話・・・
第十八話・・・
第十九話・・・
第二十話・・・
第二十一話・・・
第二十二話・・・
第二十三話・・・
第二十四話・・・
第二十五話・・・
最終話・・・

第二十一話・・・

放映日2001年11月22日

透の前に突如現れた十二支のひとり、燈路(ひろ)。
透が状況を理解するよりも早く、
透に散々まくし立てた挙げ句、
透の大事にしている手帳を奪い去っていく・・。

燈路のキャラクターは、
いかにもムカツクぜこの野郎・・
もとい、反抗期に背伸びするお子様という感じが出ていてよかったです。
ただ、杞紗への想いが絡んだ複雑な心境のところは
もうちょっと頑張って欲しかったなと思いました。

あと、紅葉が「やきもちを焼いてたんだよ」などと状況を解説するのは、
演出的にも余計だったと思います。
ニヤリとさせて、その事をほのめかす程度で良かったのでは。

全体的には
演出に走るあまり、一時壊れまくっててスポイルされていた
「『フルーツバスケット』らしい雰囲気」がよくでていたと思います。

透が手帳を奪われるシーンで、
「・・・」と時報&鳩時計の音が絶妙にシンクロしてたのが良かったですね。
あと、燈路の毒舌でのピストルの音は凡庸になるかならないか、
ギリギリのところに納まっていたと思います。
夾くんが怒るシーンでCGでグラデーションをかけていたのは
怒ってる感じが出せた工夫だったと思います。

燈路の台詞のいちいちに
「それはお前じゃ!」
とツッコミを入れるとより楽しめるかと思います(笑)

結局のところ
全ての元凶はアキトなんじゃないですか。
アキトをぶちのめせば万事解決・・。
いやまあ、アキトにもそれなりの悩みが説明されるんでしょうが。

ところで
紫呉の「アニメくらいに素直に見ようよ、ひー君」という台詞は
実は視聴者へあてたメッセージというのは、穿ちすぎですか?(笑)

第二十二話・・・

放映日2001年11月29日

由希のファンクラブ「プリンス・ユキ」の会長・素子は最上級生。
このたび由希が生徒会長になるということで、
由希と一緒になる執行部のメンバーに女性がいるか、それは誰か、
またその人物が由希と勝手に(?)親しくしないか、
心配で仕方がない。
そこで、あの手この手で事情をつかもうとするのだが・・。

演出家の独りよがりといって過言ではない
「第十八話」の続編にあたる話ということから
見る前から既に期待度−120%という感じでした。

はじまってみると
のっけから「第十八話」の使いまわしが延々約1分半。
さらに「第十八話」以上にどうでもいい展開が続き、
見てる私のイライラゲージが急上昇です。

しかし中盤以降は、草摩家のゲストキャラを描くように、
素子の内面を、
これまでの「フルーツバスケット」らしい雰囲気で描いており、
「フルーツバスケット」の一作としてどうにか仕上がったかな、
という風に思えました。
「自分の幼さに気づき、そしてそれに立ち向かう」構図は
「第二十一話」の燈路と似ています。

とはいうものの作品の本質的には、
脇役(準主役)の由希が「透の影響で前より変わった」ということを、
脇役以下の素子の視点から
一話分まるまる使って描いただけであり、
脇役と脇役以下との関係だけの話にこれほどの時間を費やすというのは
話の演出として根本的に間違ってる気がします。外伝じゃないんだし。

ちなみに今回の演出・絵コンテは十八話と違い後藤圭二さんでした。
近々初監督作品もあるそうで、頑張って欲しいものです。

青木和代による素子の母親の演技は完全に素子を食ってましたね(笑)
流石というか。面白かったですけど。

第二十三話・・・

放映日2001年12月6日

紫呉の家の玄関前。
紙袋の底が破れ、本をばらまいて困っている美女と出会った透。
彼女は温泉の女将の子・草摩利津だった。
女将そっくりの言動をみせる利津に翻弄される透。
しかも振り袖姿の利津は、実は男だった。
消極的な性格の利津が紫呉の家にやってくるのは珍しいことだったのだが、
どうやら透に会う目的がある模様・・。

今回の見所は、何といっても利津のキャラクター。
これまで何回か登場した女将のキャラクターが
壮大な伏線となっていて面白さが倍増です。
特に牛乳のシーンで利津が暴走するのが、一番面白かったです。

そして、見逃せないのが富永みーなによる演技。
見事に女将のしゃべり方(特にアクセントのつけ方)をトレースされてました。
女将と違って、叫んでるときでも何を言ってるかハッキリ聞き取れるのもグーです。
正にベテランの妙技といったところでしょう。
強いて難をあげると男の子っぽさに欠けるところでしょうか。

ストーリーとしては、 成長期における「自意識過剰の悩み」がテーマになってました。
利津のはさすがに大袈裟過ぎますが、
後半の透とのやりとりの中に見える心の描写は、
なかなかリアルだったのではないでしょうか。
現実的にはああやって心のレベルで語れる相手を見つけるのは大変だと思いますが。

過去のシーン(利津のことで両親が誰かに謝ってる)が抽象的だったのは微妙なところ。
個人的には具体的に描いた方がより深みを増すと思うのですが、
利津と同年代の人には抽象的でも充分共感を呼ぶのかもしれません。

第二十四話・・・

放映日2001年12月12日

夾の師匠だったという籍真がアキトの下へやってきていた。
「夾の真の姿を透に見せてやれ」
アキトは何やら意味ありげに籍真に指示した。
一方、紫呉の家には楽羅がやってきて、
いつものように夾にちょっかいをだしていた。
そこへ、アキトの指示によって籍真が現れた・・

残り3話。
冒頭でのアキトの登場が作品のクライマックスへの進行を感じさせます。
これまで、草摩家の人間がことごとく透の下へやってきては、
癒されて帰っていくという展開がパターン化されていただけに、
おそらく最後は「透対アキト」という構図になるのでしょう。

アキトのあのキャラクターだけに、
クライマックスでは終始真面目なお話になりそうですが、
今回はその先兵ともいえる夾のお話だったので(もっとも夾は一応準主役)
楽羅を絡めることでこれまでの面白さを残したまま、
進行できたと思います。

後半の「夾の正体」のお話は次回次第というところで、
まだなんともいえません。

紫呉家の玄関での夾と楽羅の攻防(?)はなかなか楽しませてくれました。
楽羅の声の変化(「夾く〜ん」→「あれ〜? 扉が」→「開けろや」)
に注目です(笑)

( 更新:2001年12月22日 文責:ごま )