「機内にて」2 |
スッチー | お子さんの見学は特別に許可されているんですよ。 |
ハレ | (声だけじゃなくグゥの姿を見れば母さんだって) |
一同、操縦室へ。 |
スッチー | 機長、見学の方です。 |
機長、振り返る。 |
グゥ | いやあ、よくきたね。 |
ハレ | って、やっぱりグゥ〜!(動転) |
ウェダ | まあ、声だけじゃなくて顔もグゥちゃんに似てるのねー。 |
ハレ | 似てるんじゃなくて絶対本人だっつーの! |
副操縦士 | 機長、ご指示を。 |
グゥ | おう。 |
ハレ | しかも、あんたらまで・・。 |
グゥ | 右よーし。 |
副操縦士 機関士 | 右よーし! |
グゥ | 左よーし。 |
副操縦士 機関士 | 左よーし! |
グゥ | バックオーライ。 |
副操縦士 機関士 | バックオーライ! |
グゥ | キャップロックOK。 |
副操縦士 機関士 | キャップロックOK! |
グゥ | (ハレの方を振り返り)吸い殻ゴミは? |
ハレ | ねーよ! くるまかよ! |
ピッピピピ・・(警報) |
副操縦士 | 機長、大変です。計器に異常が! |
揺れる飛行機。 |
副操縦士 | 機長。 |
機関士 | 機長。 |
ウェダ | あ〜。 |
ハレ | あ〜、やっぱ俺の言った通りに〜(泣) |
グゥ | 慌てるな。 |
グゥの手、金槌に変形。計器をぶったたく。 飛行機の姿勢、安定する。 |
グゥ | これでOK |
副操縦士 | おお(驚) |
ウェダと副操縦士、拍手。 |
副操縦士 | さすが機長です。 |
機関士 | おお(驚) |
・・・ |
席に戻ったハレとウェダ。 |
ウェダ | 女性の機長さん、カッコよかったわねー。 |
ハレ | はぁ、俺には何が何だか・・。
ふう、気にしすぎるから変になっちまうのか。 |
外に雷が鳴る。窓にグゥの姿がチラッと! |
ハレ | はっ! ねー俺ってさー、最近ナイーブすぎるよねー。
幻覚とか見るんだよなー。 |
ウェダ | 熱でもあんじゃないのー。とっとと寝たらどうよ。
まだ10時間あるし。 |
ハレ | 母さん、少しは愛のある反応してよー。 |
ウェダ | 愛あるねぇ・・。
大丈夫? 慣れない飛行機に乗って疲れたのねー、ハレ。
|
ハレ | あからさまに面倒くさそうな顔した後に、
んな事言われても、むしろこっちが対応に困るね・・。
|
グゥ | お客様。もうすぐ昼食なのでメニューをお選びください。 |
ハレ | あ、どうも。えっ!
|
グゥ | イェーイ |
ハレ | か、かかかかかかか母さん! |
ウェダ | もう、今度は何?!
|
ハレ | ぐ、グゥ〜。 |
ウェダ | はぁ?
|
グゥ | 洋食コースと和食コースがござるが、どちらにします? |
ウェダ | まぁホント、グゥちゃんにそっくり。 |
ハレ | お〜いおい、そっくりですませるのかよ。 |
ハレ、周囲を見渡す。他のスッチーとは明らかに違う。 |
ハレ | 違うじゃん。 |
ウェダ | どこが? |
客 | あー、僕和食ね。 |
グゥ | おうよ。 |
ハレ | えー、なんで? 周りは変だと思わんのかい?!
いやー、どうしよう! やっぱ俺がおかしいのかな。
なんかもう、見えてる世界が全て偽りのような気がしてきたよ・・。
例えば・・今見てる人達が実は全然違う姿をしていて・・
異次元の生き物なのかもしれない・・。 |
ハレの視界、客席に異次元の生物が。 |
ウェダ | はぁ〜あ〜、お腹空いたわねー。 |
ハレ | いや、この考えはかなり怖いからやめとこう。 |
ウェダ | 食事楽しみだわー。 |
ハレ | あ〜あ〜あ〜(苦しむ)
なんかもっといい心の解決案はないのか。
このままでは自ら作り出した不安でストレス死してしまいそうだ。
お、自ら作り出した?
そうっか、今までのことは俺がグゥを恐れるあまり、
自ら作り出した幻覚なんだ。
はははは、そうだそうだよ。
そう割り切って考えると少しは気が楽になるよなー。 |
グゥ | はいどうぞ。 |
グゥ、ハレの席に食事を置く。 |
ウェダ | あ〜ら、美味しそうね。キャビアなんて久しぶり。 |
ハレ、グゥの姿に驚くも平静を装い食事する。 |
ハレ | 気にしない気にしない。
あれは弱い俺が生んだ幻なんだ。
|
グゥ | え〜、コーヒーはいかがー。 |
グゥ、コーヒーサーバーを頭にのせグルグルまわっている。 |
ハレ | あっ(スプーンを落とす) |
グゥ | ハレ、落としたよ。(といってスプーンを差し出す) |
ハレ | あ、ありがとうグゥ。 |
グゥ | おうよ。 |
ハレ | やっぱグゥじゃんか、お前ー! うわぁ!
(驚きのあまり食事のお盆をひっくり返す) |
グゥ | ええ、そうよ。あらもしかして見てわからなかったの? |
ハレ | うっ。 |
グゥ | さて、そろそろ操縦の方に戻るか。 |
ハレ | おーい、やっぱさっきの機長もお前かよ。
まておい、お前操縦なんかできないだろうが。
おい、待てよおい!
(またお盆をひっくり返す) |
ウェダ | もう、ちょっとうるさいわね! せっかくの食事が台無しよ! |
ハレ | 母さん・・もう駄目だ、もう駄目だ、もう駄目だ! |
ウェダ | 何言ってんの! いい加減にしてよ。 |
ハレ | 俺達これでおしまいだ(泣)
うぇ〜ん、ごめんよ俺って駄目な息子だったよね。
でも母さんのこと好きだよ〜。 |
ウェダ | もう〜、うるさい。 |
ハレ | 俺、母さんの子供に生まれて・・ |
ウェダ | 昇天しな! |
振り下ろされる拳。
ハレ、昇天。口には絆創膏。頭にはたんこぶ2つ。 |