ノーマッド |
私の正式名称を覚えているのは、もはやヴァニラさんだけです。
どうも、俗称ノーマッドです。
今回のエピソードはウォルコットさんです。
あの人は昔はそれなりの経歴を誇ったようですが。
どっかで大きなミスでもしたのでしょうね。
だって今の職場はどう考えても左遷ですよ。 |
ウォルコット |
い〜え。それが、志願なんですよ。 |
ノーマッド |
え・・うそっ。 |
ミルフィーユ |
「ギャラクシーエンジェル」ラジオドラマ。エンジェルこぼれ話その7
「花柄のマグカップ」の巻 |
ウォルコット |
(お茶をすする音)ふぇ〜・・。
私が生まれたのは粉雪の舞う寒い朝だったと聞いてますが。
それからもう半世紀以上たつというのに、
やはり誕生日は、なんとなく、心浮き立ってしまいますな。
今晩はワインでも開けますか。 |
(数人の足音) |
フォルテ |
それにしても。私たちってつくづく出来た部下だよね。
上司の誕生日をちゃんと祝ってやろうってんだから〜。 |
ミルフィーユ |
驚くでしょうね。ウォルコット中佐。 |
蘭花 |
結構いいプレゼントも買ったし。
泣いちゃうかもね〜。 |
ミント |
それはないんじゃないんですか。 |
フォルテ |
でも、わりと誕生日楽しみにしてそうなタイプじゃん。 |
蘭花 |
するする。そんな感じ。 |
(エンジェルルームの扉の開く音) |
ウォルコット |
あ〜。おかえりなさい、みなさん。 |
蘭花 |
ただいま戻りまし・・あ〜! |
ミルフィーユ |
どうかしたんですか、蘭花さん? |
蘭花 |
中佐! その花柄のマグカップ! |
ミント・フォルテ |
あ! |
ウォルコット |
ん・・どうしました? |
蘭花 |
それ、給湯室にあったやつですよね? |
ウォルコット |
そうですが。 |
蘭花 |
な〜んで使ってるんですか?! |
フォルテ |
花柄は私たちが使ってるマグカップだよ。 |
ウォルコット |
え? え、でも給湯室のコップは官給品ですから、共用じゃないんですか。 |
フォルテ |
いや、まあ。それはそうなんだけど。 |
ミント |
茶色のカップがあるじゃないですか。
なんであちらを使われないんですか? |
ウォルコット |
あ〜。あのカップの色、あんまり好きじゃないんですよ。
いや、なんか、くすんでるじゃないですか。 |
蘭花 |
ん〜でも、花柄と茶色があったら、普通男は茶色じゃないですか〜。 |
ウォルコット |
わたし花柄嫌いじゃないですよ。 |
フォルテ |
そういうことじゃなくて。 |
ウォルコット |
どういうことなんですか? |
ミント |
いえ、ほら、見た目が。 |
蘭花 |
そうそう。カッコ悪いですよ。 |
ウォルコット |
別にそういうの、気にするタチじゃないんで。 |
フォルテ |
いや〜、でも〜。 |
ウォルコット |
いいじゃないですか。元々共用なんですから。
誰でも一緒に使えば。 |
蘭花・ミント |
え〜?! |
ウォルコット |
なるほど・・。 |
フォルテ・蘭花・ミント |
え・・? |
ウォルコット |
そういうことですか・・。
蘭花さん。フォルテさん。ミントさん。
よ〜く分かりました〜よ。 |
ミルフィーユ |
えっ!? どういうことなんですか? |
ヴァニラ |
差別は世界を狭く、心を貧しくします。 |
ミルフィーユ |
差別なんですか。駄目ですよ、差別は。 |
蘭花・ミント |
ん〜・・。 |
ミルフィーユ |
で、何の差別なんですか? |
フォルテ・蘭花 |
おいおい。 |
ウォルコット |
オヤジ差別です。 |
つづく |