ミルフィーユ |
(ノックの音)ミントさ〜ん。 |
ミント |
(ドアの開く音)はい。どうしました?
待機任務交代の時間はまだだと思いますが・・。 |
ミルフィーユ |
ミントさん。これ読んでください。 |
ミント |
いきなり、なんですの? |
ミルフィーユ |
貴重〜な古文書です。 |
蘭花 |
だ〜から、ミントだって読めないって。 |
ミント |
(うさ耳の音)むっ。 |
フォルテ |
そうそう。読めるわけないって。
だってこれニセモノ・・ |
ミント |
失敬なこと、おっしゃらないで下さい。
まだ見てもいないのに、読めないと決めつけないでいただけませんか。
ロストテクノロジーを扱う仕事に考古学は必須ですわ。
わたくしはちゃんと勉強をして学位もとっています。
あ、みなさんはどうか知りませんけど。 |
フォルテ |
あ〜、こいつ学問を鼻にかける気か〜。 |
ミント |
そんなつもりはありませんけど。
やはり積んだ教養の違いってものは、あるんじゃないですか〜。 |
フォルテ |
ほんま、腹たつ〜。 |
蘭花 |
フォルテさん。 |
フォルテ |
止めんな蘭花! |
蘭花 |
まあまあ。
(ひそひそ声で)ミントが読むって言ってんだから、
読んでもらいましょうよ。
どうせ読めっこないんですから。こんなデタラメ文。 |
フォルテ |
(ひそひそ声で)や、それもそうか。
へっ、読めなかったときのミントの言い訳、楽しみだな〜。 |
ミント |
何ごそごそ言ってるんです? |
フォルテ |
いや、今蘭花に諫められてたんだよ〜。
見てもいないうちに否定するのは、やっぱり我々が失礼だろうって。
反省した! 全面的に私が悪かった! |
ミント |
ま、非を認めるならいいですけど。 |
フォルテ |
(ムッとして)あぁ?! |
蘭花 |
まあまあ、フォルテさん。 |
ミント |
じゃ、本を見せていただけますか。ミルフィーユさん。 |
ミルフィーユ |
あ〜はいはい・・ここのとこです。 |
ミント |
はい・・ん? え〜っ! |
蘭花 |
どうしたのミント? |
フォルテ |
まさか分からない・・ |
ミント |
これは! 幻の、超古代言語です。 |
蘭花・フォルテ |
え〜?! |
ミント |
これは大変な発見ですよ。
この本に載っているのは、
大昔、辺境惑星の小さな島で、特定の若い女性たちが、
わずか数年だけ使っていたという非常に貴重な言語です。
この言語は、あったという伝承だけで、
言語そのものに関する文献がほとんど残っていないんです。
このため学会では、ずっと幻の言語と言われてきました。
こんなに沢山の文例が載っている本が現存してるなんて・・。 |
フォルテ |
おいおい。なんか、本当っぽいぞ。 |
蘭花 |
うぇ〜・・そうですね。 |
フォルテ |
と、ということは、これって相当貴重? |
ミント |
もし、仮に古代遺産専門のオークションに出したら、
200万ギャラは下らないでしょうね。 |
蘭花・フォルテ |
え〜! |
ミルフィーユ |
ほらほら。99.9975%オフ。 |
ミント |
まあ。実際はこのレベルになったら文化遺産ですから。
売り買いは差し止められて国が管理することになるでしょうけど。 |
フォルテ |
しかし、そう聞くと俄然興味がわいてきたな。幻の言語。 |
ミント |
だいたいなら読めますよ。 |
フォルテ |
えっ! 本当? |
ミント |
バラバラの単語の発音だけなら、他の文献にも載ってましたから。 |
蘭花 |
あ、あたしも聞きたい。 |
ミルフィーユ |
わたしもです〜。 |
ミント |
ん〜。例えばこの文例ですが。
これは「この前、嫌いな人からの電話を無視していたら、
『強引に連れていくぞ』と脅されて、とてもハラがたった」
といった意味になるんですが。 |
蘭花・フォルテ・ミルフィーユ |
ふんふん。 |
ミント |
こんな感じになります。 |
蘭花・フォルテ・ミルフィーユ |
どんな? |
ミント |
このまえ〜。ウザベル、シカッティングしてた・ら〜。
ラチるとか言われ・て〜。
チョムカ〜。 |
おわり |