(風の音。鳩時計の音) |
蘭花 |
フォルテさん。 |
フォルテ |
はい。 |
蘭花 |
運んでる最中に消えた積み荷なんですけど。
今思い返してみると、途中で寄った屋台そば屋のマスターが怪しいと思うんですよ。 |
フォルテ |
いきなり何言ってんだよ~。 |
蘭花 |
だって、あたしたちが食べてる間、店の裏に引っ込んじゃってたじゃないですか。
裏には紋章機が停めてあったんですよ。 |
フォルテ |
あそこのマスター関係ないよ。いい人だよ。 |
蘭花 |
いやいや。大概の犯罪者は周囲にはいい人って言われてたりするんですよ。 |
フォルテ |
そんなことないって~。 |
蘭花 |
なんで、かばうんですか!
・・は~ん、ひょっとして~。 |
フォルテ |
え・・? 違うって! |
蘭花 |
確かに~。ちょ~っと歳がいっちゃってますけど~。
渋いっちゃ渋い、いい男ですよね~。
しっかし本当に守備範囲広いんですね~。感心しますよ。 |
フォルテ |
だっから、違うっつ~の。 |
蘭花 |
でも、こういう推理に私情交えちゃ駄目ですよ。 |
フォルテ |
そ~じゃなくて。ありえないんだって。 |
蘭花 |
なんで言い切れるんですか。 |
フォルテ |
あれ、ロボットだもん。 |
蘭花 |
え?! |
フォルテ |
ロボット。アンドロイド。機械なの。 |
蘭花 |
あ、でも「いい人」って・・。 |
フォルテ |
あいつ、よく具を多めに入れてくれるんだ。 |
蘭花 |
それって故障してるだけじゃないんですか? |
フォルテ |
いいじゃん。小さな幸せなんだから。 |
蘭花 |
わ~びし~。 |
フォルテ |
うるさい。 |
(風の音。鳩時計の音) |
フォルテ |
確かに。蘭花の占いは当たってたってことだよな。
仕事の積み荷はなくすし、紋章機は事故る。
加えて、荷物の補償金と紋章機の修理費をまとめて取り戻すために行ったカジノじゃ大負け。
スッカラカンで、こんなところに放り出されちまったんだから。 |
蘭花 |
え~? ちょっとソレぜ~んぶ、あたしのせいなんですか? |
フォルテ |
だって今日の運勢最悪なんだろう。 |
蘭花 |
フォルテさんのが、もっと最強最悪なのかもしれないじゃないですか。 |
フォルテ |
な~に~! |
蘭花 |
なんですか! |
フォルテ・蘭花 |
ふぇ~っくしゅ(くしゃみ)。 |
フォルテ |
たぶん・・どっちもどっちだね~。 |
蘭花 |
そうですね~。 |
フォルテ |
じゃ~、ま、それはいいとして・・。
どうしてわたしたち、今ジャイアントパンダになっちゃってるわけ? |
蘭花 |
荒野にパンダはシュールですよね。 |
フォルテ |
そういうことじゃないだろう! |
蘭花 |
分かってますよ。 |
フォルテ |
(じゃ)なんでだよ!? |
蘭花 |
なんででしょう。 |
フォルテ |
ん~。んじゃ、まあ、それもいいとしよう。 |
蘭花 |
え~!? い~んですかぁ?! |
フォルテ |
いちばん納得いかないのは・・ |
蘭花 |
はぁ・・? |
フォルテ |
パンダなのに、なんで寒いんだぁ!? |
蘭花 |
そんなこと知りませんよ。 |
フォルテ |
毛があんのに変だろう! |
蘭花 |
だから知りませんって。 |
フォルテ |
パンダのメリットないじゃんか。 |
蘭花 |
(不明) |
フォルテ |
あ~、ついてね~・・。 |
(おわり) |