『スパイラル−推理の絆−』第1〜7話 ごまのアニメ批評日記fromアニメ討論室
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ごまの「アニメ批評日記」

『スパイラル−推理の絆−』

更新:2002-11-16
第1話〜第7話 : 第8話〜第13話第14話〜第21話

11.15 第7話「信じぬ者の選択」

理緒の病室に乗り込んできた鳴海&ひよのに理緒が一勝負仕掛ける、という話。
前回、理緒が包囲網からの回避に自爆という理解不能な行動を示したのは、
「無茶をする」という先入観を与えて、今回の「勝負」を優位に運ぶためだったということが明らかになりました。
繰り返される「ブレードチルドレンの呪われた運命を乗り越えるため」という理緒の台詞を受け入れてさえしまえば、
二段構えの心理作戦で理緒が最終的に勝利する、という今回の勝負はなかなか良くできている作りだとは思います。
ただ、流石にこの決まり文句だけに頼るには、前回の自爆、今回の勝負とも行動として荒唐無稽すぎて、
リアリティの観点から興ざめしてしまうという反応があっても仕方がないです。
決まり文句頼み一辺倒ではなく、ブレードチルドレンの行動原理として少しでも納得できるような要素が出されていれば
印象も変わったのではないでしょうか。

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11.14 第6話「包囲網の死角」

歩とひよのによる捜査が網が、今里先生殺害犯人である理緒に迫っていく、という話。
結果からいうと理緒の読みが歩のそれを上回っていたわけですが、
歩と理緒に同じ台詞を言わせることで、受け手には両者の優位を二転三転させていたのが惹きつける工夫だったと思います。
ただ、理緒が自爆して包囲網を回避するというオチは流石に荒唐無稽でした。
この自爆が次回への伏線だとするなら読みが外れたことを歩にくどくど言わせるよりも、
自爆したところで「引き」にした方が良かったのではないでしょうか。

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11.05 第5話「霧の死刑台」

ブレードチルドレン側から寝返って、鳴海に情報を漏らそうとした今里先生が殺害される、という話。
竹内理緒はブレードチルドレンの一員で今里先生殺害の犯人だということが後半明らかになりますが、
前半の登場シーンでの、ドジっぷりが演技であったことやブレードチルドレンであることの伏線がなかったのが変。
理緒しか登場していないという展開から考えて犯人なのは一目瞭然なので、
変に謎めかしても無意味だと思います。今里先生の前に現れるときの髪をおろしたシルエットも同様。
今回は今里先生の殺害方法と犯人像を鳴海が解き明かすのが見どころで、
ガスが充満させられるほどの狭さでありながら高低差はあるという視聴覚室内の構造に疑問を感じるものの、
疑問を受けつけないスピーディな論理展開だったため、まあまあ楽しめました。
「最後に勝つのは・・」という台詞を鳴海、理緒の双方に言わせているのは次回への対決構図をハッキリさせていて良いです。
「論理の旋律・・」の台詞が会話の中に無理矢理入れたっぽいのは疑問。

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10.28 第4話「信じる者の幸福」

ブレードチルドレンの一員らしい浅月香介が、情報と命をかけたゲームに鳴海を招待する、という話。
前回に続いてすっかりミステリーではなくゲームな展開となった今回の話。「遊戯王」の初期ってこんな感じだったような。
それはさておき、今回のゲーム描写は絶妙で堪能することができました。
作中では鳴海が浅月の性格と心理トリックを見破り、トランプから引かれた一枚のカードがジョーカーであると看破しますが、
作り手から受け手という視点で見た場合、最初に「4回質問すれば的中できる」ということを強調することで、
実は1回の質問で的中できるというその後の展開を上手くカムフラージュしているわけです。
更にリスク軽減のためにズルをしていた、という鳴海の二段構えが明らかになるオチもリアリティという点から見て良かったです。
難をあげれば、フェロモンを染み込ませた紙でスズメバチの驚異を逃れたところはリアリティに疑問だったところ。
あと作中で語られるアナフィラキシーの概念(刺されたら死ぬ)も誇張のような気がします。
もっともそれ以前にあれだけの数のスズメバチと共に密室にいる時点で絶体絶命ではないかと。

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10.20 第3話「呪われた子供たち」

音楽ホールに時限爆弾が仕掛けられた、という話。
バー(取っ手)を握ると爆破時刻が30分延長されるが、解除出来ない限りバーを手放せない、
という条件を提示して、爆弾を放棄するかリスクを負って解除に挑むかを、主人公に選択させるときの緊張感が面白いです。
しかし肝心の解除方法の仕掛けが今ひとつ。
3×3のマスに1桁の数字を1個ずつ入れていく、
と聞いた時点で「魔法陣」であること、最終的な組み合わせが二択であることが丸分かりでした。
残り10分を切った状態で「鳴海がピアノをやめた理由」などというどうでもいい会話をしているのも、
理由づけ(例えば、爆発までに時間があって煮詰まった頭の中を整理するためとか)に乏しく、
わけの分からないシーンとなってしまいました。

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10.12 第2話「死の聖樹館」

白長谷小夜子の実家で起こった、ウォード錠による密室殺人、という話。
今回は犯人当ての段階からスタートする、いわゆる「コナン」方式。
しかし、その方式をとるならば、
まどかが雷造を犯人に名指しした時点で、初山レイ子が犯人と分かってしまう底の浅い作りは何とかして欲しいところ。
今回は、心臓発作癖をもつ被害者にスタンガンで殺害という方法やダイイングメッセージの図形に
リアリティとしての引っかかりを感じるものの、
密室トリックなどはまあまあ良くできていたので楽しめました。
作画も今回はきれいにまとまっていました。

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10.04 第1話「運命の螺旋」

月臣学園の階段の踊り場から少女が謎の転落をした、という話。
タイトルにもある通りミステリーもののアニメ作品。
第1話を見る限りでは、「コナン」や「金田一」のように犯人を絞り込むところからではなく、
予め犯人らしき人物を受け手に見せておいて、
主人公の少年、鳴海歩がそこに迫っていく、という「刑事コロンボ」「古畑任三郎」のような形態。
その一方で、刑事である主人公の兄がその追跡中に失踪する「ブレードチルドレン」という存在を、
シリーズ全体の謎として配置。これは「コナン」に薬を飲ませた組織という位置づけに似ています。
このようなミステリーものにおいては、
犯人を追いつめる際、必ずしも刑事訴訟で有罪となるための配慮、即ち証拠にこだわる必要はありません。
犯人自らの自白で決着したとしても、
そこに至るまでの探偵対犯人の駆け引きや犯人を追いつめる探偵の言動が
見どころとして納得ゆくものであれば、楽しめる出来になるものです。
逆にそういう要素に乏しくても、肝心のトリックさえ緻密であれば、やはりそれなりに楽しめるはずです。
ですが、この第1話にはそのどちらの要素も備えていませんでした。
階段の踊り場から転落させるトリックも、穴だらけの稚拙さでしたし、
犯人を追いつめたときの決め手が眼鏡の破片で怪我をした指というのも、
見どころとしての説得力に欠けました。

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第1話〜第7話 : 第8話〜第13話第14話〜第21話
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更新:上記参照 作成:2002-10-05 文責:ごま
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