踊りは下手でモテない、プレイボーイ風の自称「王子様」の少年ふぇみおが、
あひる達の前に現れる、という話。
何と言ってもふぇみおのキャラクターに尽きるのですが、
特筆すべきはキャラクターそのものではなくストーリーへの絡ませ方です。
アリクイ美あたりと比較するとよく分かるのですが、
今回のふぇみおは、本編中一貫して独特(というか異常)なキャラクター、
即ちるぅに心臓を狙われた人がたまたまそういう人だった、
という描かれ方がなされています。
したがってふぇみおの性格・思考などは全く本編に絡むことなく
チュチュとクレールの攻防に進むのかと思いきや、
クライマックスで心を操られたはずのふぇみおが我に帰りクレールが失敗する
という大どんでん返し的展開を見せます。
その展開はラストシーンにおける本作の重要なキーワード、
「命を捨ててもいいほど愛してもらえない(みゅうと)」
「愛を告げられないプリンセスと、愛を告げても愛されないプリンセス(ドロッセルマイヤー)」
の二点につながるわけですが、
単なる作り手のお遊びかと思われたキャラクターが、
今までのどのゲストキャラとも引けをとらない、もしくはそれ以上という形で、
本編に重要なキーワードをもたらしてくるという仕掛けは素晴らしい演出だったと思います。
映像の点でもふぇみおの動きは、アニメとして十分動いていてコミカルさも出ていて、
上記演出上の意図を果たせていたと思います。
ただ一つだけ気になったのは、ふぇみおの声(パパイヤ鈴木)が年齢と合っていなかったことなのですが、
ひょっとしたらこれも大どんでん返しへの布石だったのかもしれません。