アニメコラム2001/10/07

アニメコラム集

「機動天使エンジェリックレイヤー」終了 2001/09/26

結局、最初から最後までルーチンワークでしかないストーリーであった。

みさきがエンジェリックレイヤーで頂点まで上り詰めることと
母に再会することが物語のはじめから丸分かりである。
視聴者はそれを26話という枠内で延々見せられただけだった。
「エンジェリックレイヤーのバトルに重きを置くために敢えて取った方法」
と好意的な見方もできなくはないが、
よしんば本当にそうであったとしても、
何のどんでん返しもなく全て予想通りというのは興ざめに過ぎる。
工夫不足と言わざるをえない。

その一方で「エンジェリックレイヤー」が「空想の産物」であるにも関わらず、
そのシステムの全貌が明らかになるのが2クール目以降になっているところは
いかにも不親切極まりない。
おそらく謎をもたせたという演出なのだろうが、
個々のエンジェルの特性に「反則」としか見えないギミックがあって
それに対する納得のいく説明がなかったりしたこと、
また大会の全容がハッキリしないことなどと相まって、
視聴者は「エンジェリックレイヤー」の世界というものがつかみ辛く、
この空想世界にとてもではないが感情移入できないのだ。

そして演出として最悪だったのが、
みさきと萩子の親子の描写におけるリアリティのなさである。
何といっても「会おうと思えば会えないことはないのに、敢えて会わない」
ということに対しての説得力が全くない。
そのため、みさきを間近にしての萩子の葛藤も理解不能だし、
再会したときの感動も皆無であった。
極めつけが25話で母と思わぬ再会を果たした後のみさきの描写で、
萩子がエンジェリックレイヤーのチャンピオンであることを同時に知り、
ショックを受けたみさきが母の前から走り去るという描写。
私自身の経験からいっても、こんなことは絶対ありえない。
どんな状況下にせよ「会いたい」と思っていた子供ならまず親との再会をまず喜ぶはずであり、
あの状況でも一人になって悩むより親に直接問いただすはずである。
「こうやれば盛り上がるであろう」程度の認識が見え見えだった。

このように作品全体の枠組みは、「素人の作り」といってもいい程のひどい出来ではあったが、
それでも最後まで視聴し続けられたのは、
エンジェリックレイヤーのバトルが面白かったからに他ならない。
決して満点というわけではなく不満な点もあったが、
ちゃんと動いていた「アニメーション」によって、
アニメによる肉弾戦を堪能することができた。
そのため、上に書いた「反則」キャラであってもバトルが楽しめたし、
次々に現れるエンジェルの様々な個性を楽しみにすることもできた。
このことは「戦いが始まるやいなや必殺技の飛び道具を打って終わり」な感のある
最近のロボットアニメにはぜひ見習って欲しいと思う。

( 更新:2001年10月19日 文責:ごま )