アニメコラム2001/09/03

アニメコラム集

「COWBOY BEBOP 天国の扉」を見た! 2001/09/03

まず特筆すべきはアクションシーン。
実写で嫌というほど目にすることができるものをわざわざアニメーションで再現し、
しかも実写に勝るとも劣らないという出来映えで、
正にアニメーションの醍醐味というものを感じることができた。
「ハリウッドが注目」という触れ込みだけのことはあったと思う。
ストーリーも上手くまとめられているという感じで、
2時間の上映時間も退屈することなく見ることができた。
声優陣の演技も申し分なし。
一本の映画としてはよくできていた・・と思う。

終盤、途絶える連絡に半ばあきらめ気味のジェットが言う。
「別に仲間ってわけじゃなかったしな」と。
敵ではないけれど仲間というわけでもない。
4人(と一匹)のキャラのこの微妙な関係が生み出す展開が
「ビバップ」の面白さの要因のひとつのはず。
上記のシーンではいみじくもジェットに語らせているにも関わらず、
作品全体からそれを感じることができないのだ。
作中、主要キャラはテレビ版同様めいめいのやり方で
捜査(?)を進めていくがそれはただ、
コンピュータに詳しいキャラが、欲望一直線のキャラが、
とりあえず動いてみるキャラが、ただバラバラに動いているだけ。
言わばストーリー進行上のパーツにしか写らなかったのである。

原因は4人のキャラの絡みが少なかったことにつきる。
逆にいうと2時間もの時間を有しながら、
ほとんどをストーリー進行に費やしたがために、
よけいにそう感じさせてしまってるのではないだろうか。
もっと4人のキャラの絡みに時間を割くべきであった。
強いてあげればスパイクとジェットに関してだけは
冒頭のコンビニ強盗のシーンにかいま見ることはできるが不十分である。
プロローグを入れるのであれば、
それで4人の関係が充分伝わるものにすべきであったし、
いっそのことプロフィール紹介でもよかったと思う。

この事は劇場で初めて「ビバップ」を目にする人に
テレビ版、即ち作品本来の面白さが伝わらないということでもある。
上記の他にもテレビ版にあった、
惑星間をまたにかけて動き回っていた事や
毎回違うジャンルにBGMを統一する事などから受ける
シリーズ全体を通しての作品の印象というものが、
劇場版には込められていなかったと思う。

結論としては、
テレビ版での面白さの要素のいくつかはスポイルされているので、
元々のファンが期待を膨らませて見に行くと物足りない感じがするが、
一本の映画としては鑑賞に充分堪えうるといったところだろうか。

( 更新:2001年10月19日 文責:ごま )