ジョーが拾ってきて飼っている犬「クビクロ」。
それは3ヶ月前にひき逃げされ死んでしまった
計算のできる両親とそれを大道芸として見せる老人の忘れ形見であった。
ジョーはクビクロを可愛がるが、
その頃東京では人が突然発火炎上するという謎の事件が起こっていた・・。
平和になった世界におけるサイボーグ戦士たちの生活を描きつつ、
滅んだはずのブラックゴーストがまだくすぶっているということを匂わせて
今後の展開への伏線としているのが、
前回の「悪の化石」と今回のお話。
「悪の化石」を先に持ってきたことで、
前回の本編のラストでも言われていた「悪の化石」という言葉が、
ブラックゴーストの存在を暗に示しており、
今回のお話に登場していた老人がブラックゴーストに関与していたことを
理解しやすくなっているのは当初予定と順序を入れ替えた効果がでていると思います。
今回のお話は、より日常描写となっていることで
平和な世界でのサイボーグ戦士たちの暮らしぶりという
雰囲気がよくでていたと思います。
冒頭にいきなりクビクロがでてきたのは
唐突な印象でストーリーの時間軸が分かりにくかったです。
本編ではその後で3ヶ月前の出来事を説明するという帰納法を使ってますが、
却って展開がつかみ辛かったと思われるので、
最初に3ヶ月前を描写して、クビクロを引き取るという演繹法で良かったのではないでしょうか。
故郷ニューヨークに戻った002は何をするでもなく毎日を過ごしていた。
なついてくるウェイトレス・キャシーの息子ジミーには
ブラックゴーストとの戦いを語って聞かせるが、
002のことを不真面目な人間だと見ているキャシーには嫌われる。
そんな時キャシーの勤めるホテルが火事になり、
キャシーは燃えさかるホテルの中に取り残される・・
ジミーやキャシーとのやりとりで、
サイボーグ戦士が普通の生活に戻ろうとしながらも、
なかなか上手くとけ込めないという姿が
上手に描かれていたと思います。
002が燃えさかるホテルに飛び込みキャシーを救うところで、
ドジを踏むという展開、その時のあきらめの台詞も
002らしさが良くでていました。
欲をいえば、冒頭の009と003を描くところは
いっそはしょってしまって、
002がブラブラ生活している様をもっと詳しく描く時間に
割いた方がより面白くなったと思います。
それにしても、回想シーンでブラックゴーストにさらわれる所といい、
火事のところで足を負傷(?)するところといい、
002はホント汚れ役がよく似合ってます。
災難にあっても「馬鹿だなぁ002は」と思わせるところは
いいキャラクターに仕上がってると思います。
002がジミーにブラックゴーストとの戦いを語るところ。
情けない(ように002が語っている)スカールの台詞にも
ちゃんと若本規夫を使ってるところが素晴らしい(笑)
地震や津波などの自然災害が数週間に十ヶ所以上発生。
甚大な被害が続出した。人々はそこで「神の姿を見た」と口々に言う。
ギルモア博士はその出現順にある法則を発見。
サイボーグ戦士たちに調査を命じた。
サイボーグ戦士たちと神々との対峙というのが、どうしても唐突に感じます。
どうやら全体がNHKの連ドラや大河ドラマのような構成のようですが、
テレビアニメだとどうしても2クールスパンの視点で見てしまいます。
作り手側もそのへんは分かっているようで、
「ミュートス編」というタイトルを付け加えていますが、
だったら、これまでの、数話毎にガラッと変わる展開にも
「〜編」と冠した方が大河ドラマ調な感じがより分かりやすかったと思います。
作画の方は、アップが多く特に動いていたという印象はありませんでしたが
(悪いというわけではなく、あくまでTVアニメの普通以上のレベル)
今シリーズの石ノ森タッチを終始損なうことがなかったので良かったです。
あとは今後の展開次第ですね。
( 更新:2002年3月29日 文責:ごま )