アニメコラム「サイボーグ009」3

アニメコラム集「サイボーグ009」3

第11話「幻影の聖夜」

放映日2001年12月23日

ドルフィン号は003・フランソワーズの祖国フランスに停泊。
数十年ぶりの帰国を果たしたフランソワーズは、
かつてを思いつつ故郷である街を歩くが、
ふいに妙な気配を感じる。
その正体が003の能力をもってしても分からないばかりか、
フランソワーズは「かつての自分が抱いていた夢」という幻影に支配されていく・・。

どちらかというとサイドストーリーっぽいお話。
いるはずのないかつての友人と勘違いするところからはじまって、
「かつての自分の夢」が幻影として現れ、
やがて幻影と現実の区別が自分でもつかなくなっていくという展開は、
どこかで見たような話ではあるもののなかなか面白かったです。
特に助けにやってきた009の姿が、
サイボーグの任務(?)に連れ戻そうとするもう一人の自分の姿に
オーバーラップさせるところ上手いと思いました。

結局、ブラックゴーストによる警告かイタズラというところが真相ではないか、
ということが博士によって推測され、実際のところ「どこで誰が」
ということは分からずじまいというオチだったのですが、
003が何故索敵できなかったかをはじめ、
フランソワーズの兄や友人は何だったのかという謎が残りましたし、
何が何だか分かりにくかったというのが正直なところでした。

第12話「謎の無人島」

放映日2002年1月6日

偵察機で敵の基地を探索していた005・006・007だが、
悪天候と燃料ギレによりある島に不時着。そこは無人島だった。
救助がくるまでとりあえず水と食料を確保しようと
島を散策していると偶然廃墟となった軍事施設を発見。
それは既に破棄されたブラックゴーストの一拠点だった。

前回に続いてのサイドストーリー的話。
といっても「サイボーグ戦士達の悲哀」を描くことが本作品の主旨のようなので、
別に毎回敵と戦う必要はなく、
前回や今回の話はむしろ本筋とも言え、これはこれでいいとは思います。

しかし前回に輪をかけてよく分からないお話でした。
登場人物からして005・006・007の三人で、
前回の003に比べたら十把一からげという感じです
(007は以前にもありましたし次週の主役でもあるようですが)。
三人のなかでもどうやら006が主役っぽかったですが
、 もう少しキャラに割く時間のメリハリをつけた方がよかったと思います。

一人(?)置き去りにされた管理ロボットに対して
006が上手にコミュニケーションをとりつつ、
その姿にサイボーグである自分を投影する・・
というのが見所だったのでしょうが今回もちょっと分かりにくかったです。

第13話「ロンドンの霧」

放映日2002年1月13日

前回のパリに続いてロンドンにやってきた一行。
007ことグレートブリテンは故郷であるロンドンで、ある小劇場を訪ねた。
そこは元役者だった彼が売れない役者の時期を過ごしていたところだった。
そこには丁度「ロンドンの霧」の公演を間近に控えた劇団がリハーサルをしていた。
その劇団のヒロイン役・ソフィは、売れない役者時代の彼の恋人とそっくり。
それもそのはず彼女はその恋人の娘だった。
そんな中、ブラックゴーストの蜂ロボットの大群が007を襲ってきて、
たまたま彼と一緒にいたソフィの相手役が重傷を負ってしまう・・

「売れない役者や芸術家が、その後出世して、
それまで物心両面で面倒を見てくれていた恋人を捨て去る・・」
というのは実際どうかは知りませんが、
ストーリーとしてはよく耳にするありがちな話。

それを襲来するブラックゴーストの兵器に絡め、
007が代役を買ってでるという展開(他の戦士たちは護衛)が楽しめました。
ここでのポイントはこの劇がかつて007が演じるはずだった
ということが伏線として貼られていたところ。
話として上手くまとまっていたと思います。

ただ今回絵的に気になるところが目立ちました。
007とソフィが墓に行ったところで、
007がソフィに援助を申し出ようとするところが
カクカクとした動きでいかにも枚数不足。
あと、代役をソフィに懇願するところも、
台詞の盛り上がりの割には絵が全くついていってないという感じでした

第14話「再会の地で」

放映日2002年1月20日

西アフリカの「ムアンバ共和国」にブラックゴースト出現の情報を受け、
やってきた009・002・008の3人。そこは008ことピュンマの故郷であった。
この国は元グルトニアの植民地で、
5年前の独立後するも大統領ウンババが独裁をふるい、
グルトニアの勢力と共に私利私欲をむさぼっていた。
ロクな武器もない民衆は反抗してもグルトニアまで加担するムアンバ軍に為す術もない。
そこへブラックゴーストが兵器「ブラックモンスター」を提供。
それは兵器商人であるブラックゴーストが
この国を内乱に導こうとする罠だった・・。

今回の設定とサイボーグ008の能力との兼ね合いからか、
あまり活躍しませんでした。008。
後編に続くようですから、そちらの展開に期待というところ。

お話としては、「途上国における圧政とそれに対抗する民衆」「先進国の利害」
などよくある設定ではありますが、
子供も見ているアニメにしてはそこら辺の事情の説明が不親切でした。
位置を具体的に示せないあたりは仕方がないにしても
「南北問題」「東西問題」あたりから、
もう少し詳しく説明するべきだったと思います。

生身の人間が相手なので、
その気になれば簡単に脱出できるというところを敢えて捕まっているところは
これまでの強力な敵と相手にするのと違う面白さがありました。
その時小声(或いはテレパシー)で会話するときの「エコー」をかける演出も良かったです。

今回は002の軽率な行動がストーリーを引っ張ってました。
展開的には面白いですが、戦士としてはどうなんでしょうね(笑)

( 更新:2002年1月23日 文責:ごま )