アニメコラム「ナジカ電撃作戦」3
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アニメコラム集「ナジカ電撃作戦」2

各話

第4話 偽りの星は甘い罠の香りと共に
第5話 深紅に染まる水平線ははかなき夢とともに
第6話 美しき野獣の瞳は孤独の影と共に
第7話 殺意の弾丸は乾いた微笑みと共に
第 8話 欲望の空は戦い渦巻く炎と共に
第 9話 勇壮なる砂漠の獅子は運命の女神ともに
第10話 闘いの終着駅は危険な愛と共に
第11話 惜別のミッションは少女の目覚めのなかに
第12話 華麗なるエージェントは邂逅の薔薇を心に

第8話「欲望の空は戦い渦巻く炎と共に」

放映日2001年11月30日

闇兵器ブローカーがヒューマリットを使って
国際兵器見本市会場から戦闘機を強奪する、
という情報を得たナジカ。
しかし、ヒューマリットの情報は一切ない。
とりあえずキャンペーンギャルに扮して敵の動きを待ちかまえる
ナジカとリラだが・・。

今回のみどころは戦闘機によるドッグファイト。
空戦技を駆使した本格的なドッグファイトではなかったですが、
先に敵の母船に降下したリラの白兵戦闘がきっかけで、
決着がつくという展開は「ナジカ」らしくて
よかったのではないかと思います。

ドッグファイトだけではなく、
銃撃戦や肉弾戦も今回は盛りだくさんで、
それぞれの枚数的にはまだ不満もありますが、
久々に濃い内容のお話だったと感じました。

ナジカがリラに「考えて」としきりに促してるのは
リラを人間同様に教育しようとしている伏線なのでしょうか。
今後が気になるところです。

美人でナイスバディのナジカ(とリラ)というキャンペーンギャルの魅力によって、
最新鋭戦闘機「オボロ」に集まるはずだったプレスの注目が
ナジカの担当する旧式戦闘機に集まるという展開は
ちょっと強引だったような気も(笑)
あと、上にも書いた「考えて」の、航行中のときの台詞には
思わず「お前も考えろ」とツッコミを入れてしまいました(笑)

第9話「勇壮なる砂漠の獅子は運命の女神ともに」

放映日2001年12月7日

アテナ率いる反政府組織のナンバー2となっているヒューマリット・エリスを回収するため、
その反政府組織がいるギルダ王国に潜入したナジカとリラだが、
アテナに捕らえられてしまう。
実はアテナはギルダ王国で独裁をふるう女王の娘で、
真に国のことを憂いたため親である女王に反旗をひるがえしていたのだが・・

今回は、独裁者対反政府組織という舞台に飛び込むというお話。
その中で、成長するヒューマリットについて、
エリスとリラと対比させながらうまく描かれていました。
車中でのナジカとリラの「自分で考える」という会話が
後のシーンの伏線になっていたり、
リラが教わった「考えること」の意味やエリスが教わった「信念をもって戦えば勝てる」ことが、
後で「間違ってるのでは?」と抱く疑念を繰り返されるのが、
ヒューマリットを説明する描写としてよくできていたと思います。
リラを戦車で突入させる大袈裟なことをさせておいて
「リラ、自分で考えた」と言わせるのも「ヒューマリットらしさ」
がでていて良かったです。

ナジカとリラの活躍もあり反政府組織は壊滅。
一方、独裁をふるう女王側の政府側もクーデターにより終焉を迎えるという演出。
その伏線が、ナジカがまだ車中にいたシーン、
即ち女王の外出のところにはられていて
独裁政府対反政府という脇道のお話がコンパクトにまとまってました。

時間的な物足りなさがあるもののアクションもありましたし、
リラとエリスの方で「ヒューマリットについて」見せてくれたので、
今回は良かった方だと思います。

第10話「闘いの終着駅は危険な愛と共に」

放映日2001年12月14日

玖洛弦人に久方ぶりの電話をよこした弦人の古い知人(?)神和住は
愛し合ってしまったヒューマリット・セリナと逃避行中だった。
弦人からの間島経由で依頼を受けたナジカとリラは現地に急行。
神和住は人工生命工学の世界的権威・廉博士の下から脱走・逃走していて
ヒューマリットの生みの親で現在行方不明中の廉博士の動向のカギを握っているらしいが・・

舞台はシベリアを行く長距離特急列車でしょうか。
そこで繰り広げられるチャンバラというのは意表をつかれましたが、
ナジカ対セリナのバトルをはじめ見応えがありました。
ただバトンまわしのように扱うところは
「枚数を押さえつつ見せよう」ということなのでしょうが、
却って興を削いだように思います。
普通につばぜり合いでよかったのではないでしょうか。

マスターを愛するが故に、マスターに命令(ヒューマリット的にいうと)したり、
マスターの命令に背き「殺りく」と「その隠蔽」をしてしまう
ヒューマリット・セリナの姿が、
前回のエリス同様、リラと対照的に描かれています。
作品のクライマックスに向けてのひとつの伏線にもなっているのでしょう。

ナジカがセリスと1体1のバトルにこだわったところは、
ちょっとした謎でした。
単にナジカのポリシーだったのか、
単なる回収ではなく何らかの手心を加えるつもりがあったのか、
それとも愛人然と振る舞うヒューマリットとしての存在を許さなかったのか・・。

細かいところでは、
「殺りくをしないはず」のセリナに疑いを抱いたり、
愛人然とするセリナにヒューマリットとしての矛盾を感じるといった
ナジカの胸の内がその都度ワンカットでさらりと描かれていたのが印象的でした。

また、リラがリンゴを落とすのと追っ手が列車の屋根に着地する瞬間を
重ねるところも映画的な場面転換で面白かったです。

第11話「惜別のミッションは少女の目覚めのなかに」

放映日2001年12月21日

今回のミッションは、ヒューマリットの生みの親である廉博士の保護。
廉博士がいるという廃墟の都市の中の秘密施設へと潜入を図るナジカとリラ。
廉博士の本拠だけに量産型ヒューマリットが多数応戦するなか、
弦人ら組織の援護を得つつどうにか潜入する。
中で二手に分かれるナジカとリラ。
ナジカはヒューマリット「XXX(トリプルエックス)」と遭遇。
一方リラは施設の水槽で眠る少年を発見・・

前回の最後にあった、ナジカへの不信感を匂わせるリラの台詞と
今回のサブタイトルにある「惜別」の文字からリラの暴走を予感しつつ
ハラハラしながら見ていたのですが、
そのような展開はなく肩すかしを食らった感があります。

変わりというわけでもないですが「少女の目覚め」として
少年との出会いと行動の中、
リラに対するナジカのこれまでの言動を
少年に対するリラの行動でなぞることで
リラの人間的な目覚めとして描かれていました。

前後編なので細かいところは次回次第というところ。

今回は作品のクライマックスで、
ナジカの相手もヒューマリットの生みの親である廉博士。
重厚なBGMがこれまでとは違うミッションの苦難を表現していたと思います。

第12話「華麗なるエージェントは邂逅の薔薇を心に」

放映日2001年12月28日

遂に廉博士と対面したナジカ。
保護を申し出るナジカに対し、廉博士はこれを拒否。
ナジカから逃げるとともに量産型ヒューマリットで攻撃をしかけてきた。
傷を負いながらも任務を果たすため廉博士に突進するナジカ。
その時ナジカは廉博士だとばかり思っていた人物が、
実はヒューマリットだったという事実を知る。
その後窮地に陥るナジカの前に、
水槽にいた謎の少年とリラが現れた・・

直接的に状況を説明する描写に乏しいばかりか、
敢えてそれを省略するなどしてストーリーが進みました。
マスターを殺害し自分がマスターだと錯覚したエリス(第9話)や、
人間を愛し、ナジカに逃がしてもらったセリナ(第10話)、
これまでのナジカの行動などによって
ストーリーを理解させるということなのでしょう。
これまでのお話をきちんと踏まえつつ、
今回のストーリーを読みとるという行為そのものが、
面白いところなので解釈については敢えて書かないことにします。

それにしても色々謎は残りました。
ナジカとリラが銃口を向け合った直後がどうだったかは大体の想像しかつきませんし、
ヒューマリットの原理などは触れられずじまい。
最後、休暇中のナジカとリラがちらっと再会(これが邂逅?)するところも、
よく分からなかったです。
個人的にはもう少しこれらに時間を費やして欲しいと思いました。

( 更新:2001年12月30日 文責:ごま )
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