フォルテ |
ん〜と、この日はね〜。
「今日はクッキーを作ろうかなと思って、クッキーを作りました。
本に誰かのことを思いながら心を込めて作りましょう、
と書いてあったので、私は蘭花さんのことを考えることにしました」
あ〜、いいな〜。思われてて。 |
蘭花 |
(照れながら)へへ〜ん。な〜んなんですか。それで? |
フォルテ |
「クッキーの生地を蘭花さんと思ってこねていると、
蘭花さんをいじめてるみたいでかわいそうになってきました」 |
蘭花 |
なんか・・間違ってる気がするんですけど。 |
フォルテ |
「オーブンの中で焼かれてるクッキーを見ていると、
蘭花さんが『熱い熱い』と泣いているように見えました」 |
蘭花 |
それで、この絵か・・。 |
フォルテ |
「でも食べてみると美味しかったです。
『美味しい』といったら蘭花さんは『ありがとう』と言いました」
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蘭花 |
え、なんか途中から、あたし本当にいることになってるんですけど・・。
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フォルテ |
・・あ、他にも蘭花泣いてる日あるよ。
「今日は射撃の練習をしました。
ターゲットを見るとき、誰かの顔を思い浮かべるとよいと本に書いてあったので、
蘭花さんにしました」 |
蘭花 |
な〜んでよ!(怒) |
フォルテ |
・・あ、この日も泣いてる。
「今日はエンジェルキャノンの試射をしました。 |
蘭花 |
や〜めてよ。 |
フォルテ |
この日も泣いてる。
「今日は戦闘力を高める特訓をしました」 |
蘭花 |
なによ、それ。修行?
なんでいちいちあたしを思い浮かべていじめちゃ、泣かしてるわけ?
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ミルフィーユ |
どうしたんですか〜?
あ〜、なに見てるんですか。もう恥ずかしい。やめて下さいよう。 |
蘭花 |
あんたこそやめてよ。迷惑よ。 |
ミルフィーユ |
あ、ごめんなさい・・
あ、何がですか? 思わず謝っちゃいましたけど。 |
蘭花 |
あたしを思い浮かべて射撃の練習とかさ〜。 |
ミルフィーユ |
あ〜。あ、断った方が良かったですか? |
蘭花 |
断られてもやめてって言ってんの! |
ミルフィーユ |
わ・・かりました。今すぐやめます。 |
蘭花 |
今もなんかやってたな〜、あんた。 |
ミルフィーユ |
ええ。ケーキの上にクリーム塗るとき、
誰かの顔をお化粧する気持ちになるといいって、本に。 |
蘭花 |
今度はあたしにクリーム塗りたくってたんかい! |
ミルフィーユ |
でも蘭花さん。「とってもキレイよ」って褒めてくれたじゃないですか。
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蘭花 |
それはあたしじゃない! あんたの想像の中のあたしよ!
だいたい、なんでいつもあたしなのよ!? |
ミルフィーユ |
特に理由は・・なんとなくなんですけど。 |
フォルテ |
(冷やかし口調で)それだけ印象に残ってるってことじゃない? 光栄じゃん。 |
蘭花 |
だ〜からって好き勝手に使わないで! |
ミルフィーユ |
え〜。じゃあ蘭花さんだと思いながら紅茶入れるのも禁止ですか? |
蘭花 |
禁止! |
ミルフィーユ |
じゃあ、蘭花さんだと思いながらメレンゲかき混ぜるのも・・ |
蘭花 |
禁止禁止! |
ミルフィーユ |
蘭花さんの生んだ卵だと思いながら目玉焼きつくるのも・・
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蘭花 |
あ〜たしは卵なんか生まないわよ!
なんか意味合いも違ってきてるし。 |
ミルフィーユ |
蘭花さんだと思いながら割り箸使うのも? |
蘭花 |
えっ?! |
フォルテ |
これも蘭花だったんだ。 |
ミルフィーユ |
そうですよ。だからさっき蘭花さんに「捨てないで」って言ったんです。
蘭花さんだって洗えばまだまだ使えるし。
「そういう風に蘭花さんに言っとけば安心」っと思って、
私はキッチンに戻って、蘭花さんの顔にクリームを塗ろうと思ったら、
ちょ〜ど、そのとき蘭花さんがジリリ〜と鳴って、
スポンジが焼けたのを知らせてくれたから、
私は一番小さめの蘭花さんを、新鮮な蘭花さんに・・ |
蘭花 |
もう〜やめて〜!
本当のあたしはどこ〜! |
フォルテ |
ラーメンのびちゃった・・。 |
おわり |