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ごまの「アニメ批評日記」

過去ログ 2003年11月18日〜22日,12月3,4日

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2003.12.04

「円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲」第2話「機械皇女コーラス」

全話の評価 ★★★★ 公式のあらすじ

機械人間で余命幾ばくもないという皇女コーラスの希望を叶えるため、和人が恋人役を演じる、という話。

和人が恋人役を引き受けて以降の展開自体はありがちな人情喜劇でしたが、完成品は別物。
今回のポイントは最初にライネがコーラスの嘘を見破る一幕。
ここで(事実としては)嘘を見破られたコーラスはわざとらしく機械のふりを演じますが、
ライネが信用の置けない人物として作中では通っているため、和人達はライネの言にとりあいません。
しかしコーラスの言動描写は嘘であることを映像的に示していて、受け手は事実を知ることになります。
ところがライネの「フカシよフカシ」という台詞がサラッと出ていたり、信用が置けないライネのキャラクターから、
受け手に8割方嘘だと思わせつつも、何かあるかも知れないという含みを残すことで、
その後のベタな展開を退屈させずに楽しませることができていました。
前作から築き上げたライネのキャラクターを、作り手が効果的に使いこなしていたということも成功の要因だと思います。

脚本:月村了衛 絵コンテ・柳沢テツヤ 演出:小林浩輔 作画監督:中島美子

2003.12.03

「君が望む永遠」第2話

全話の評価 ★★★ 公式のあらすじ

つきあい出した後のある日、水月絡みでデートの待ちぼうけを食わせていた遥が事故にあう、という話。

展開が早いのは何らかの都合であるとしても、肝心なところの演出がいただけません。
「誕生日だから」と水月が孝之を引き止めてしまう一幕。
その行動自体が水月の性格に反したご都合主義ですし、
そこを募る孝之への想いであると好意的に解釈(本編では行動に至る心境の変化が説明不足)するとしても、
それ以前に水月の誕生日をスルーしているという状況がまずありえないことで、本編であれだけ友情を強調してきた4人の描写にしては不自然極まりないです。ハッキリ言って練り込み不足。

遥が事故にあったという事実が提示されるところも思慮が浅いです。
救急車→通行人の会話→待ち合わせ場所の人混み、というカット回しでは「日射病で倒れたのだろうか」くらいの予測がついてしまい、
せっかく意図した遥不在の事故現場というインパクトが半減してしまっていました。
事故の被害者は遥だと孝之が分かった瞬間に被せられるタイトルと主題歌、という演出もあざとく本末転倒。
この演出によって受け手は、より傍観者的に状況を眺めるという形になってしまい、
孝之の悔恨、水月の罪の意識というここで強調すべき感情が伝わりにくくなっていました。
これらどれを見ても意図した演出を漫然と描くだけで、演出の周辺が全く見渡せていない作り手の余裕のなさのようなものを感じました。

脚本:金巻兼一 絵コンテ:東海林真一 演出:山田弘和・松本佳久 作画監督:藤田まり子・高野杏

2003.11.22

「HAPPY☆LESSON ADVANCE」第5話「ソワソワ☆修学旅行」

全話の評価 ★★★

こよみ学園の修学旅行でチトセへの「愛の告白」を果たそうとする七転ふみつき、という話。
七転による告白の成否を全編に渡って描くラブコメ展開は話として一本筋が通っていましたし、
全体的なテンポもよく、元々本作が志向していた「ドタバタホームコメディ」に近いノリが出ていてました。
ここまでのシリーズ一番の出来だったと思います。

笑えるものからつまらないものまで様々あった笑いのネタ(ギャグ)ですが、
てんこ盛りに詰め込まれた内容をテンポよくまとめていて退屈させません。
七転がチトセをバンジージャンプに誘ったときの、気がつけばチトセがいない→BとC二人組に入れ替わってる→トリオでバンジージャンプ直前というカット回しが象徴的。
「トリオって言うな!」「九龍くんは女子×3」の七転の台詞をはじめ、
ツッコミ部分の台詞に関しての間の取り方も上手く決まっていました。
バンジージャンプの一幕での、九龍が七転の写真を撮ったリアクションやチトセに話しかけたときの七転の、
ムニュッとした顔や身体の形の変化など映像的な面白さも笑いを演出していました。

印象に残った演出としては旅館の布団部屋の一幕。
呼び出されたチトセを描いておいてから、扉が開くカットに切り替わると「九龍くん?」という台詞とともに七転が入ってくるというつなぎで、
受け手は瞬時に九龍が二人の仲を取り持とうと案じた一計であることが気づくようになっていて好印象でした。

全体的に七転の仕草が細かく描写されていて、彼女の恋心の緊張感に感情移入できる要因となっていたのも良かったです。
最後、車中で眠っているチトセを七転が膝枕するところのリアクションが同様に決まっていたのと、
生徒全員が居眠りしているところがリアルに描けていて、
それを見渡して「ま、いいか」という七転の台詞まで良い雰囲気のシーンに仕上がったと思います。

脚本:吉岡たかを 絵コンテ:西村純二 演出:江島泰男 作画監督:渡辺真由美・森川均・岩崎泰介

2003.11.19

「PAPUWA」第2話「猛毒注意!?ドクツルタケのコモロくん登場」

全話の評価 ★★★ 公式のあらすじ

ガンマ団ではコタロー奪還の為の刺客としてアラシヤマが出陣。パプワくん達はわがままなコタローのために食料を調達に行く、という話。

前作のシンタローと同じ立ち位置であるコタローですが、
キャラ設定がシンタローとは違うために、どうやら前作の笑いの構造とは微妙に違っているところが本作ならではの楽しみ方を作り上げているように思えます。
即ち、前作のシンタローは半ば理不尽にパプワくんにいじめられていましたが、
コタローは性格が悪いので、酷い目にあうのを傍観して笑えるという構図になっています。
容姿や声が可愛らしく(特に目の表情が)描けているのも、性格とのギャップが出ていて面白いです。

本編は「減給」「ラマーズ法」「エスカルゴ」など、相変わらずネタとしては良いものをもってきているのに演出面で消化し切れていない感じです。
イトウくんやコモロくんなど、演技がはまっているキャラは面白いので、演技がこなれてくるであろう今後にまだ期待はもてそうです。

脚本:井上敏樹 絵コンテ・演出:鈴木卓夫 作画監督:華房泰堂・住本悦子

2003.11.18

「エアマスター」第2話「吠えろ!崎山香織!!」

全話の評価 ★★★★☆ 公式のあらすじ

自称「未来のスーパーモデル」の崎山香織がふとしたことから摩季に挑む、という話。

今回の見どころは摩季と崎山が地下道でストリートファイトするところ。
スピードの強弱に加えて、今回はアップとロングの切り替えを意識的に使い、
動きが分かりやすさとスピード感の両立で迫力が伝わる映像になっていました。

単なるケレン味ではなく迫力を出すための構図

特に構図の取り方が絶妙。 崎山が回転しながら吹っ飛ぶカットでは、摩季と崎山の全身がフレームに収まっているなど、
単なるケレン味ではなく迫力を出すための目的がよく感じられます。
この時、崎山の頭が少々はみ出ているところも外に向かう動きの勢いがでていて良いです。
この一幕、枚数的には限られた絵の速い繰り返し動きを出していましたが、
直後摩季が立ち上がるところは枚数を使っていて一連のシーンが美しくまとまったように思えます。

摩季の引き立て役崎山が絶妙

ストーリーは、自己中心的で一風変わった性格の崎山が、
自称女王として「元体操女子の女王」だった摩季に対決を挑むことで、
女王対女王という構図を持ち出して摩季の過去を少し見せつつ摩季の引き立て役になるというもの。
引き立て役ということでの間の抜けた面白さを醸し出しつつ、対決に向かってそれなりに盛り上がるという演出。
独特のアクセントでしゃべる崎山の演技をベテラン声優が上手くこなしていたのも、この演出に大きく貢献していました。

摩季たちが打ち解けていく様子が自然に描写

細かいところでは、摩季が最初にストリートファイトするときの、
明るい繁華街→路地に入っていく→路地裏の暗さ、という雰囲気の切り替わり。
路地裏のファイトを終えて偶然滝川たちと鉢合わせしたときの会話での、滝川達に対する摩季の微妙な距離から、
食事シーンで打ち解けている様子が自然に描写できていたこと。
崎山に対する滝川と乾の「飯食わせ!」が受け手の予想していた以上に馬鹿っぽいリアクションで笑えたこと、などが印象的でした。

他、カメラマンが崎山にいちいち蹴り(張り)飛ばされるところを丁寧に描いていたところや、
美奈のバストの話題で盛り上がる野郎共の熱気の描写が面白かったです。

脚本:藤井文弥 絵コンテ・演出:伊藤尚往 作画監督:武田和久・袴田裕二

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更新:2003-11-13 作成:2003-11-13 文責:ごま