全話の評価★★★★☆
全話の評価★★★★☆
ビルから転落し入院中の銀次の病室に、仲間やライバルたちが見舞いに訪れる、という話。(→公式のあらすじ)
これといった捻りのない全編コテコテのギャグ話で、映像的にもチープさが見られましたが、
シリーズを見続けていた人へのサービスという感のある「お遊び」要素を満喫することができました。
シリーズ中において、それぞれのキャラクターを立たせていたことと、世界観をきっちり確立していたことが今回の話を成立させる要因といえます。
キャラクターが入れ替わり立ち替わりで登場して笑いのネタを披露しますが、
どれも元の性格との違和感を感じさせることなく10人全てのキャラを使い切ったことは、
最近他の作品で散見される「作り手の都合によって性格を変えられてしまうキャラ」
という状況を鑑みると、むしろ特筆すべき点と言えるかもしれません。
映像的なチープさは多数のキャラクターをきっちり描き込んだ故ということで良しとしたいです
(ちなみに第37話では敵キャラを確信犯的にチープに描いています)。
印象的なシーンとして挙げられるのは、
まず蛮VS士度の得意技対決の一幕。
士度は「百獣擬態」のうち通常使わない動物をもってくることで、
蛮への「邪眼返し」は受け手に考える暇を与えず押し切ることで、
シリアスな本編に影響しないように作ってあったのが上手い演出。
銀次と卑弥呼を冷やかすへヴンと夏実のやりとりも、
二人の性格を表現した上で馬鹿馬鹿しく見せていて面白いです。
サブタイトルから最後に赤屍蔵人が最後に登場すると、およその見当を受け手に与えておいて、
メスを使って剥いたウサギさん林檎のネタで、その期待と予想を上回っていたのも良かったです。
脚本:根元歳三 絵コンテ:松下ユキヒロ 演出:平向智子 作画監督:森本浩文
全話の評価★★★★
臨海学校で南の島にやってきていた大助と梨紅の仲が急接近し、遂に結ばれる、という話。(→公式のあらすじ)
第17話と前後編の作りですが、まるで「この話数で二人が結ばれなければならない」とでも言わんばかりの性急さを感じました。
第14話では梨沙に失恋したショックが、第15話では梨沙への気持ちの整理をつけようとしているところが丁寧に描かれていました。
とすれば次にくるべきは、梨紅に気持ちが向くという大助の心情の変化や、
お互いに好意をもっていながら告白には至らない微妙な関係の様子を
第14話・第15話のラストシーン同様に丁寧に描くということではなかったでしょうか。
本編は大助の心情の変化と結ばれるまでの流れを、前後編という一くくりにしたことが逆効果で、
見ようによっては大助が優柔不断、或いは単なる惚れっぽい人間という風に受け取れます。
肝心の内容そのものも、崖から転落した梨紅を大助が背負って昇ったり(超人です)、
雷に驚いて大助に抱きついてしまったり、転んで偶然抱き合ってるところを梨紅に見られたり、
更には告白したその夜にキスしてたりと(梨沙はともかくこの二人の性格ではありえない展開。もっと初々しいはず)、
三流ラブコメ的陳腐で嘘臭い展開の数々が残念でなりませんでした。
クライマックスの「私のことなんかほっといてよ」の梨紅の台詞の後の間の取り方や、流星をはじめとする夜空の描写など、演出・作画部分はロマンチックな盛り上がりを表現できていて良かったと思います。
脚本:荒川稔久 絵コンテ:西澤晋 演出:林有紀 作画監督:本橋秀之
全話の評価★★★★☆
蛮&銀次の不在中にやってきた依頼を引受けた夏実が笑師の協力を得て解決に向かう、という話。(→公式のあらすじ)
ボケ役の夏実とツッコミ役の笑師の組み合わせを生かしたコメディ展開で面白かったです。
映像では、夏実がエプロンを脱ぐところや夏実&笑師がコスプレチェンジするところ等、
ワイプを多用した映像演出が印象的。
話をテンポよく進ませる効果がでていましたし、
水着ギャル(死語)が蛮&銀次の前を横切るカットでは、少ない枚数なのに動きが表現されていて上手いと思いました。
一方、階段で窃盗団に迫られる夏実のズームアップでは、
最近あまりお目にかかれない昔ながらの手の込んだアナログチックな表現が楽しめます。
夏実による蛮のコスプレに説明的なツッコミを入れなかったり、ラストで蛮が煙草をふかすところなど、
絶妙な間の取り方でユーモアを表現しているところは本作の作り手ならではのセンス。
ワイプ:画面を片隅から斜めや上下左右にふきとるように消し、同時に次の画面を現してゆく画面転換方法。 (大辞林より)
脚本:根元歳三 絵コンテ:斉藤哲人 演出:即座誠 作画監督:井上哲
ボン婆さんの策略で「修行の塔」で鉢合わせしたゼロとシロボンがマイティについて語り合う、という話。(→公式のあらすじ)
3クール目以降では第31話「ミスティ大作戦」以来、4クール目における屈指の出来映えで、物語・構図の取り方・演出など正に「これぞ本作」といえる一本でした。
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脚本:吉田玲子 絵コンテ:小寺勝之 演出・上坪亮樹 作画監督:吉川美貴