綾女 | いやあ、はっはっはっはっ失敬失敬。
注文を受けていたウェディングドレスの裾上げをしていたのでね。 |
由希 | 男の寸法でいいの? |
綾女 | もちろん。欲しがっているのは男だからね。 |
由希 | 着るの? 男が。 |
綾女 | 人は誰しも、他人には言えない秘密の花園を、1つや2つや3つは所持しているものだよ。 |
由希 | つまり、何なのこの店? |
綾女 | 至極簡単なことさ。この店には、手芸品のみを買い求める客人が訪れるように、
オーダーメードの服を求める客人も訪れるということさ。
もちろんご注文を受けた服は店主である僕自らも作っているよ。
いかなるデザインであろうと僕の敵ではないからね。
これは完成見本品のほんの一例さ。 |
透 | きゃあ。初春さんが仰ってたいらしたのはこの事だったんですね。
すごい、すごいです綾女さん。 |
綾女 | そうとも。僕はすごいのさ。
どうだい由希。君もこんな僕に遠慮なく賞賛の声をかけてもいいのだよ。 |
由希 | ど、どうしてそういう服ばっかりなの? |
綾女 | 人気商品だからさ。
ナンバーワンはメイドだね。 |
由希 | 人気なの・・? |
綾女 | そうとも。由希にはまだまだ理解しがたいかもしれないが、
これら全ては 男のロマンなのさ。
メイドにナース。ウェイトレスにスッチー。
秘書・女医・教師にセーラーに婦人警官・弁護士・エレガ・デパガ
猫耳・うさ耳・豹耳、
全てを言い切ることはできないが、
男達はそれらに夢をはせてロマンを求める。
現実を見据えた上で夢をはせるのは罪ではなかろう。
女性のお風呂を覗きたいと渇望するのもひとつのロマンさ。 |
由希 | それは犯罪だ。 |