「.hack//SIGN 」ごまの「アニメ批評日記」fromアニメ討論室

ごまの「アニメ批評日記」

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第10話 〜 第19話 : 第19話 〜 第26話
更新:2002-09-28

09.28 第26話「Return 」

悪戦苦闘の末、司が遂にログアウトできた、という話。
舞台は荒野。前回のラストでどこかに飛ばされ、
離ればなれの司、昴、ミミルの三人という状態で最終回の幕があきます。
お互いを探している三人がそれぞれ出会うのはそれぞれの偽物で
いずれも冷たく突き放した態度で応対されるのは、
直前の「敵が自分たちのフィールドを作っている」というベアの台詞によって、
敵の仕掛けた罠であることがわかります。この展開はまあまあ面白いです。
ただ司が罠を見破ったことで三人が集合できたとき、
昴とミミルは偽物だと見破っていたのかどうか描かれてなかったのは説明不足。

その後、ベア達「大人組」はヘルバと連絡をとり、
「何が起こっても安全の保証はしない」というヘルバの警告を乗り越えて
ヘルバの作ったネットスラムへ移動しますが、「危険」という実感が今ひとつ。
好意的に考えれば司同様にログアウトできなくなるとかですが、一言あってもよかったと思います。
クライマックスでは、以前ベアが言ったように司のポジティブ思考への変貌との因果関係なのか、

アウラが覚醒して意味不明に司と微笑みあうシーンのあと、アウラとともに敵のフィールドを離脱。
この時、前回のクリムとの対戦で何か成長したのか、楚良が敵から寝返って司達の離脱を支援すると、
敵によって司同様の、おそらくログアウトできない目にあわされましたが、その後のフォローはなし。
前回までの言動ならまだしも、司の味方をした楚良にこの仕打ちは流石にひどいと思いました。

最後はヘルバによるフィールド放棄という力業で全員無事ログアウト出来た模様(推測)。
そのままエンディングに突入しますが、リアル司と昴が出会うという姿だけが描かれました。
自らの意志で関与したという理由付けが既になされている「大人組」はともかく、
「下北沢に行こう」とけなげな献身ぶりを見せたミミルすら出てこないのはいかがなものかと。
結局、「キーオブザトワイライト」や敵の正体、リアル「アウラの父」など、
多くの謎が謎のままに終わってしまいました。OVA同梱のゲームを買えということでしょうか。
一言でいうと、最後までよく分からなかった話でした。

09.23 第25話「Catastrophe 」

敵の驚異から一時的に逃れた一行が、禁断の聖域の聖堂へやってきた、という話。
禁断の聖域が何故重要な場所であることを一行が知ったのか、
16〜25話の話の流れを見る限りよく分からないのですが、
見逃した回に何か伏線なりあったのかもしれないので保留とします。
それにしても、いつもながら抽象的な台詞回しが実際の行動(オン・オフに関わらず)
をはるかに上回っているので、いくら台詞回しが面白くても、お話の内容がつかめずあまり気分が盛り上がりません。
ベアがオフの司の後見人を買って出る、といった「行動」をもっと見せて欲しかったと思います。
ガーディアンと一行の戦闘シーンは、珍しくネットゲームっぽくて面白かったです。
これももっとこれまでの随所に盛り込めれば良かったのですが。
ミエミエだった楚良がガキだという事実が作中で判明するところは、そのシーン選択として良いと思います。

09.16 第24話「Net Slum 」

ヘルバゲートを抜けた一行がイリーガルデータの集積場にやってきた、という話。
台詞回しを中心にしつつも、「アウラの覚醒が司のログアウトを達成」ではなくて、
「司のログアウトこそが、アウラの覚醒とキー・オブ・ザ・トワイライトを呼ぶ」
という認識の転換により、ストーリーが先へ進むという感がありましたし、
ガーディアンとの戦闘という映像的な見せ場もあった分、
個人的には前回よりも面白かったです。
今回、改めて感じたこと。「謎→謎解き」を繰り返す展開の場合、
次の謎は前の謎解きが終わる前に提示することで連続性をもたせるのが定石なのに、
本作では謎と謎のつなぎ合わせが上手くいってなくて、
ひとつの謎解きが終わる度にストーリーが停止してしまってるように思います。

09.09 第23話「The Eve 」

アウラを利用しようとしている謎の存在と対決するため、ヘルバに指定されたゲートまでやってきた一行、という話。
難解なカットや台詞による新事実を全体に散りばめて進行するという、前回までとは打って変わった展開。
ミミル(と昴?)以外の年輩者はみんな知ってる「アンヌーン」という小説があって、
作品年代とベアのリアクションから、どうやらベアが小説を書いていたらしいという事実。
ベアとBTがオフで会っていたという事実。それを指しての「てっきり・・」というBTの台詞。
BTが「くどかれた」と錯覚したということでしょうか。
そして肝心の司の方にも「万引き」をして保護者に体罰を受けているらしいカットが挿入されてます。
万引きした(らしい)品に女性下着が含まれていることや女性警官が応対していることなどから、
既に楚良などが語っている司が女性であるということがさりげなく提示されてます。
これらが本編とどうかかわってくるのか今ひとつ分からないので今のところは次回に注目としか。
正直いって、散りばめられたこれらの要素を通す「一本の筋」みたいなものが希薄で見ていて疲れました。
あと第19話に挿入された「車椅子姿の昴」のカットが示す事実も、今回の司に対するクリムの台詞で顔は立った形ですが、
これまでかけた長い時間から考えるとご都合主義な設定のように思います。

08.31 第22話「Phantom 」

ヘルバに詳しい話を聞けたベアによって、ミミル、昴の3人がハロルドと再会する、という話。
ゲーム制作者の実生活での悲しい経験が、ネットゲーム上に自分とその娘を存在させていること。
そして別の何かがなんらかの理由で娘(アウラ)を覚醒させようとしていること。
司はそのために利用されていること。などがベアの説明という形で明確になりましたが、
たったこれだけの真実にたどり着くまでずいぶんと話数を消費したものだ、というのが正直な印象。
「なぜ司が?」という疑問は、楚良たちとも別行動のBTとあわせて次回以降に持ち越しでしょうか。
前々回から続く司のうめき声と猫さんとの動きは深い意味がなさげにしてはしつこいきらいも。
台詞より音量を高くしてガンガン流れるBGMや、
ただでさえ内容の分かりにくいところにエコーがかかって聞き取りにくいハロルドの台詞など、
あい変わらず音響による演出のセンスに疑問符多数です。

08.26 第21話「Despaer 」

司の行方不明に動揺しつつも、一連の事件解明に一歩前進、という話。
追求の手を途中で放棄していた、逆さまのダンジョンにいた男。
その居場所を知る鍵となる人物ヘルバ。
と、今まで出た要素のなかでは、これしかないと分かりつつも、
ストーリーの前進に次回への期待を持たせています。
最終章における「承」といったところでしょうか。

08.21 第20話「Tempest 」

皆の心がバラバラになったとミミルが落ち込むなか、ベアが「探求」に決着をつけようと再び立ち上がる、という話。 台詞回しが少々くどい印象はあったものの、
「キー・オブ・ザ・トワイライト」発見をめざすベア陣営と楚良陣営の
(視聴者にとっての)対立という構図がハッキリしていて、先の展開を期待させます。
楚良に「使われ」スパイっぽく立ち回るBTや、虚勢を見透かされる銀漢、
ミミルとBTが会ったときの微妙な感情の描写など、その構造の中での味つけもしっかりできていたと思います。
クライマックスの司がいたぶられるシーンは、作り手の伝えたいことが不明で呆然しきり。
前半のBGMの音量が大きかったのも耳障りでした。台詞が聞き取れないのは論外。

作成:2002-08-21 文責:ごま
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