紅衣の騎士団を解散させ一人さまよう昴が過去を回想する、という話。
クリムと昴の出会いから、騎士団設立、クリムの脱退、と順を追ってたどることで、
ザ・ワールドのなかの騎士団の位置づけ、ネットゲームで遊ぶことの意義などが、
直接・間接で表現されていて世界観の奥行きが出せた佳作だったと思います。
本編における回想の意味合いは、騎士団解散前後のザ・ワールドの描写を補足するのと、
「自由」になった昴が司によりかかっていくという、心理の移り変わりを説明するためのものでしたが、
欲を言えば、「世界観の奥行き」を重視して今回のような回想も早い回にもってきて欲しかったところ。
回想シーンでは昴のコスチュームが見た目の判断材料になっているのですが、
冒頭では全身のカットが少なくて分かりにくかったのがマイナス点。
全身をなめるカットで回想だと強調すればよかったと思います。
司と出会ってから後の昴と「紅衣の騎士団」団員との確執、という話。
ミミルとベアとの面会を遮る騎士団員、銀漢の行動に「自由を束縛しないで」と昴が憤るのですが、
一方で騎士団の長として騎士団のシステムに甘んじておきながら自分だけは行動の自由を欲する、
という昴の言動の方が間違っているのであり、
それを昴の方が正しいような雰囲気で描くのはどうかと思います。
クライマックスで明かされる「個人情報開示の要請」というあからさまにやりすぎな銀漢の行動も唐突で、
そもそもプレイヤーキラーの多発が目にあまってきたのが、
この時期に重なるというのも出来過ぎな感があります。
昴の銀漢への非難から、昴の言動の矛盾を指摘で返す銀漢。
騎士団解散で応じる昴という流れは、それ自体はまあまあ楽しめました。
ただ「解散」と言わせたのは、やはり騎士団のシステムへの甘えという形であり失敗。
「脱退」にした方がシステムへの決別という意思が明確にできて良かったはず。
一度死亡して、また元通り現れた司をめぐるプレーヤーキャラの動き、という話。
今回のみどころはBT。
楚良に喝破される「自分の有利不利による態度の違い」や、
その態度が、ミミルには快く思われてないことと、司の印象は悪くなかったこと、
即ち人間の評価は「善し悪し」という単純なものでないという
人間のリアリティがよく出ていたと思います。
昴に対する厳しい台詞が、嫉妬からくる反感でありながら、
昴への指摘としては間違いではないという構図も面白いです。
ただBTがクリムとのオフにこだわるところは説得力に欠けました。
ネットのリアリティという意味ではよくできた今回の話でしたが、
この話も「どうして今さら」な感が強いです。もっと早い回にやるべきでは。
城塞都市崩壊後、これまでの状況を振り返りつつ今後の行動指針を決める、という話。
いわゆる総集編的な内容とも言えるのですが、
そうでありながらもストーリーを前に進めていて、作りとして評価したいところです。
冒頭のBTと楚良の戦闘は、相変わらずの惨敗ぶりを見せるBTの姿に個人的にガッカリですが、
キー・オブ・ザ・トワイライトをBTが持っているかどうかを
戦闘で確かめようとする楚良の台詞をはじめとするシーンの作りは面白かったです。
後半で気になったのは司を思って昴の行動原理。
司にもう一度出会いたいから、という昴の言う理由づけに説得力がないように思います。
これ以前に二人で心を通い合わせるほどの会話などがあれば良かったのですが。
あと、前半最後にあった「好意の騎士団」の存在意義について語るところも、
シリーズの最初の方で詳しい描写があれば世界観もつかみ易かったはずです。
録画失敗にて未視聴。
司一行、BT一行がそれぞれ謎を解く鍵があると思われる禁断の聖域に突入、という話。
司がよくいる場所にいる浮いてる女の子の父ハロルドのものらしき凝り固まった思念による台詞で、
女の子そのものがキー・オブ・ザ・トワイライトではないかという展開を思わせるように描いてます。
謎を解く重要な話でしたが、エコーや効果音が邪魔してハロルドの台詞が聞き取りにくく、
司が理解して、ベアとミミルが理解できないということの意味の説明にも乏しかったので、
今ひとつ盛り上がりに欠け、まあまあの出来という印象。
一足先にたどりついたBTの描写も淡々としていただけでした。
今回は盛り上がるはずの要素がいくつかあったはずなのに、
演出面がそれを効果的に処理してなかったようです。
楚良とクリムの戦闘はひとつのみどころになってました。
そのなかでの楚良の台詞は以前からそうですが、
ネットで背伸びする小中学生くらいの子という感じがよくでていました。
司との関連性を疑い、改めて注目したキー・オブ・ザ・トワイライトを探しはじめる、という話。
最初の設定から「それしかないだろう」というほどあからさまな展開にようやく突入。
ここに至るまで13話分「何やってんだか」と呆れ半分ではありますが、
BTとベアが対立(?)して二手に分かれるなど、楽しみな展開にはなってきました。
明かされはじめる「司という存在」の種明かしとそれに迫りつつあるベア、という話。
ようやくストーリーの核心部分を描いて話が前進。
でもそれによる喜びよりも落胆の方が大きいのは私だけでしょうか。
散々時間を費やした序中盤で描かれたのは「システムを超越した司の存在」と、
「システムを超越するキー・オブ・ザ・トワイライトの存在と、司との関連性」
を話題とする台詞回しでしかなかったことが改めて明白になり、
事実が明らかになればなるほど落胆する自分がいます。
ささやかな見どころでしたが、今回は前半のミミルと司の会話が良かったです。
思わぬ台詞から司のプライバシーが見え隠れするところが面白いです。
サブイベントで司、ミミル、ベアが同行するという話。
せっかくのイベントでもパズルイベントなので、ダンジョン内でも基本的に戦闘はなし。
企画段階からの方針なんでしょうけど、
ネットRPGなのに当然あるはずの戦闘がないというのは、どうしても違和感があります。
中盤までの台詞回しに使う時間から少しずつでも回した方が
それなりに緊張感も出てよかったのでは、と思うのですが。
本編はキャラの行動の中で、司を中心に据えてのやりとりがあり、
そのなかでネット上らしさも出せていたので退屈せずに楽しめました。
ベアの言動にあった「80年代のダンジョンRPGネタ」は、
ネタが分からない人にはどういう印象をもたれるのでしょうか。
プライベート話や司へのおせっかいなど、ベアの描写がシリーズ全体から見て新鮮な話。
作中、ミミルが「ベアらしくない」と言ってますが、
自分が見てきた限りはキャラクターの行動として整合性を欠いてるとは思いませんでした。
この辺りだけでもスタッフのルーチンワークを感じます
(要するに「そういう台詞を言わせたい。思わせたい」というスタッフの思考として露見している)。
ベアのプライベートのおかげでネットのリアリティ(=世界観の描写)は出せているのですが、
以前評価した第7話からの流れやシリーズ全体から見ると、時既に遅しという感じ。
司周辺という「ザ・ワールド」の一部だけを台詞まわしで延々続けておいて、
今さらという感じで世界観をちょこちょこっと説明されても、
作品世界に入っていけないと思うのですが・・。
「こういう世界があって、その中でこういう事が起きている」
と筋道たててやればいいだけのことなんですけどねぇ。
話は変わりますけど、ベアとBTが「実は別居中の夫婦?」
というのは穿ちすぎでしょうか。膝枕してたし。