「ちょびっツ」ごまの「アニメ批評日記」fromアニメ討論室

ごまの「アニメ批評日記」

「ちょびっツ」

第10話 〜 第17話 : 第18話 〜 第27話

08.06 第17話「ちぃ まかなう」

E判定をもらった秀樹が全国模試を受けることにしたが、財布を落として食費がなくなってしまい、という話。
秀樹のピンチに、第10話と同様に自身のバイト代を差しだそうとするちぃ。
この状況下にあっても、それを第10話同様にやんわり断り、他の対策を模索する秀樹。
秀樹が一方ではちぃを一人格者として扱ってること、
他方では恋愛・肉親感情は排した同居人として扱ってることが同時に表されています。
ちぃの料理に至って、断ることが必ずしも誠意ではないと、
自分の独り相撲に秀樹が気づきみんなに笑顔が戻るといういいお話に仕上がったと思います。
ところで展開上、すももが秀樹の部屋に居候することになったのですが、
個人的に注目していたキャラクターなので出番が増えてうれしいです。

07.26 第16話「ちぃ 何もしない」

新保と清水先生がかけおちした、という話。
一言でいうと「安っぽいヒューマンドラマ来る」。
不倫して駆け落ちという展開自体は別にいいのですが、
その原因である「パソコンに夢中でかまってもらえない」ということと、
それに潜む「パソコンを愛したので、自分を愛してない」ということとは、
全くベクトルの異なる話で、これを無条件に同一視するのは現実的に考えて変です。
このシリーズにおけるこれまでの話を見る限りは、
「便利なパソコンが人型である」というのが現実的な視点であり
(ちぃに対する秀樹の態度からしてそう)、今回の話を描くには、
パソコンを偏愛してしまうということの説得力をもたせる描写に乏しすぎです。
唯一それっぽいのは国分寺ですが、むしろイレギュラー的な描き方なので説得力にはなりません。
前回の新保が不在だったときの、その理由が今回納得いく形で明かされていたのは、
「伏線の見本」ともいうべき構成としての上手さだったと思います。

07.22 第15話「ちぃ もてなす」

予備校の清水先生が何か訳ありな様子で秀樹の部屋に転がり込んでくる、という話。
一本の話としては良くできていたと思います。
英語のノートを貸し借りする秀樹と新保の会話や、
清水先生が秀樹に「いい人ね。聞いてた通り」という台詞が、
新保と清水先生の関係を匂わせる伏線としてラストシーンに上手くつなげてましたし、
転がり込んできた清水先生との一夜は、
いつものアダルトコメディらしさも出ていました。
ですが、今回の展開の本作における位置づけというものの描写が希薄で、
「だからなんなの?」という思いの方が先にきてしまいました。
次回に続くようなので結論はそれを見てからですが。

07.15 第14話「ちぃ 海いく」

秀樹やちぃ、新保、国分寺、清水先生、裕美、日比谷さんら勢揃いで海にいく、という話。
クライマックス、ちぃを救おうと海に飛び込んだ秀樹が溺れて救われた直後のシーン
「何故か通常以上の防水が効いているちぃだったから、溺れた秀樹は助けられた」
と日比谷にもっともらしいことを言わせていますが、
そもそも常識はずれの行動をとったちぃが原因です。
思わずとはいえ、泳げないのに海に飛び込む秀樹の軽率さ、
それを制止できなかった周りの人間の非常識さを前提とした、
無茶な行動による愛情表現での感動演出というのはどうかと思います。
そこに至るまでのバカンスシーンは楽しさがよくでていました。
清水先生の「個人授業」は秀樹の間抜けな勘違いぶりが楽しめましたが、
このネタは結果が予想できてしかるべきなところなのに、いつもより控えめな扱いです。
ここはもっと秀樹の妄想ぶりを煽っても良かったのではないでしょうか。
それが許されるところなのに何とも勿体なかったです。

07.06 第13話「ちぃ 遊ぶ」

秀樹とちぃが新保、すももと一緒にネットゲームで遊ぶ、という話。
DVDショップでは、アダルトDVDコーナーでの秀樹の醜態を笑いにしていましたが、
「男の欲望」というものを正面から捉えてするのならまだしも、
予告であれだけ煽っていたこのネタを、本編のメインであるネットゲーム話の枕として、
つまりどうでもいい話で下ネタを使って半ば時間稼ぎのように描くというのは、
下ネタはなんでも受けると勘違いする酔っぱらい親父と同レベルで、作り手のせこさを感じます。
元々、本作にはこういうレベルの低さを内包しているので気を使って欲しいです。
さて、メインであるネットゲームのシーンでは、
秀樹のちぃに対するいつも以上の過保護な心配ぶりが
「いくらなんでもそれはないでしょう」と癇にさわった他は、
巨大すももというアイデアや秀樹たちの描写が、
進化した近未来でのネットRPGという雰囲気を上手くでっちあげていて面白かったです。
ネットの処理能力の超越を描いた今回の話は、
ちぃの特異性を強調するためのシリーズの本筋における伏線ともなってますが、
ヒューマンドラマの出来はアテにしてないので「どうぞご勝手に」という感じ。

06.28 第12話「ちぃ 確かめる」

アパートを舞台とした怪談話を聞かされた秀樹が、自分のアパートとの符合の一致に恐れる、という話。
夏になったらどこかが必ずやる怪談話なのですが、
別作品で掲げた「初夢」「日記」とならんで三大「根本的に面白くなりようがない話」といっていいでしょう
(これからも、どこかで増えていくと思うので暫定)。
「実はこういう真相だった」か「本当に幽霊がいた」、どちらかの筋に必ずなりますが、
いずれにせよ「これは!」と絶賛する話に出会った試しがありません。
今回の話は前者。オチがミエミエすぎて恐怖感など絶対湧きません。
中盤の現実と夢を交錯させる演出も、
裕美とのデートに変わるところと、予備校で目が醒めるところは良かったですが、
その間のカットの切り替えは、捻った感じの割にたいした効果が感じられませんでした。
デートから清水先生という展開に無理があるように思います。
ボート上での秀樹の想像という形でシーンをつなぐ必要はなかったのでは?
むしろロングショットからつないだ方が良かったと思います。
秀樹の間抜けな反応や、新保のやけに冷たいツッコミなど、
コミカルな部分で工夫の跡が見られたのがすくいでしょうか。

06.24 第11話「ちぃ 出会う」

秀樹が、裕美に誘われて初デート、という話。
絵本のシーンや、ちぃと黒ちぃのやりとりは、物語の核心部分の伏線なのでしょうが、正直つまらないです。
どのみち「エンジェリックレイヤー」のごとく(当サイトで既報済みにて省略)、
薄っぺらいヒューマンドラマ(今回の「いい人」乱発もそれを露呈している)を描くのでしょう。
だが私は騙されない。
さて、初デートのはずの秀樹が「恋人以前の状態におけるデート」をクールに捉えているのが不思議。
「裕美ちゃん、俺のこと好きなのかも。ドキドキ」というような方向に思いがいくはずですが。
本編は、映画見て、弁当食べて、公園でボート・・と型どおりのデートが進みます。
そのデート中に、知ってる人とはいえわざわざ大声で呼びつけるあたりから
見るからにデート失敗の展開で、裕美ちゃんが何もいわずに帰ったのは
稔の言うとおり「いい人」で終わったのなら面白いのですが、さてさて。

06.17 第10話「ちぃ 買う」

人型パソコンであるちぃをお風呂に入れなければならないという話。
ちぃは風呂の入り方が理解できてないので教えなければならず、
まずは自分で教えようと試みる→新保に相談→ソフト購入?
→フリーソフト探索→結局自分で教える・・と展開。
予想された展開でしたが、秀樹のリアクションの数々、
特に今回はパソコン音痴の部分でのそれが面白かったです。
コラージュのことを指す「写真をこう・・いい感じで」
という秀樹の台詞は、リアリティもあり上手く考えられてたと思います。
クライマックスで、大家さんに助けられるのはご都合主義な感。
大家が風呂持ってないというのはリアリティに欠けるのでは。
「古い家屋を維持しているために風呂はない」とか
「故障中」などの「説明」をどこかで入れるべきでした。

( 文責:ごま )
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