夏休みの宿題名目でちかが遊びにやって来た、という話。
宿題を教えてもらったりゲームで遊んだりで続く、ちかと各キャラのやりとりが新鮮で楽しいです。
第17話にもあった「裸を見られた以上結婚するしか・・」とちかが思いこむのは前時代的ですが、
子供っぽい考えゆえ、と納得できないこともないのでそれほど嫌味はありません。
もっとも子供っぽい精神年齢というには中学三年は成長しすぎではありますが。
作画では、ロングショットでは適度に手を抜いて、バストアップ〜アップでの力の込め具合が絶妙でした。
鉄棒のところもちゃんと動いてましたし。あと、本作は料理が実に美味しそうに描写されてます。
ラストで葵が「家族ですから」とクサイ台詞を吐いたり、
ちかが薫に膝枕させてもらったりするあたりはいかにもあざとい演出でげんなりですが、
そこに至るまでで十分楽しませてもらいました。
動物園に行ったティナと薫が大雨によりホテルで一夜を明かすことになる、という話。
動物園で見つけた迷子を事務所まで連れていき、
その家族に駅まで送ってもらったら運悪く列車が運休、というのは自然な展開。
動物園のアトラクションで「恋人の扉」を開いてくれたと勘違いした時には薫を殴っているが、
ホテルで「自分が不在の一年が寂しかった」という言葉を勘違いした時は殴らない。
この行動の違いで薫に対するティナの意識の盛り上がりを表現しているのは面白かったです。
妙子の実家の海の家でのバカンス。妙子が薫のことを意識しはじめ、やがて告白に、という話。
今回は、何といっても前半の混浴状態に陥った薫が脱出を計るコメディ展開。
妙子の稚拙な嘘→薫が転倒し湯船へ→バレそう→ちか救出→ちか裸見られて暴れる→薫脱出
というチャンスとピンチがめまぐるしく変わるところが面白いです。
各キャラクターの露出度も満点で男どもも大満足でしょう。
後半の、八方美人男と妙子のデートはどうでもいい感じ。
告白したらフラれてしまう行き詰まりを花火で上手く逃げました。
花火自体はそこかしこで見る演出なので、これといった感慨はもう感じませんが。
最後にちかが薫にキスするのは「裸見られてラブ」ってことでしょうか。
とすれば、ここまで前時代的価値観を徹底できるのはある意味驚嘆に値します。
妙子の祖母の招待をうけ、新しい水着と共に一行が海に泳ぎに行く、という話。
自分も一緒に泳ぎたいのに、恥ずかしさから水着姿をためらってしまう葵の描写は、
「作品」としてはそのいじらしい姿に共感するべきなんでしょうけど、
実際いたらうっとおしいだけと、どうしても現実から離れることができません。
「少しの間だけ、葵を見ていてくださいますか」と言って浴衣を脱ぐシーンは大爆笑。
てっきり何かのギャグだと思ってしまいました。だとすればいいセンスなのですが。
ティナと繭の掛けあいは作品の見どころとしてこなれてきました。注目してます。
最初の海のシーンで、ちかの日焼けを印象づけておいて、ティナと繭に引っ張られて海に入る薫の姿、
と念の入ったやり方で、薫の背中の傷から注意を反らせていたのは絶妙な演出でした。
祖母の形見の着物を着た葵が薫と買い物。初めての出会いを振り返り、薫がかつて住んでいたアパートへ、という話。
電車の窓に映り込む景色のスクロールや、ドラマを思わせるような絵コンテと、
いつもながらの作画の美しさと合わせて、映像面で見せてくれました。
ストーリーの方は、薫に「好き」と言われて「うれしい」と返すのは許せるも、
普通ならモノローグにする次の言葉を台詞で言わせたり、ブリっ子させたりと恥ずかしさ満点の展開。
設定がらみのストーリーには元々見るべきところはありませんが、もう少し何とかならないものでしょうか。
薫の弁当を葵が作っていると知った繭が、料理未経験ながら自分も挑戦する、という話。
話の作り方がお粗末で見ていて滑稽。故に作り手の本意とは別の意味で楽しめた話でした。
おそらくは傍若無人にふるまう繭といじらしく耐える薫を対比させて、
葵、あるいは葵と薫のカップルへの感情移入を盛り上げようという意図なのでしょうが。
まず恋のライバルである葵に料理を学びにくるという恥知らずな行動は、
「賄い」と勘違いする繭の発言によってかき消されます。
家事を手伝うのは「薫のためだけ」とおためごかしを言わせたところで、
少なくとも妙子よりは使える仕事ぶりではその説得力に欠ける上に、
ティナとの掛け合いで毒が薄まるにとどまるどころかコミカルに仕上がってしまいました。
その一方で葵はというと、フィアンセと常々宣言しておきながら、
繭が来た際、薫に気持ちを伝えることもせず、
繭の独走ぶりとは反比例するかのように独り落ち込んでいく姿。
恋人としての信頼関係が築けているのなら話は変わりますが、本編での葵は単なる根暗少女の域を出ていません。
別に繭の肩をもつつもりは毛頭ないのですが、本編を見る限りは繭の方が薫より健康的で魅力的に映ってしまいます。
こういう見方をしてしまう私と、今回の作り方をした作り手。果たしてどちらがまともな思考の持ち主でしょうか。
こういう葵にコロリと「騙されて」しまう男どもばかりなら、女の子は楽で仕方がないでしょうね。
繭の家で一泊するなかで「薫と繭の出会い」という過去が描かれる、という話。
一泊した翌日、真相が明らかにならない一日のなかで、
さんざん葵の落ち込みぶりを描いておきながら、
ようやくおとずれた薫との会話で「誰よりも一番分かってます。信じてます」
と言わせるのでは一体何が描きたかったのか理解に苦しみます。
あと、薫と繭の過去の中で、
「父母に忙しくて構ってもらえなくても、いないことよりはマシ」
みたいな価値観を持ち出して感動演出するのはいい加減やめて欲しいです。
この2つは本来、同じ線上で語るべきことではないはずです。
イギリス留学から飛び級で大学にやってきた友達(?)美幸繭が薫に迫る、という話。
「挨拶で唇にキスするのがイギリス流」と本当っぽく描いたり(いい大人は信じないにしても)、
「アメリカ人だから下品でがさつ」とステロタイプな偏見を堂々と描く
というのはアニメといえどメディアの表現としてはどうかと思いました。
社長令嬢ゆえの寂しさということを繭の人格における免罪符にするつもりなのでしょうけど、
今回の話を見る限り、共感や同情するところが全く見受けられなかった(おそらく次回まわし)のも
作り手の工夫不足だと思います。
あと、一晩帰ってこないくらいで葵が過剰に気にかけるところも、
一途というよりも病的な印象で作りとして失敗ではないでしょうか。
今回、唯一面白かったのはティナ。
薫への思いを見え隠れさせて繭に対抗する言動が良かったです。
都合による偶然が重なり、薫とティナが二人きりで一晩を過ごすことになった、という話。
ありがちなウハウハ話。薫の妄想を交えつつ、二人きりの食事、入浴中の停電で抱きつかれ、
一緒に布団で寝るというベタベタな展開。そんな女の人って・・・いるといいですね。
翌朝、「寝起きから明太子スパって」というくらいなら「自分で作れ」というツッコミは入れておきたい。
その後、神社でデート。人混みのなかガラガラを鳴らしにいくところで、
ティナが薫のやさしさに触れるというシーンが、一応みどころ?
最後に。ティナが焼酎を一升瓶5本・・。
本作に限らず、こういう荒唐無稽なキャラクターの強調はいい加減やめませんか。
ティナがペットとしてフェレットを買ってきた、という話。
大筋には特筆すべきところはなかったですが、
扉の上の隙間(鴨居?)から雅の部屋に入ろうとする動きを見せたフェレットが
廊下の大時計と壁の隙間に挟まるという展開は意表をつかれました。
フェレットの動きがしっかり作ってあるのには、作画がハイレベルな本作にして、改めて好印象。
いまフェレットというと某作品を思い出しますが、その某作よりも動きは良かったのでは。