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ごまの「アニメ批評日記」

『エアマスター』

2004.02.01第7話「二度と言わせるな!」

全話の評価 ★★★★★ 公式のあらすじ

決闘状で申し合わせていた坂本ジュリエッタとの対決、という話。
第5話から続く「坂本ジュリエッタ」シリーズのクライマックスとなる一本。
一押しは坂本ジュリエッタのキャラクター作りが秀逸だったこと、でしょうか。
妙に文学調な台詞の数々を普通より外したイントネーションで演じた声優の演技と、回想シーンでの無声映画風の映像演出などで、
全編摩季へのプロポーズで、不気味さが際立つジュリエッタのキャラ描写をアニメ的に達成していました。
他に見どころとしては、
まず摩季へのキックをもらって横転するジュリエッタの映像のあとに父による解説がつくところ。
止め絵ではなく、横転する描写をきっちり描いたことで、直後の解説が説明的でなく説得力がでています。
摩季が蹴りを決めた直後のフォロースルー的※な瞬間の構図が決まっていたのも本作の良さといえるところ。
細かいところでは「つまり俺が勝った場合、摩季は俺と暮らすんだ」のジュリエッタの台詞に、
脇の線路を電車の通過を摩季の心象描写としていたのが面白かったです。

しかし肝心のストリートファイトの描写が今ひとつで全体的な印象を下げていました。
上記の通り一部の構図は良かったもののアクションの流れとしては、
蹴りのアクション→ジュリエッタのアップ→蹴りが決まった瞬間のアップ
と判で押したように部分的なカットが細切れに続く映像でしかなく、
アップの多用とあわせて、単調だったこととアクションに流れのなさを感じさせてしまったことが要因だと思います。

※スポーツなどで、動作後に腕が自然に振り抜かれること。

脚本:横手美智子 絵コンテ・演出:伊藤尚往 作画監督:岡本正弘・飯島秀一

2004.02.10 第9話「進め!黒正義誠意連合」

全話の評価 ★★★★☆ 公式のあらすじ

修学旅行で北海道からやってきた「黒正義誠意連合」の一団が美奈をさらっていく、という話。
連合の連中の動きで見せようという気はさらさらないようで、彼らに関しては展開を追うためだけの映像という印象。
摩季VS崎山と麗一の自転車アクションとでアクションが分散していたのもあって、全体的な印象はパッとしませんでした。

そんななかにあって、崎山の収拾のつけ方は上出来。
摩季との圧倒的な力の差を最初から提示した上で、こりずに何度も挑戦させてきた崎山が、
自らの幕引きを納得するための演出に誰もが注目していたところ。
本編は摩季の本気を引き出せる実力に達したことで、圧倒的な摩季との実力差を崎山が初めて体感するというもので、崎山も受け手も納得いくものでしたし、
そのための映像表現としても、キレている摩季の表情、いつになく怯える蓮華たちという要素を使って上手くできていたと思います。
崎山が掌打を叩き込む直前、摩季の最初のキックを交わすところは構図が決まったいつもの良さが出ていました。

脚本:広平虫 絵コンテ・演出:今村隆寛 作画監督:世田二郎・武口憲二

更新:2004-02-19 作成:2003-11-10 文責:ごま(goma)
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