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ごまの「アニメ批評日記」

『THEビッグオー 〜secound season〜』

テレビ東京系で2003年1月6日(月)深夜1時25分より放送のテレビアニメです。

更新:2003-03-22
第15話 〜 第20話 : 第22話 〜 第27話

2003.03.14 第20話「Stripes 」

悪夢に悩むロジャーが、失われたメモリーについて知っているというゴードン氏に会いに行く、という話。
就寝中の悪夢、日中度々蘇るその記憶として何度もフラッシュバックされる映像が印象的。
バーコード、同じ姿で無表情の少年たち(と奇妙な部屋)、メガデウスに焼き尽くされる街、トマト、
といったそれらのカットとゴードンの言葉が、「クローン」「大量生産」「人工的」などを暗喩していて、
ロジャーがメガデウス操縦の為に人工的に(生まれ?)育てられた、というひとつの推測に至ります。
説明的な台詞なしの、間接的な語句と映像で
本編の構成としては、
メモリーについて訪ねに行ったら、「ロジャーが何故メガデウスを操縦できるのか?」
という今まで解かれなかった別の謎の答が返ってきたという面白い演出になっています。
もっとも、今回に至ってみればローズウォーターの「君だけが操縦できるわけじゃない」
をはじめとする一連の台詞も意味があったと分かるわけで(同じ台詞で印象が変わる)、
深い作り込みに驚かされます。

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2003.03.07 第19話「Eyewitness 」

アンドロイドを狙った狙撃事件が多発する、という話。
アンドロイド襲撃犯を捜査する巨大ロボットが出なさそうな展開は、てっきり一話限りかと思いきや、
アンドロイドのメモリーがクローズアップされたり、エンジェルの出自が関係してくるかの展開を見せたり、
とシリーズ本編に重要な位置づけとなる話のようでした。
謎解きの方は「オイル」がキーワードになっていたり、「君は芸術品だね」という台詞も伏線だったり、
と、勘のいい人には分かるが見逃しても楽しめるという上手い作りだったと思います。
ロジャーの動きが少ない分ノーマンが今回も大活躍で、映像的な見せ場も十分。
一方メモリーの謎については新たな発見はほとんどなしでしたが、
それでいてこれだけ楽しませることができるのは凄いと思いました。

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03.03 第18話「The Greatest Villain 」

牢獄を脱獄したベックがヨシフラ・ヤカモト工業を利用してロジャーを誘拐する、という話。
前シリーズに度々登場してロジャーとビッグオーに痛い目にあわされたベックの登場でしたが、
ギャグ・コメディ調を織り交ぜつつ進む、シリーズ本編とはほとんど関係のない番外編的話でした。
ギャグ・コメディ調といってもデフォルメは一切なく、あくまで本作の基調を損なうことなく、
キャラクターの行動や趣味の悪さなどで笑いを指向していたのは見事だったと思います。
効果音も大きく外すことなくギャグ・コメディを演出していましたが、
ロジャーがずっこけるシーンなど一部では暴走ぎみだったのは微妙なところ。
ベックのロボの合体シーンでは一話こっきりなのに、やたら気合いが入っていて流石サンライズと思わせます。
今回一番のみどころは、ドロシーのネゴシエーターぶりでしょう。
ロジャーの眼前に現れたところで、ロジャーのツッコミが入りますが、
そこに至るまでの行動がロジャーのパロディーになっていて笑えます。

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02.26 第17話「Leviathan 」

パラダイムシティーにばらまかれた怪文書に、死んだはずのシュヴァルツバルトの署名が、という話。
終わってみれば、ローズウォーターが自らの所有するメガデウスを自慢したかったので、それを実行したという展開だったのですが、
この身も蓋もない展開を、ロジャー側からの謎解きとすることで見事に昇華させていました。
もっともらしい演説をぶるシュヴァルツバルトの姿は、
現実でもなければ誰の想像でもない、作り手によるイメージ(騙し)に過ぎなかったわけですが、
ロジャーとローズウォーターの対立の中に置かれることで、終わってみても嫌らしさを感じさせませんでした。

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02.04 第16話「Day of the Advent 」

パラダイムシティーに空から何かが接近し、
人々が天使と噂するそれとの交渉を頼まれる、という話。

依頼による必然で、空から降りてくる「天使」の調べるうち、
シティーへの衛星の残骸(?)落下をくい止める、
という展開だったのですが、
受け手には最初に真相らしきものを提示しておいてロジャーがその真相に迫っていく、
という過程が第三者的に楽しめるようになっています。
CD-ROMによってアレックス・ローズウォーター示す「未来のメモリー」をロジャーが否定するところも、
受け手にはロジャーの方が誤っているという印象を与えることで
同様の効果をもたらしています。
今回の話自体でみれば演出の一手法に過ぎませんが、
この演出が今後どういう意味をもたらしてくるのかという期待が膨らみます。

残骸落下に対峙するメガデウス(ロジャー)というクライマックスシーンは、
傍観する野次馬に対して避難を誘導するダストンで緊迫感を演出した上で、
ビームで減速、パンチで破壊という流れが迫力を感じさせました。

ジム・マゴーワンや少女タミといった存在は、
ロジャーを依頼として動かす為、という本筋に対する後づけの物語だと思われますが、
病弱のため日中は表に出られないタミが、
飛び散る残骸の破片による光で夜の街に昼の明かりを、
保護者であるジムがそんなタミの姿に「一夜限りの天使」をそれぞれ見る、
という形で美しく締めくくったように感じました。
ただジムが宗教家の振る舞いの描き方が中途半端で、
彼のキャラクターが今ひとつ理解し辛かったのは残念なところでした。

あと海の工場内で倒したはずのメガデウスを発見したところでは、
「私は止めた・・(エンジェル)」「君は遠くの国から・・(ロジャー)」
という意味ありげな台詞があり、
エンジェルの方からも目を離せなくなってきました。

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01.22 第15話「Negotiation with the Dead 」

40年前を知る元老院議員の記憶を写された若者への、連続殺人事件の犯人捜査を依頼される、という話。
直接の依頼主である夫人が「殺された」と言っているのに、
屋敷では何故か存在するロスコー議員という矛盾が、一種の謎解きになっていて楽しめました。
ドロシーの「同じ私でも理解できない」というキーワードの出し方も上手かったと思います。
アンドロイド(疑似人間)を愛するという描写には必ず嘘臭さがでるものですが、
これも真相を後回しにすることで押さえられていました。
夫人とロスコー議員の関係性はドロシーに対比できる要素であり、
作品全体に深みを与える一話になっていたと思います。

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第15話 〜 第20話 : 第22話 〜 第27話
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更新:上記参照 作成:2003-01-27 文責:ごま(goma)
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