アニメ討論室トップ > アニメ批評日記トップ

ごまの「アニメ批評日記」

『キディ・グレイド』第9〜14話

フジテレビにて2002年10月08日(火)25:28より放送、東海テレビにて2002年11月15日(金)25:50より放送のテレビアニメです。

更新:2003-04-19
第1話 〜 第7話 : 第9〜12話,第19〜21話 : 第22話 〜 第27話

2003.04.15 第19話「Take/Revenge 」

マスターのエクレールとリミュエールが局長代理を騙るアールヴ&ドヴェルグと対決する、という話。
アウレーの一件以降続いてきた一連の物語がひとつのクライマックスを迎えるという重要な回だったのですが、
シリーズ中最も不出来な作となってしまいました。
単調な構図、止め絵、バンクやロングショット(もしくは顔だけのアップ)の多用などをみれば分かる通り、
どうも制作が間に合ってないようです。
海外発注を抑えて良質なものを提供しつづけてきた本作の作画が崩れたのが今回、というのはなんとも皮肉です。
キャラクターの顔やデッサンなど作画そのものは維持できたのが、せめてもの救いでしょうか。
それから、スケジュールの逼迫が原因の不出来はある意味仕方がないとしても、
今回は演出面でも失敗が多かったように思います。
プロトタイプ機の登場を説明するリミュエールに驚くアールヴという図は間が抜けてましたし、
最後の方、驚きながらそれぞれの機体の名前を言うリミュエールも変。
恨み言を演説するアールヴのシーンも間延びしてました。
あと、キャスティングにおいても疑問を生じたのが今回の話。
アールヴ役の井上喜久子。演技そのものは絶妙で普段の「お姉さん声」との演じわけも見事でしたが、
残念ながら決定的に声質が合っておらず、今回重要だった凄味を利かせる迫力が出てませんでした。

サブタイトル一覧放映年代順トップ曜日順トップ日付順トップ

2003.03.14 第12話「Frozen/Life 」

「GOTT除名=抹殺」処分を受けたエクレール達が逃亡、追ってきた局員達と対峙する、という話。
力量差が歴然でESメンバーのエクレールたちに圧倒的に劣る局員たちが、
「エクレール共々自爆」「ナノマシン暴走コマンド」という手段によって、
ギリギリの交渉をするという展開は面白いのですが、
いちいち説明的な台詞でのみ状況を理解させているという演出は面白味に欠けます。
エクレール達を裏切るかに見えたアームブラストが、
ナノマシン暴走コマンド発動を見て再度エクレールの側につく、
即ちエクレール達の身の安全を思ってという行動原理とともに、
彼の正体がGOTTより上位である惑星連合のESメンバーであったと明かされるところは面白かったです

サブタイトル一覧放映年代順トップ曜日順トップ日付順トップ

2003.03.08 第11話「Set/Free 」

観光惑星アウレーにて支配階級ノーブルズの永代雇用契約によってロボット扱いで働かされている住民のデモを鎮圧しに行く、という話。
舞台設定の描き方が絶妙でまず感心しました。
支配と被支配の関係による労働者の暮らしぶりを現実的に描こうとすると、どうしようもなく悲惨になってしまうものなのですが、
観光惑星の明るい描写、ノーブルズ達の会話、案内人の説明、見た目は普通に見える労働者の暮らしぶり等によって、
階級制による現代の一般常識に鑑みての非人道的だけを上手く印象づけています。
本編では、この非人道的な状況に憤るエクレールがGOTTの指示に楯突くという展開を見せます。
ここで挿入される「過去のエクレールの幻影」が、
前回の話にあったエクレールの肉体を複数の人格によって変遷しているらしき事の疑問への
解答として示されているのは「なるほど」と思わせる上手い演出でした。
今回、エクレールに非人道的な命令を何度も繰り返す局長。
どうやらシリーズ全体においてGOTTという組織と絡んでの重要なキャラクターのようで、
最後のシーンにおける(他の組織?の)何者かとの会話など、
局長が重要なキャラだと匂わせるという意味ではシリーズ中、上手くやっている感がありますが、
今ひとつ露出に乏しく「何かを企んでいる」という意味では理解し辛いのが少々不満です。

サブタイトル一覧放映年代順トップ曜日順トップ日付順トップ

02.26 第10話「Rebirth/Slave 」

休暇中のエクレールが過去の自分を思い出して苦悩し、その状態のまま任務に突入する、という話。
過去の記憶らしきものを断片的に思い出す過程で、
意識障害か記憶喪失(?)をイメージさせておきながら、幽霊のようにもうひとりのエクレールを描いています。
それにより過去の記憶を思い出した後も過去の自分に戻らず、エクレールがありのまま過去を受け入れた事を自然に描いています。
さらに、単なる記憶障害ではない、不老不死?不死身?…かよく分かりませんが、
エクレールたち或いはESメンバー達の謎に迫っていきそうな展開で、今後が楽しみです。

自分の中の別の自分を表現する場合、よく映像で同じ人間が二人という風に描くことが多いですが、
実写や小説では安っぽくなったりしますが、今回の話はそういうものは感じませんでした。
これはアニメーションという媒体によるものなのか、監督の手腕でしょうか。

今回のみweb 制作のモモチが担当しました。

サブタイトル一覧放映年代順トップ曜日順トップ日付順トップ

02.12 第9話「Mirage/Snare 」

プラネット・ダルダノスで起きた大立て者連続失踪事件を潜入調査する、という話。
サスペンス調で展開する、エクレールの調査ぶりが楽しめます。
実はホストコンピュータの在処だった、入国管理室の白くて何もない部屋の伏線のはり方が良かったです。
最初に入国審査の際の「別の色に塗り替えてもらえばいいわ。例えば緑色」
という何気ない台詞がキーワードにしていたのですが、
それを一般入国審査とVIP待遇(?)の入国審査のかき分けで自然に見せています。
今回、エクレールの絶体絶命のピンチまで現場に突入できなかったリミュエールの描き方も、
アームブラストによる発言をデリカシーに欠けるものと見せかけておいて、
ホストコンピュータからの意識誘導という真相を隠していたのも上手いやり方だと思いました。
突入の際のアームブラストの台詞ではデリカシーのなさも、
実はリミュエールへのフォローだったと分かるところも細かい演出で良かったです。

サブタイトル一覧放映年代順トップ曜日順トップ日付順トップ
第1話 〜 第7話 : 第9話 〜 第14話 : 第15話 〜 第21話 : 第22話 〜 第27話
アニメ討論室トップ > アニメ批評日記トップ
更新:上記参照 作成:2003-02-20 文責:ごま(goma)
当サイトへのご意見・ご感想のメールお待ちしてます。