アニメコラム「サイボーグ009」
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アニメコラム集「サイボーグ009」

第3話「閃光の暗殺者」クオリティの乱高下

「第2話の出来には覚悟して」という内部告発めいた情報が
第2話の放映前にネット上であったらしく、
ちょっとした話題にもなっていた「サイボーグ009」第2話。
実際、第2話の作画レベルは私がみた限りでもひどいものであったが、
第3話では動画枚数こそ第1話と比較して多少見劣りする感はするものの、
作画レベル的には持ち直したように思う。

このことに関して
「そもそも第1話がOVA並みのクオリティだったのだから、
多少作画レベルが下がっても甘受すべき」などという声もあった。
確かに今期の「サイボーグ009」は、
戦いにあけくれる勧善懲悪モノの感がある旧作とちがって、
「改造されたことによる悲哀」といった人間ドラマを重視したものであり、
アクション描写やそれにかかる作画レベルは二の次かもしれない。
しかしわざわざ30年も前の、単純な造形のキャラクターを用いた作品をリバイバルしたのだから、
この程度の作画レベルは維持できないとその意味がないし、
紺野直幸による秀逸なキャラデザも全くの無駄である。
ストーリーの方はおおいに期待できるのでクオリティを維持して欲しい。

第4話「死闘の果てに」

放映日2001年11月4日

0010 の攻撃に窮地に陥いるも、
突然の雨にどういうわけか0010 が一時撤退し、
一時的に救われた形の009 たち。
再度の攻撃をどうしのぐか悩む。
リミットは雨がやむまで。
一方009 は前回のダメージが大きく安静中。
戦いに間に合うか・・。

作画レベルは、前回に続き今回も安定し、どうやら不安は去ったよう。
ただし、感動の「1話」はもう望むべくもなさそう。
悪くはないが格別いいとも思わないという感じです。
平均点はクリアしてると思いますが。

絵的にはとりたてて特筆すべき点を見いだせませんでしたが、
後半の戦闘シーンで背景の描き込みが美しくすることで、
どちらかというとアニメーション的動きに乏しいアクションを
退屈せずに見せていたのは良かったところだと思います。
今回目を引いたのはストーリー。特に後半の戦闘シーンで、
009 と001 を除く7人で苦心してひねり出した
0010 対策が見ていてわくわくさせました。
仲間たち全員の力で戦うという009 たちの設定にあっていたと思います。

結局、0010を倒したのは001&009組の二人だったので、
あとの7人は骨折り損なのでは・・なんて言ってはいけませんね(笑)

第 5話「鋼鉄の涙」

放映日2001年11月11日

「自らの肉体を取り戻すために戦う」という0011と対決。
一度は勝勢を築くも004がとどめを躊躇したため、
逆に0011からに毒液混じりの雨を浴びた。
0011は海底に沈み勝利したかにみえたが、
コンピュータがその意識を支配した0011が再度襲来。
009たちは毒液によって次第に麻痺していき絶対絶命・・。

004の過去の回想をはじめとして、
恋人・家族といった、人のつながりを意識させる要素が散りばめられているのですが、
それぞれがバラバラで全体的に一つにまとまっていない気がします。

コズミ博士がギルモア博士に問いかけるシーンで
「(ギルモア博士の009への思いは)家族のようなものじゃないかな」
というシーンが唐突っぽかったですし、
004の回想シーンでは、
004が攻撃を躊躇したという説明になっているはいるものの、
キャラの内面の描写にしては物足りなかったです。
そのため、最後の004とコズミ博士のやりとりや
「ただの機械人間になっちまう」という004のセリフなどの
せっかくの見せ場が今ひとつ盛り上がりに欠けた感がします。

004主役の回として設けた話なのですから
回想シーンではもっと時間をかけてより内面を掘り下げた方が
もっと面白くなったのではないでしょうか。
あと、戦士同士の描写でも「家族」を示す描写を
うまく入れられれば更に良かったと思います(食事のシーンでは少し弱い)。

アニメ的には戦術でワクワクさせるほどのものはなかったですけど、
004メインで動きはありましたし、
004と002が協力して攻撃するところがあったりと、
まずまず楽しめました。

第 6話「消えた博士を追え!」

放映日2001年11月18日

潜水艦(?)の外壁塗装を行う戦士たちのもとへ、
コズミ博士が誘拐されたという報が入った。
004・007・009の3人が手がかりを調査に向かう。
コズミ博士の足跡を追ううちに3人は
とある洋館にたどり着くのだが・・。

今回はなんといっても
建物をサイボーグ化するというアイデアがよかったです。
007が洋館の夫人に一目であこがれて
正常な思考を失うというところも面白かったですが、
前回の004主役の回と比べると、
007の内面の描写が乏しかったように思います。
007と夫人とのやりとりをもっと増やすとかすると、
更に面白くなったのではないでしょうか。

夫人は既に死亡、建物がサイボーグ化と判明するシーンでも、
夫人の過去をもっと描いた方がより話がふくらんだのでは
とも思います。
あとチェスの駒で009達の動きを模していたのは
悪くないアイデアでしたが、
夫人の表情との組み合わせなどがうまくいってなくて、
今ひとつ理解しにくく演出意図を達成してなかったようでした。
台詞をもっと効果的に入れた方が良かったと思います。

絵的にはあまり派手なアクションもなく
バンクも目についた回でしたが、
3人のテンポ良い動きと掛け合いで
まあまあ楽しめました。

( 更新:2001年11月23日 文責:ごま )
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