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讃岐うどん巡り体験コラム:002

讃岐うどん巡り体験コラム:002 メニュー編

かけうどん

うどんにだしをかけた最もポピュラーなメニュー。
だしでボリュームもでますし、天ぷらとの相性も良い。
讃岐の昼の日常食です。

大阪では「すうどん」。これは本来あるべきはずのかやく類がないということ。
麺・つゆ・かやくがセットになってうどん一品となるという思想です。
対して讃岐は麺に汁を「かける」から「かけ」。
麺が主役という思想が垣間見えます。

味はいりこと呼ばれる煮干しがベース。
独特の臭みがでますが慣れると病みつきになります。

かけうどんには主に三つのバリエーションがあります。
麺を湯がく・湯がかないかと、だしの熱い・冷たいの組み合わせです。
これを分かりやすく言い表したのが「あつあつ」「ひやあつ」「ひやひや」という呼称。
前が麺・後ろがだしの状態です。
即ち麺をゆがかずに(ひや)、熱いだし(あつ)をかけるという意味です。
うどんブームでこの呼称がクローズアップされたので耳にした方も多いでしょう。
ただしこの呼称は発案した店「宮武」をはじめ、県内では数店程度しか採用していないので要注意。
採用していない店では「ぬるめで」「そのままで」「ゆがかないで」などといった言葉を駆使して注文することになります

ぶっかけ

濃いだしが丼の麺の下に隠れているといった感じで入っているのが「ぶっかけうどん」です。
ざるそば(ざるうどん)のつゆをうどんに直接かけるのを想像すると味のイメージもできると思います。
そのようにぶっかけて食べるというのが命名の由来と言われていますが定かではありません。

また「ぶっかけ」という名前は岡山県倉敷市のうどん店が発祥です。(参考:ぶっかけうどん物語
しかし、倉敷市と讃岐うどんの関連の有無も定かではありません。
お店によっては具材や薬味をたっぷり盛りつけたメニューとしていることもありますが、麺とだしの組み合わせは変わりません。

話を戻しますが、讃岐の「ぶっかけうどん」のダシは元々どちらかというと塩っぱいのが主流だったようです。
ですが最近の主流はみりんを利かせた甘めのぶっかけだしで、宇多津の名店「おか泉」がその起源と一説に言われています。
その影響か現在では塩っぱいぶっかけだしを出す店が少なくなりました。
また一部には濃縮ダシの濃度調整で出す店もあるようです。

香川県外のとあるセルフのうどん店に行ったときのこと。
ぶっかけを注文。
すると店員さん、ぶっかけ用と思われるだしを丼にドボドボと注ぎ、遂には麺がひたひたに。
内心「間違ってるよ?」とズッコケたのですが、その後香川県のとある店でも同じ経験をして更にズッコケました。

釜あげうどん

讃岐うどんの代名詞的存在として認識されてる方も多いでしょう。
あるうどん店店主の話によると、瀬戸大橋開業の頃に全国的に注目されたそう。

ゆで上がりの少し前に釜からとった麺をゆで汁にひたし、つけだし(つゆ)でいただくのが釜あげうどん。
釜から(途中で)あげるから「釜あげ」というのが名前の由来です。
熱々でふっくらした食感と小麦の香りを楽しむメニューです。

ところで「釜あげ」と見た目が同じメニューに「湯だめ」というのがあります。
茹でて水で締めたうどんをゆで汁に浸したものです。 詳しく説明すると…

* 「釜あげ」…釜あげ状態のうどんを茹で汁に浸し、「つけだし」につけて食べる。
* 「湯だめ」…水で締めた状態のうどんをお湯に浸し、「つけだし」につけて食べる。

「湯だめ」の方が手間がかかってるようですが、水で締める作業はいわば大量生産工程の一つです。
むしろ客の注文に合わせて茹でたり釜から揚げなければならない「釜あげ」の方が手間がかかります。
ゆえに現代讃岐うどん店での「湯だめ」は「釜あげ」の廉価版扱いが主流です。

両者の各店の扱い方をパターン分けすると以下のようになります。

1. 「釜あげ」がメニューにあり、「湯だめ」は敢えて頼めば出る
2. 「釜あげ」「湯だめ」両方あって値段が違う(釜あげが高価)
3. 「釜あげ」系のメニューがあり、注文のタイミングによって決まる
4. 「釜あげ」系自体がメニューにない
…となります。

パターン3の店で釜あげを注文したとき、店員さんも「釜あげね」と復唱したにも関わらず湯だめが出てきて凹んだ経験が結構あります。
店によっては「今は釜あげできんのよ。湯だめならできるけど」などときちんと断ってくれます。
店に悪気があるわけでなく大らかなだけなのは分かってるのですけど…

ざるうどん

ざるそばのうどんバージョンです。
ゆえに名前も「ざるうどん」。
かの大平正芳首相が名付け親なのは香川では有名な話で、これもまた讃岐うどんならではのメニューです。

シンプルに麺を味わうだけに、悩ましいのもこのざるうどん。
というのは、ざるうどんほど「鮮度」で味が大きく変わるうどんはないにも関わらず、
出来たてで出してくれる店もあれば、平気で作り置きを出してくる店もあるからです。

作り置きのざるうどんを食べさせられるのはたまったものではないというのが県外から来る者の感覚ですが、
地元にしてみれば数あるメニューの一つなので仕方ありません。
値段設定が高めなら出来たてで、低めなら作り置きの場合もあるというのが一応判断基準です。
ごくまれで高い値段で作り置きに当たると相当へこみます。

醤油うどん

知らない人が聞いてびっくりするのがこのメニュー。
文字どおり醤油を回しかけて食べるうどんです。
これだけで美味しいとは、さすがは讃岐うどんといったところでしょうか。

醤油うどんには大きく分けて二種類。
麺のみの丼にシンプルに醤油をかける素朴なタイプが一つ。
もう一つは美しく盛られた丼に薬味がきちんと添えられる、メニューとして洗練されたタイプです。
醤油は元々は普通の醤油だったようですが、最近ではだしや旨味を加えた「だし醤油」と呼ばれる讃岐独特の醤油が主流となってきています。

ところで洗練タイプの店には「生じょうゆうどん」とメニュー表記するところが見られます。
生醤油というと火入れしていない、まさしく生の醤油のこと。
ですが本当に生醤油を使っている店には出会ったことがありません。
どうやら洗練されているイメージを「生じょうゆ」と表記することで差別化をはかっているようです。

釜玉うどん

これも讃岐うどんの代名詞的存在のうどん。
釜揚げうどんが瀬戸大橋開業時のブームなら、こちらは1990年代以降から今に続くブームで注目されたメニューです。
常連客が製麺所に生卵を持参してよく食べていたことからメニュー化された…という逸話とともにその発祥とされているのが今や知らない人はいない有名店の「山越」です。

ブームの後、讃岐うどん独特のメニューとして全国に知れ渡ることになりますが、地元客はそんなには食べないようです。
ダシがかかってないので天ぷらやおにぎりなどのトッピングとの相性が悪く、昼食として考えた場合ボリュームを得られにくいということなのでしょう。
あと釜揚げと同じ待たされるのが嫌というのもあると思います。

さてこの釜玉うどん。正確には「釜あげ湯ぬき卵かけうどん」とでもいうべきでしょうか。
溶いた生卵が入った丼に釜から直接とった(釜あげ状態の)うどんを盛って出すのが本式のやり方。
醤油または特製の醤油やだしをまわしかけて完成です。
これ一見ただの思いつきだけにも見えますが、釜玉のすごいところは溶き卵と釜あげ状態うどんの組み合わせにあります。
即ち釜あげ状態で熱々のうどの熱が卵を半熟状態に変化させるので独特の食感が味わえるのです。
そのことから「うどんのカルボナーラ」などと言われてたりもします。

讃岐うどんめぐりをするなら一度は食べておきたいメニューですが注意点をひとつ。
箸を持ったらまず丼の中のうどんをかき回し卵とよく絡めましょう。
そうすることで卵にうどんの熱が効率よく伝わります。
醤油やダシをかけると温度が下がるので、かけるのは絡めた後に。
余談ですが茹でうどんや冷凍うどんだと釜あげ状態にはならないので正確には「釜玉風」。

五大メニュー

かけ?ざるまで基本的な六種類のメニューを紹介しました。
「打ち込みうどん」「しっぽくうどん」など他にもまだまだメニューは存在するのですが、
讃岐うどん巡りとしては前述の六種類を意識し色々なメニューを楽しむといいと思います。

ちなみに当サイトではざるを除いた五種類を五大メニューとして推奨しています。
というのはかけだし・ぶっかけだし・つけだし・しょうゆ等、うどんにかける汁の四種を網羅するうえ、
釜あげ状態、水で締めた状態の両方を味わえる最少のメニュー数となっているからです。

これを某テレビ番組に出演したときの打ち合わせで「四天王+釜玉」という自分すら使ったことない題名で企画書を作ったところ、
あっさり「それでいきましょう」ということになり、きっちりオンエアされました。