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ごまの「アニメ批評日記」

『円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲』第7〜12話

2004.02.03 第7話「第一次スーパーカラオケ大戦」

全話の評価 ★★★★
優勝商品を壊れたテレビの代替品をとして手に入れるためにカラオケ大会に出場する、という話。
色々と工夫のあとは感じられはするものの、歌うシーンの羅列ではどうしても間延びしてしまい退屈感が否めない一本。
歌の長さとしてもライネやコーラスあたりがギリギリ許されるところで、
「白い三角定規」などはなんの工夫もなく長かったのが頂けませんでした。
シリーズストーリーに関するところでは、
大人に変身したワルキューレが元に戻ってしまい和人を不安げに眺めるという描写が、
後で秋菜が言う「和人の心がゴーストに惹かれたってこと(心が一つになってない)」ということを上手く表現できていたと思います。

歌のシーンは退屈ながらも、ワルキューレ(小)の出番においては真田さんの策略の数々、
ステージ変化やバックダンス、コーラス、合いの手というネタを歌の合間に挟んでいたのは良かったです。
また「こんな変な置物いらないよ〜」と泣きじゃくるワルキューレと和人のシーンは、
誰もいないロビーからパンしていくところが上手い心象描写になっていて笑いを誘いました。

話全体が久々に時乃湯の貧乏ネタだったのが本作らしかったのと、
ワルキューレではなくシロたちのバンドが優勝してテレビが手に入るという捻ったオチににしていたのは好印象。

ワルキューレ(大人)の歌の歌詞はシリーズの展開を暗示しているようでしたが、
歌詞が聞き取りにくかったのが残念。
壊れる直前のテレビ画面の「こうさぎぴょん子ちゃん」の一コマ(耳が黒いのに注目)がゴーストの暗示っぽいのは作り手のちょっとした遊びで面白いです。

あと個人的に気に入ってるのはハイドラのツッコミ台詞。
今回はコーラスの歌の後と「テレビが欲しかったから(ゴーストがカラオケに現れた)」に対してありましたが、
いつも状況に応じた演技をハイドラ役の声優ができていて良いです。

脚本:月村了衛 絵コンテ:南康宏 演出:小林浩輔 作画監督:関口雅浩・竹内昭・木下由美子
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2004.02.11 「円盤皇女ワるきゅーレ 十二月の夜想曲」第8話「猫耳八甲田山」

全話の評価 ★★★★
「山で雪合戦したい」とわがままを言うワルキューレのために、真田と侍女部隊が企画したのは無謀な本格雪山登山だった、という話。
第1期シリーズの第8話と話数を揃えて、侍女部隊を交えて旅行するという展開まで似せて作ったお遊び的な一本。
ハイドラがワルキューレにゲロされたという前シリーズのネタや、前回の水着に対する今回の入浴シーンなど、
自作のパロディぽく作ってあるところも散見されましたが、
単純に一コメディとして楽しめる話で、むしろ前シリーズより出来としては良かったです。
冒頭、友達と一緒に遠足に行けないという受け手が納得できる状況を踏まえることで、
かわいそうなワルキューレのためにみんなで楽しく遠足に、という流れになっており、
それが道中の間抜けな行軍による笑いにつなげられていたと思います。

そんななかで笑いのシーンは満載。
バスの荷物室を開けると、中にいたコーラスが微動だにせず倒れてくるところは、
2つのアングルを上手く切り替えることで無機質な荷物という感じが出ていました。

うさぎに全員気をとられて案内看板を見落としてしまうのは、
どちらかといえばチープな動きが馬鹿馬鹿しさとあっていています。

「天は我々を見放した(コーラス)」はサブタイトルからして予想された映画のパロディ台詞ですが、
「そうよ。その台詞はもうちょっと後よ(秋菜)」のボケで一工夫入れたのが良かったです。

「姫様にはこの私がついて…あ!(真田)」が振り向くとワルキューレがいないというお約束の展開では、
ステッキがパタリと倒れる描写だけで、真田の無情さを表現しているのが目立たないながらも上手い演出。
真田の尻尾を吹雪に隠れさせるために白く変わっていたのはご都合主義的ですが、面白いので許せます。

寒さで壊れたリカが「普段通りの行動をするの」といいつつ単語帳を読み出すと、
縁起の悪い単語ばかりになっていくのはキャラクターを生かしたネタでした
(この時、常夏を連想させる「モルジブの水上コテージ」を直前の単語に入れてるのが芸が細かい)。

侍女たちが温泉に入るところでは多数の裸が出てきますが、
冒頭から温泉目的を提示したことと、寒さから解放されるという状況、それにそった映像表現により、
受け手にこびるいやらしさがなく、笑えるシーンの一つとなっていたのも感心でした。

行軍中に登場する「侍女部隊隊歌」は前話に続く歌のシーンでしたが、
今回は行軍中という動きのなかでもあり、エコーをかけたり音量に変化をつけたり、また歌の途中までで場面転換とコンパクトにまとめていて、
歌のシーンにありがちな退屈さを感じさせなかったのは好印象でした。

雪に埋もれてた真田が大小黒とバリエーション豊か(?)なワルキューレの幻覚を見るのは、
ギャグに見せかけて実はゴースト絡みの伏線的描写を指向したもののようで、
幻覚を3回繰り返して「またか」と受け手に思わせておいて、その意図を交わすねらいは良かったのですが、
さすがに時間が長すぎで、もう少し短くまとめることが出来れば良かったと思います。

脚本:月村了衛 絵コンテ・演出:岩崎太郎 作画監督:堤弘子
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更新:2004-02-18 作成:2003-10-25 文責:ごま(goma)
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