風の強いある日。めいは吹きつける風を身体で感じて楽しむ為に外にでてみた。
すると小さなつむじ風がめいに向かって近づいてきた。
驚いためいが家の中に逃げていくと、つむじ風も一緒に部屋まで追いかけてくる。
好奇心旺盛なめいは部屋の障子を閉めてみた。
逃げ場をなくしたつむじ風が正体を現すと…
だいぶ日がたってしまいましたが、
3月17日(月)に東京都三鷹市にある「三鷹の森ジブリ美術館」に行ってきました。
入館は二度目。一度目はオープン二日目の2001年10月2日なので約一年半ぶりとなります。
開館以来一日四回の入場数限定の予約制で、館内は相変わらずの盛況。
変わったのは撮影禁止(ご遠慮ください)になったことと、
映像展示室「土星座」の鑑賞(今回の「めいとこねこバス」)が一人一回になったこと。
撮影はともかく鑑賞が一回きりなのは痛かったです。せめて二回にして欲しい。
二度目なのであまり期待はしてなかったのですが、これがとんでもない話。
企画展「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」が素晴らしく、大満足でした。
これも正直な話、「ラピュタ」のセル画か画像資料を大量に展示して説明つけるだけの、
やっつけ仕事を予想していましたが大間違い。
展示では確かに「ラピュタ」の画像を用いてはいましたが、
それは同作を空想科学小説の歴史に位置づけつつ、十九世紀にはじまる空想科学小説を真面目にひもとく、
というテーマ性をもっており楽しめる内容でした。
空想科学の世界に登場する秘密基地を示したイラストボードやミニシアター「空想の空飛ぶ機械達」は、
真面目なテーマの企画展示のなかにありながら茶目っ気あふれる内容で、
来訪者を笑わせて楽しませるエンターテインメント性がありました。
一方でミニシアター「空想の機械の中の破壊の発明」では、
破壊兵器という機械における負の部分を用意しているあたり、ジブリらしさを感じさせます。
ナレーションの宮崎駿がユーモアあふれるツッコミを入れまくる「空想の空飛ぶ機械達」は必見の作。
さて「めいとこねこバス」ですが、13分43秒の作品。
こねこバスに出会うまでと、こねこバスとともに森に遊びにいく、という二部構成になっています。
後半では、様々なバージョンのネコバスの登場や巨大なネコばあちゃんの動きなど、
スケールの大きいアニメーション映像、そしてトトロやススワタリなどの登場で楽しませます。
そして、それ以上に注目したいのが「見えない風の表現」をテーマにした前半。
まず、めいが風の抵抗を受けながら踏み石を渡りはじめる描写では、
めいが風を身体で感じることを楽しむために外に出たということを無言で表現しています。
そして、大きな庭石の上に立つところでは、
両手を広げて風を全身に浴びつつ、飛ばされないように足踏みして笑顔満面。
正に風を楽しんでいる、という様子を感じさせる映像演出でした。
その後、めいは持ってきた鞄の中にあったキャラメルを食べるのですが、この表現も秀逸。
キャラメルの箱から一個取り出し、包み紙を開けて口に運ぶ…
一連の動作が実写さながらに描かれていて、こだわり溢れる映像となっています。
また包み紙を開けるときのめい視点の構図は、
「今からキャラメルを食べるぞ」というめいのワクワク感の表現にもなっていて、
受け手もなんだかワクワクさせられます。
あと、冒頭のシーンで家のガラス戸が風に揺らす描写も面白いです。
ハイライトを揺らすことで、
はめ込まれたガラス一枚一枚がそれぞれ揺れているというリアルな表現になっていました。
他にも見どころはあると思います。
何回もじっくり見て味わいたかったですが、一人一回鑑賞なのがかえすがえすも残念です。
次回上映は2003年11月19日〜とのこと。
ご覧になられる方は、冒頭から集中力を高めておくことを是非ともお勧めします。
「めいとこねこバス」13分43秒
(原作・脚本・監督:宮崎駿)
「空想の空飛ぶ機械達」5分59秒
(原作・脚本・監督:宮崎駿 作画監督:米林宏昌)
「空想の機械の中の破壊の発明」2分47秒
(企画:宮崎駿 原作・脚本・監督:庵野秀明)
「オーニソプター物語〜飛べ!ひよどり天狗号」3分57秒(実写)
(構成・演出:浦谷年良)