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ごまの「アニメ批評日記」

『MEZZO』

2004.01.21 第1話「恋の殻」

第1話の評価 ★★★★★★

公式のあらすじ

海空来(みくら)たちが依頼を受け、未承認薬を奪回し浅野が果たそうとしている復讐を止めようとする、という話。

原作はアニメーターで、本作の監督をも務める梅津泰臣。
18禁のOVA作品「MEZZO FORTE」をルーツとし、「ハイパークライムアクション」と銘打たれた作品。

第1話に動画枚数を集中させるのはTVシリーズの定番とも言える構成手法ですが、
本作においてはアクションシーンにおいて度肝を抜く程の動きを見せていました。
公式サイトによるとカット数458(!)だそう。

それほどの作画を使っての映像における演出手法は、一言でいうと実写映画のそれ。
キャラクターの動きと背景のパンを絶妙のタイミングで組み合わせることによって、
実写におけるカメラワークのような映像を作り出していました。

例えば海空来が浅野のマンションの階段を駆け下りてくるところでは、
階段を下から見上げた固定アングル→海空来が駆け下りてくるというキャラの動き
→海空来が階段を降りきる直前にジャンプ→キャラの位置が固定で背景がパン
という映像にすることで急いで浅野の後を追おうとするスピード感が表現できていました。

複数のアングルから同じ瞬間のキャラを描くカットを瞬時に切り替えていくという表現も、
実写ばりの映像演出で見る者を引きつけます。

そして爆発シーンや、その際吹き飛ばされるキャラクターの動きの表現なども特筆。
思わず目を背けてしまいそうになるはずのところが、
本作では心地よさすら感じさせるほどの映像になっていました。
実写でいうと香港映画のような感じといったところでしょうか。

今回の話では、枚数を使っていないシーンも、
展開を知る重要な台詞を入れたり、声優の演技によって退屈さを全く感じさせず良かったです。

物語展開の強引さや台詞の稚拙さが気になるところではありますが、
それを補ってあまりあるスピード感、映像表現の秀逸さで見る者とグイグイ引っ張っていたと思います。
今回の話だけなら殿堂入り級の出来。

脚本・絵コンテ・演出・作画監督:梅津泰臣 演出:草川啓造

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更新:2005/09/14 作成:2004年05月27日 文責:ごま(goma)
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