全話の評価 ★★☆
昔で言うところの「ツッパリ」不良高校生たちが、ごく普通のことや些細なことで悩んだり困ったりする様子を描く、という話。
原作は野中英次。週刊少年マガジン連載中の漫画のアニメ化。
ワルに決めてる不良達の姿と、その会話のギャップで醸し出すコミカルさを楽しむ作品。
個人的には原作も知ってますし、今回のアニメ版もそれなりに楽しんでいます。
しかし一アニメとして見た場合、残念ながら評価に値するとは言えません。
第8話までを見てみましたが、アニメで見せる必然が全く感じられないからです。
映像的には原作を絵コンテに申し訳程度に動く程度の作画で、極端な話動かなくても、即ちそれが挿し絵であったとしても、
更にいうと絵もなくてスピーカーから声や音だけ聞いたとしても、
結果として受け手が得られる印象としては何ら変わらないと思います。
またアニメスタッフが独自につけた動きにしても「林田やアジシオ太郎の髪の毛が動いたからなんなの?」で、
アニメ独自のネタに至っては「わざわざ『デ・ジ・キャラットにょ』のキャラが出てきたから、林原めぐみをチョイ役として使うのは笑いなの?」
といずれもギャグの体をなしてない笑えぬものでしかありません。
ついでにいうと若本槻夫の声と演技で笑いを取る演出は、
「サイボーグ009」第21話以来、いくつかの作品で見られたもので食傷気味というか、
作り手のひねりのなさ、安直な発想を感じさせます。
第8話の「メカ沢の初期化」の一幕でかないみかの声を使ったりするあたりといい、
オタク向けのネタふりということなのでしょうが(『デ・ジ・キャラットにょ』の監督らしいといえばらしい)、
余計なオタク風味付けをした上に、それが全く面白くないというお寒い状態を作り上げています。
あとこれだけ動きの少ない映像にも関わらず、人物の表情のデッサンがしばしば狂っているのはある意味致命的。
OPの冒頭、教室で本を読む主人公のカットを見たときは何かの悪い冗談かと思いました。
結論としては、声優の演技や効果音など音声中心にギャグを楽しめば十分な作品だと思います。
監督:桜井弘明 キャラクターデザイン・総作画監督:音地正行