アニメコラム「ふぉうちゅんドッグす」

アニメコラム集「ふぉ〜ちゅんドッグす」

ファーストインプレッション

放映日2002年7月4日

あらすじ

フレンチブルドッグの子犬、アレックスはペットショップに入荷されたばかり。
近所の野良猫グレースは、ぶさいくな外見のアレックスを気にかける。
曰く「名前は自分で決めろ」「客に愛嬌をふりまけ」と。
子犬のアレックスにはグレースのいうことはよく分からない。
そんなある日、犬を飼うことを家族になかなか同意してもらえない
常連の少女・愛ちゃんがやってきた。
アレックスはグレースの言うとおり、尻尾を振って愛嬌をふりまくが・・

レビュー

原作は友野康晴、岸原周司。「Uranai.Walkerplus.com 」に発表された「いぬ占い」となってます
(実はよく分かってません。すみません)。
監督は斎藤博。「あらいぐまラスカル」や「ペリーヌ物語」をはじめ、
日本アニメーション「世界名作劇場」の作品を多く手がけた方です。
この「いぬ占い」のキャラクターを使って、
飼い主の愛ちゃんとはぐれたフレディー(愛ちゃんにより命名)が、
愛ちゃんとの再会を目指しての長い旅が描かれていきます。

本作のみどころは、まず何といっても犬の描写です。
本作に描かれる犬の多くは丸っこいデザインでかわいらしく描かれています。
デザインにおけるリアリティという点では一歩劣りますが、
犬の動きの方は、そのデザインの分ほんの少しデフォルメさせただけの
リアルな動きを目指しているようで、
丸っこいデザインと本物らしい動きが合わさった、
動きを見るだけで、楽しさのあふれるアニメーションとなっています。

第1回である今回は、アレックスと愛ちゃんとの出会いまでしか描かれておらず、
本筋であるアレックス(フレディー)の長い旅はこれからですが、
その方面に実績ある方なので期待したいです。

さて、第1話「運命の出会い」では、
アレックスがペットショップに入荷されるところから、
愛ちゃん一家に買われるところまでが描かれます。
前半部分では野良猫グレース(演じるは堀越真己)を案内役に
子犬ゆえ物を知らないアレックスへの節介という形で舞台説明という工夫を見せますが、
ペットショップの客観的描写に時間をかけすぎていて間延びしていました。
後半ではグレースのアドバイスに耳を傾けるアレックスの描写で退屈させず、
愛嬌をふりまくつもりが結果の伴わない間の抜けた描写や、
念願かなって犬を飼いに来た、愛ちゃんと母のやりとりなど楽しめました。

母が自分に構わずぶさいくなアレックスを選んでしまったことを悲しむ愛ちゃんと、
一週間もすれば情が移ることを見越した店長の会話。
「もしかして、わたしがこの子を好きになっちゃったらどうしようか」
「さあ、どうしようねぇ愛ちゃん。そう言われてもおじちゃん困るなぁ」。
この程度はあって然るべきセンスで、本来そんなに特筆すべきことではないのですが、
たったこれだけの会話が作品をひとまわりもふたまわりも面白くする
最近の作品にはなくなりかけている「センスというもの」を感じました。

( 更新:2002年7月26日 文責:ごま )