シミュレーションマシンで訓練するペイロー兄弟。まずまずの成果を示す。
ところがメアリー少佐は「所詮シミュレーションと実践は違う」、と更なる修練を求める。
それに反抗すると子供扱いまでされてしまい、怒って飛び出して行くココモ（とマリブ）。
その時、本星では街中の空間を埋め尽くしていくロストテクノロジーが現れて・・
訓練に明け暮れる毎日という状況設定から、それが嫌で飛び出していくという展開。
ちょうど起こった事件を解決することで物心両面で日々の努力が報われるかと思いきや、
唐突に現れたエンジェル隊によって手柄を横取りされてガックリ・・
とペイロー側から見れば不条理なストーリーでありながら、
作品全体からの構図としてはエンジェル隊のお気楽にペイロー兄弟が屈する
という今シリーズのキャラ配置による理想的な作りとしたところまでは良かったです。
しかし、最後にエンジェル隊が手柄を横取りをする、
というオチのインパクトにこだわりすぎたようで、それが作品を台無しにしてしまいました。
具体的には本編中全くでてこないエンジェル隊の扱いがそれ。
オチへの前フリとしてペイロー兄弟の描写が延々続く本編に、
受け手を引きつける要素（例えば第１期の「激盛ミサイル丼もっこり風味」のような）や、
何の笑いも面白さ（例えば第２期の「新鮮とれたて驚異の舟盛り」のような）もなかったのも、
作品を台無しにした一因でした。
同様の展開でもエンジェル隊の誰かであったらなら話は別なのですが、
あくまで彼らは脇役、エンジェル隊の引き立て役にすぎないので、
今回のようにだらだら進行する本編ではお粗末という他ありません。
今回の話を面白くするならば、
例えば、この当日エンジェル隊が非番であるという状況設定にして、
本編の随所に、お気楽に休暇を楽しむ面々の姿を挿入していけば良かったのはないでしょうか。
オチのインパクトは若干弱くなりますが、
街の危機的状況に非番を返上したエンジェル隊という説明で、
「手柄を横取りされたペイロー兄弟」という演出はできたはずです。
エンジェル隊が査問会議にかけられることになった。
ところが会議のためのケーキを焼いていたらしいミルフィーユが時間になっても現れない。
「こんな事では解散もやむなし」と上官に言われ慌ててウォルコットが探しに行くが、
ミルフィーユの部屋にも姿は見えず。
そこにミルフィーユの軍服と化粧品を見たウォルコットがとった行動は・・
第２期の「彼岸への回転寿司」を彷彿とさせる話。
前作ではキャラクターそのものは全く同じで、
声優がそれぞれの役の人格を演じるというものでしたが、
今回は、元のままの役柄で違う役に扮するというもの。
キャラクターの着せ替えもあり、前作とはまた違った味わいがあります。
着替えのシーンなどは省略（当然？）してキャラクターが出たり入ったりを繰り返し、
ほとんど会議室のみで進行する本編は、舞台劇かコントを見ているような感じで面白いです。
最初はウォルコットの女装でインパクトをつけ、
ヴァニラ、ミントとつないでフォルテ、蘭花の暴走が引っかき回すという組立も、
さながら先頭打者出塁→バントや進塁打→適時打で走者生還といった感じで良いです。
特にフォルテ、蘭花の悪意ある「変装」にキャラクターの性格がよく出てます。
ただ、ストーリーの所々に見られた不自然な点による違和感が印象を悪くしていました。
通路で転んだミルフィーユをウォルコットが見つけられなかったことや、
フォルテやミントが口にしている「ギャラクシーエンジェルへの愛」が唐突で、
これまで行動原理との整合性を欠くことなどです。
またヴァニラが率先するのはいいのですが台詞は余計でした。
あと「彼岸への回転寿司」の兄弟編のようなイメージの割に、
様々なバリエーションをスピード感のある展開で見せていた前作と比べて、
それほどの面白さがなかったことも悪印象の要因かもしれません。
正常な思考という立場からツッコミを入れ続けるツインスター隊が、
エンジェル隊に味方する不条理な展開にズッコケ続け、
最後にはエンジェル隊によって「着せ替え」をされるのは溜飲がさがる良い演出です。
本編に挿入される憎まれ口はそのための前フリかもしれませんが、くどすぎて不愉快。
普通にしていて、エンジェル隊の悪意によっての「着せ替え」でも問題ないと思います。